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佐藤優さんと宮崎学さんに聞いた、これが『「殺しあう」世界の読み方』だ!

今年の日本における最大の衝撃は、間違いなくIS(イスラム国)による人質殺害ではないだろうか。

日本は、第二次世界大戦で敗戦国となった。そして、それから70年間、僕たちは戦争に手を染めず、平和国家を貫いてきた。「戦争はしません」と標榜していれば、相手もそういう国だと扱ってくれる、つまり日本国民は理不尽に殺されないと、信じてきたわけだ。そんな甘い考えが、打ち砕かれたのだ。

いまや「国」を名乗る過激集団が、「日本はわれわれの敵だ。日本人と見れば即、殺す」と宣言している。かつての戦争は「宣戦布告」がある、国と国との闘いだった。ところが現代は、いずれが敵で、いずれが味方かわからない状態で、人びとが殺しあいに狂奔する。「テロの時代」になってしまったのだ。

そんな現代を、「殺しあう世界」に入ったと僕は考えている。そして、いままさに、日本はこの「殺しあう世界」に巻き込まれているのではないかと思っているのだ。そんな危機感をテーマに、文化放送の「田原総一朗オフレコ!スペシャル」という番組で、宮崎学さんと佐藤優さんと徹底的に議論した。2人は、いま僕がもっとも恐れ、発言に注目する論客だ。原稿を書くときも、彼らならどう考えるだろうと、その顔を浮かべることも多々ある。そんな2人が、「殺しあう世界」をどう読むか、日本人は「殺しあう世界」とどう向かいあっていけばいいのか、徹底的に議論をして、答えを導き出してくれたのだ。

まず、「殺しあう」世の中の根底には、経済格差がある。格差といえば、世界的ベストセラーとなった、トマ・ピケティの『21世紀の資本』がある。佐藤さんはピケティと対談もしている。ピケティは、「大戦争以外で、本格的に格差が縮まることはない」と言い切っている。それに対して佐藤さんは、「その通りで、格差の問題は今後も続くだろう」と言っていた。そして、「格差は、焼きもちをかき立てる。あんなやつが、あんなにカネを持つなんてけしからん、という気持ちが広がりつつある」とも語っていた。

ただし、2人とも本質的な問題は格差ではないとも主張する。問題なのは「絶対的貧困」だと。つまり、日々食べていけないことが「絶対的貧困」であり、絶対的貧困は、イコール「死」となる。絶対的に食えないから革命が起こる、これが「絶対窮乏化論」だと、宮崎さんは語る。「革命ではなく経済の流れのなかで、権力の問題ではなく経済の問題として、絶対窮乏化論が息を吹き返してくる可能性がある」宮崎さんは、いまのアフリカやイスラム国の状況も、「窮乏から逃れる道として自然発生的にああいう武装闘争をするしかないんじゃないか」と見ていた。

僕らの学生時代は、貧しい家庭に生まれた子どもでも、ちゃんとした教育を受けることができた。頑張って勉強すればよい大学に入れて、よい会社に入れる、つまり、高収入の仕事に就くことが可能だったのだ。教育に関しては、一貫して右肩上がりの時代が続いた。祖父の代より父の代のほうがよい教育を受けることができた。さらに、その子どもの代では、もっとよい教育を受けることができた。ところが、その右肩上がりの時代が終わろうとしている。

現在の日本、とく大都市圏では、私学の中高一貫校に通わせ、さらに塾や予備校にも通わせなければ、よい大学に入ることができない。つまり、経済力のある家庭の子どもでなければ、一流大学の受験で合格することが困難になっている。「貧困が固定化」しつつあるのだ。これは、大問題である。

格差を広げる資本主義が、嫉妬を生み、「殺しあう世界」にしてしまう……。そんな現実に、僕はおおいに危機感を持った。この「殺しあう世界」に、僕たち日本人はどう立ち向かうべきなのか。宮崎さん、佐藤さんがどんな答えを出しているのか。

この2人との激論は、『「殺しあう」世界の読み方』(アスコム)という本にまとめて、今週から店頭に並び始めた。ぜひ、ご一読いただければと思う。

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