記事

都条例とAVと自衛隊批判(赤旗)に通じる根本意識

今日図らずも2つの記事を読んみました。

それは次の2つです。

AV女優「きよみ玲」、現役の中央大学法学部生だったことがバレる | ニュース2ちゃんねる

空自元幹部 犯罪の闇/風俗店と“戦争ビジネス”兼業/あまりに低い人権意識 - しんぶん赤旗

自分はこの2つの記事およびそれへのコメント(ブックマークコメントに限らない)に少なからず「東京都青少年健全育成条例改正」に通じるものを意識せざるを得ませんでした。以下は穿ちすぎな面もあるだろうとは思うが感じたものをそのままに書いてみることにします。

まず前者の記事であるが、特に2chという特性もあるのではあるだろうが、「大学生でAVなんて」や「高学歴なのに」といったコメントが少なからず記されていることです。

その多くが(経験の上での憶測ではあるが)男性によると類推されることを考えると、それを「消費する主体」であるはずである。

そう考えると、自ずと「AVという媒体に出る女性は、社会的にはステータスとして認知されることの多い『高学歴』という属性を認めたくない」=「AVに出る女性は少なからず『社会的ステータスは低くあるべきである』」という意識が透けてきます。

そこには「女性」と「性欲」を結びつけることを半ば「嫌悪」する意識が無くはないでしょう。ここのコメントにあるかどうか、ということとは関係なく、男性がそうである場合には「遊び人」程度で、場合によっては「モテ」といった僻み半分の称揚さえ有り得るにも関わらず、女性のそれは「売女」だの「ビッチ」だの、酷い場合には「肉便器」だのと言った言葉で露骨な否定で揶揄されることとも関係すると考えます。

後者の記事では、もちろん自衛隊という組織における問題や、「女性」被害の軽視、パワハラとセクハラが複合した際の破壊的影響などを全く無視していることは非難されてしかるべきで、そういったことを追求するのが民主党が政権を取り、社民党が迎合政党に成り下がっている今、共産党しかない、という点は評価もしますが、一方で「国民保護法」というのは旧軍の少なくない「民間人の防衛を軽視ないし無視する」といった事態への反省も踏まえて「国民を(というよりも住民を)」防衛するために存在する自衛隊という位置づけを明確化するための法制であり、それに関わるものを単純に「戦争ビジネス」と言い切ってしまうことは多くの問題を孕むことでもあります(というよりも、それを言ってしまえば究極的には警察への備品納入業者は全て「権力の横暴を促進する業者」である、といった極論を招きかねない危険もあります。それを肯定すれば、では全員セコムと契約でもしますか、といった「貧者の軽視」にもつながりかねません)。しかし、それは置いておくとして、記事の最終段の文章は、いわゆる「風俗」は「悪」である、という概念によって構成されているとしか言い様が無いように思えます。

そして、そうであるならば、それは「悪」に「従事“せざるを得ない”」という見方が典型的に見受けられることにもなります。

しかし、本当にそうなのでしょうか?少なくとも赤旗における「必要悪」という表現には「女性」を性産業(≒風俗産業)に、「男性の性欲故に縛る」ことが「必要悪」として許容されている、としか読み取れません。その上で、「必要悪」であるからには、「しょうがない」という側面が社会的に許容されている、と。そのこと自体は非難に値するものかもしれませんが、果たしてその非難はどうあるべきなのでしょうか。自分としては「しょうがないよね」の後に続ける言葉は「男性だもの」という「女性を従業員とした風俗産業(の主体)」に対する「必要」ではなく、「しょうがないよね」の後には「人間だもの」という相田みつを風の言葉を添えたいと考えます(個人的には相田みつをの言説は嫌いなのですが)。現状の性産業を「必要悪」と言ってしまう言説には、違和感を通り越して、結局は「ヘテロ兼男性優位思想」を感じざるを得ない、ということでもあります。もちろん、人身売買や脱法渡航の金銭代償としての風俗への「嵌めこみ」は、そもそもの尊厳の問題として「自由主義原則」の点からも取り締まられるべきです。

ただし、ここで思うのは、果たしてそれは「必要悪」なのか、そもそも「悪」なのか、という点です。

主観だけで語るならば、雑誌「anan」がセックス特集を組み、また少女マンガという(本来は)純然たる「女性向け」の媒体において、「性」という問題が語られてきたのは何故なのでしょうか。少なくとも「男性」と言う属性が「恐らくは中身をまともには読まないだろう」という前提の下に「女性向け」に「性を語る」ということを「担ってきた」ということは考えられないでしょうか?

逆説的に言うならば、「女性の性」(もっと言えば性欲)に対して、社会がどれだけ真剣に向き合ってきたのでしょうか。

恐らくは女性の性という点において、相当程度「否定的」であったであろうことは想像に難くありません。

問題はそこにあるのではないでしょうか?

そう考えた際、都の条例改正(並びに各都道府県)において、いわゆる「有害図書」の拡大傾向が主として「BL」や「少女コミック」に向けられていることは、決して無関係ではないでしょう。

どこかの阿呆が「レイプするくらい元気があって良い」と言ったような過去の政治家の言動もありますが、それを否定し、他者尊重の面で「お互いに性欲はあるものだ」ということを認めていくことを、旧来の男根・男性優位者は恐らく認めたがりません。

そう考えを進めていった際、上に例示した2つの記事は、そのいずれもが、書き手の背景にそれらの旧来思考を依然として強く残しているのではないか、と思えてなりません。

少なくとも、ビジネスライクに考えるならば、中卒だろうが高卒だろうが大卒だろうが、優秀な人は優秀ですし、そうでない人はそうでない人です。それはAVだろうがなんだろうが、増してそれが男性向けだろうが女性向けだろうが、一切関係はありません。

そして、「男性向け」ならば「必要悪」であるならば、そこには当然「必要悪としての女性向け」が対置されるべきで、そうでないならばそもそも論理的におかしいとしか考えられません。

加えて、大学だのなんだのと、その所属だけをもってして「生活苦“ではない”」だの「学歴がある故に“ダメだろ”」と言った言説そのものが、石原都知事を核として促進されている「ヘテロ規範の強化」ということでしかなく、それが社会秩序という本来であれば実効性、性犯罪抑制の点から疑問視が多々提示されている理路を強化することでしかない、という点は意識されるべきではないでしょうか?

加えて、セクシャルマイノリティをはじめ、「性」という問題を「平等」に「開放」するのであれば、純然たる(容認されざる)マイノリティはまず「(マジョリティたる)女性の性」を解放しなければ、自身の性の解放など到底及ばず、また偏見も差別も無くなることが無い、という点は意識されるべきかと考えます。

短絡なフェミニズム批判が時として滑稽であり、またその批判の主体たる人間が現状での性産業や性表現を、「公の統制下において肯定」するならば、それは滑稽を通り越して「悲劇」でさえあり、加えて現状の「性産業」(これは風俗そのものに囚われず、もっと広い意味でAVだのエロ同人誌などを含めて)を肯定するのであれば、そこには必然的にヘテロたる女性の「性の解放」が結びつくべきで、それは結果として「セクシャルマイノリティ」の「性」の「解放」をも射程としなければ、到底「机上の空論」でしか在り得ない「無気力な体制批判」としてしか存在し得ないのではないか、とさえ感じます。

とりとめもなく書きましたが、漠然と「ヘテロ男性優位社会」への「回帰・反動」傾向を強く感じていた昨今に、年始早々飛び込んできた記事だったので、まとまりもなく書いてみました。

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