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電子書籍を公取は「非再販商品」に指定。 ――電子書籍に「再販制度」があまり必要でない「理由」

電子書籍の再販が外れる件、ようやく今日は電子書籍の話になる。

前回、これはある意味当然であって、再販にしておく理由が、リアルの本よりはるかに薄い、と書いた。そのあたりの状況を書いてみよう。

まず、物理的に価格を統一するのが難しい。



というのも、以前書いたがたとえばAppStore(iTunes)では価格が厳密にアップル側に決められていて、それから外れることができない。こんな調子をこの先電子書店だのプラットフォームごとに押し付けられることにもしなったら、そもそも価格統一が無理。

同じ電子書籍が「A書店では500円、B書店では450円、C書店では580円」などという値付けにするしかなくなってしまう。

しかも、それぞれの電子書店で仕切りのパーセンテージが違ったりすれば、なおのことだ。

こうした状況は、紙の書籍ではあり得ない。どの大手取次を通そうがほとんどの書店に流せるし、当たり前だが価格は1円単位で出版社が自由に決められる。

現実に、電子書籍を発行する出版社では、こうした事態に対応するため、たとえば著者印税も「販売金額の●%」でなく、「出版社売上の●%」とかにせざるを得なくなっている(いずれ電子書籍流通が現在の紙の書籍並みにきちんと整理されるようになったら変わるかもしれない)。

物理的に価格を統一できずチャネルごとに価格が違うのであれば、そもそも再販制度の前提になる「定価」という意味がない(とまでは言わないが、「定価販売のはずなのに書店ごとに値段が違う」という現象に、読者は納得しづらいだろう)。

次に、「多様な書籍流通のため」という、再販制度の存在理由が薄い。



つまり電子書籍の場合、物理的に書店の棚を占拠するわけではない。もちろんサーバー上のわずかなビットスペースは占めてしまうが、そこに置いておくコストは極小だから、電子書店の品揃えは物理的な書店の品揃えをはるかに凌駕しやすい。

リアルな書店の棚は限られるため、紙の書籍は売れないとすぐ返本されてしまう。だからこそ「効率第一になって書籍の多様な出版が無くなる」事態を防ぐため、再販制度が必要だったわけだ。

これに対し電子書籍の場合、「理論的には」だが、売れなくてもほって書店に置いとけばいい。まさにロングテールでちょぼちょぼ売れるかもしれないし。

とまあ、電子書籍では、仕組みで多様な流通を担保できる。

なら再販でなくてもいいじゃん。



――大きく言うと、これらの特徴から、電子書籍には再販制度の必要性が薄い。公取が非再販商品に指定したのには理由があるわけだ。

私も再販でなくていいと思う。みんな好きな書店で買えばいいさ。「ここはとにかく安いから」とか「ここはちょっと高いけど、検索性やリコメンデーションが優れているから」とか、「ここはきちんと日本に法人税を払っているから」とか。

とはいえ、公取の公式理由は「再販は対象がモノであり、電子書籍はデータだから対象外」。なんの大岡裁きだこれ。

電子書籍が非再販であるべきかどうかという本筋を外れて観測するなら、これはいかにも「法律文章をいじくり回し、保身のためどこからも突っ込まれないようにひねり出した」お役人らしい「疑問の多い理由」に感じる。

これ絶対今後、出版界以外の場所で、各方面に問題を発生させそうだ。危うい。大丈夫かなあ……。

ついでに関連する話題を最後に書いておくと、「電子書籍はロングテール」というのには、実は現場では疑問が呈されつつある。電子書籍にも「絶版」があり得るのではないかという話だ。これは実は極めて重大な案件であるので、明日書いてみる。

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