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『渡米移民の教育 栞で読む日本人移民社会』と現代日本の技能実習生制度、ヘイトスピーチ

先日、『渡米移民の教育栞で読む日本人移民社会』(横田睦子著)を読みました。
明治維新以降、渡米していった移民について、色々な視点から記述されているもので、そもそも私自身が知識として全く持ち合わせていなかったことまで幅広く紹介されていました。



日本から海外への移民も受け入れ国にとっては労働力そのものでしかなく、当初は労働者のみが働きに出るというもので、しかも当時の人権状況からは奴隷のような扱い、命すら落とす過酷な状況でした。自殺も多かったということであり、こんなはずじゃなかったという人たちは少なくなかったのではないかと思われます。
海外に移住しようにも、普通は自分で段取りをしてなんていうのは不可能です。そのため取扱機関に応募し、そこに委ねるということになります。その取扱機関が官製のものから民間のものへと移行していきますが、民間に移行していくと、その民間業者による詐欺まがいの事件が頻発したということであり、これは現代にも通じるものがあります。
言わずと知れた技能実習生制度です。主に中国人労働者を第1次産業などが大量使用し、しかし、その過程でパスポートを取り上げたり、虐げたり、賃金を払わなかったりなど、違法行為が蔓延し、社会問題化しています。中国国内のブローカーもひどく、多額のカネを巻き上げたりなど人身売買のような状況です。
日本の外国人技能実習生受け入れ機関の不正行為、4年連続で増加=賃金不払いが最多―華字メディア」(レコードチャイナ2015年4月16日)

現代の技能実習生は、家族から離れ、孤独な中でいじめられ、それが殺人事件にまでいきつくとはあまりに悲惨です。
このままではまた起きる実習生による事件

技能実習生制度をみるとき、逆に遠い明治時代においても、やはり海外で働こうとする日本人も同じような状況に置かれていたということを思い起こすべきでしょう。これも国策としての労働力の輸出ですから、やっていることは実質、人身売買であり、技能実習生制度と同じです。

その後のハワイや米国西海岸への移民は、後から家族を呼び寄せるということが前提になっていますので、土着が想定されていたものです。生活していくという態様へと変わります。
一番の驚きは、この時代に海外移民に伴う心得が印刷物として発行され、それが移民の間での道しるべになっていたことです。非営利団体や教会が中心なって発行されきたということですが、これをこの著者は「栞」と表現しました。とてもやさしい表現です。
それが移民たちにとっての心の支えであったりすること、この明治の時代に印刷物として発行され、そこに秘められた思いが移民たちに引き継がれていくことに遠い異国の世界に渡っていった人たちの気持ちが伝わってきます。

米国への移民政策は、最後には移民排斥により終焉を迎えます。これが日本人だからというそれだけの理由で行われたということが重大です。
米国社会を脅かす存在として移った日本人移民が排斥されていく様は、ひどい偏見に満ちあふれたものであり、それを米国が国家として行ってきたことに異様性があるわけです。太平洋戦争中の日系人の強制収容という人種差別にもつながっていくわけです。
翻って現在の日本社会はどうなのか、ヘイトスピーチに見られるように一部には露骨に韓国に対する嫌悪感情を表す層が出現しました。
ネット上でも中韓両国に対する嫌悪感情むきだしの主張には恐ろしいものを感じざるを得ません。
匿名社会の中で「正義」を自称する人たち

私たち先代が受けた差別的取り扱いは、今、この時代において他国の人たちに同じようなこをしようとしているというこを改めて見直すことが必要です。
歴史に学ぶことを忘れてはなりません。

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