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電子書籍を公取は「非再販商品」に指定。 ――書籍の再販制度の存在意義とは?

さて、定見のない本ブログでは、折々の時事ネタから編集者の日常話、私が見聞した出版界・マスコミ界の小ネタまで、けっこう幅広くアップしている。

今日は、私も仕事で絡んでいる電子書籍関連のネタでも。

公正取引委員会が、電子書籍を「非再販商品」としたって奴だ。このネタ、ちょっと長くなりそう。3日間くらいに分けるつもりだが。。。

長くなるんで、このニュースを聞いたときの私の感想をまず書いておくと、「そりゃそうだろうな」というもの。なぜなら電子書籍では紙の書籍より「再販にしておく必要性」が薄いからだ。順次書いていく。

再販商品ってのは、要は「定価販売品」のこと。一般の書籍のほとんどは指定再販商品だ。

実はブログで再販のことを書くのは、割と気が重い。

出版流通のことを知りもしないのに「悪の守旧派出版社乙」みたいなコピペ反応する方が、必ずいるからだ。

たとえば先日、「書籍の定価販売は、強者である出版社が弱者たる書店に押しつけた、けしからんシステムである」とお考えの方がいらした。

もうこれ二重三重に間違っていて業界人からすると驚きの認識だが、そう考えている人がけっこういるかもしれないので、一応ここでちょっとだけ書いてみる。

最初に書くが、「再販を止めて自由価格販売にしよう」という話になったら、いちばん反対するのは明らかに書店だ。

再販を全面的に取り止める、つまり「書籍は自由に小売店(書店)が割引販売できる」となると、どうなるか。

まず、委託販売制度がほぼなくなるだろう。

委託販売とは、売れ残りを返本(返品)すれば、書店は1円も損しない制度のことだ。これを維持したままでは再販が止められない。弊害の一例だけ書いておくと、たとえば激安書店で書籍を買ってきて「自店の売れ残りです」として定価で返本する書店が現れる。

委託販売が廃止になると、要は書店が売れ残りのリスクを一身に背負うことになる(現状では出版社が売れ残りのリスクを全部被っている)。自分の仕入れ予算で仕入れることになるからだ。もちろん仕入れ金額の金利負担が掛かる。

売れ残りは投げ売りするか捨てるかバッタ屋にでも流すか、となる。もちろんそれは大損だ。

今でさえ万引きで、書店はどえらい被害を被っている。2008年調査では、大手書店14社で万引き被害額が年40億円、これから推計すると全国で約200億円だ。

そんな状況で、これ以上書店が持ちこたえられるか疑問だ。書店が再版制度を廃止したがるとは思えない。

次に、書店の反対は置いておいて、仮に再販が無くなったときに書籍の世界で起こるだろうことを書く。ここは明日のエントリーにて。

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