- 2015年06月01日 09:00
小泉進次郎の24時間拝見 -政界で歩くマナーの教科書と呼ばれる理由 - 常井健一
2/24 ジジ殺し なぜ、ダメな上司を立てるのか
青年局で上司だったのが組織運動本部長の竹下亘衆議院議員。ある会合で進次郎はこんなことを言った。
「竹下登先生に『組織しながら選挙する。選挙しながら組織する』『汗は自分でかきましょう。手柄は他人にあげましょう』という名言があります。僕もそういうことができる政治家を目指しているんです」
事前に竹下登のことを徹底的に調べ上げ「これは!」という一節を覚え、弟の亘議員をしっかりと立てるわけだ。
選挙演説でこんなこともあった。「地方創生担当政務官の小泉進次郎です」と言う際に、必ず「石破茂大臣の下で」という一言を付け加える。さらに、「何か提案するときも石破大臣は、『じゃあやってみて』と非常に仕事がやりやすい上司なのです」と言う。これで人々の頭の中には、今ではすっかり影の薄くなった石破氏がインプットされるというわけだ。自分の言葉がどれだけメディアに乗り伝えられるかを理解しているから、上司を立てつつも自分の存在感を示すことになる。
先輩や上司との付き合い方で、こんな優れたテクニックも用いる。党の重鎮である大島理森衆議院議員に、「先輩、何かいい本ありませんか」「おまえにはこれを勧めるよ」、とそんなやり取りがある。次に会ったときには自然と意見交換をし、違う相談まで持ちかけられるようになる。大物議員にしても教えを請われれば気分がいい。「先日、進次郎が僕のところに来て、何かいい本はないかと言うからあの本を渡したんだ」と地元で言えば、大いに受ける。これは究極のジジ殺しだ。
ビジネスの世界でも、先輩にいきなり「あの会社の営業の仕方を教えてください」と、個別具体的な依頼をしても難しい。そこで、進次郎にならって本を媒介にしてプライドをくすぐることで人間関係をつくり、そこから相談やお願い事などの各論に入ってはどうだろうか。うまくいく可能性はグッと高まるはずだ。
5 自己演出 なぜ、会議に1秒も遅れないのか
昨年12月、総選挙の演説で福島県相馬市に行ったときのこと。地元のおばちゃんたちがおにぎりと豚汁を用意してくれていた。進次郎は「旨い、旨い」とマイクを通して言う。ただ、次の遊説地へ移動しなくてはならず時間がない。そこで彼が、
「じゃあこれ、車の中で食べるから持ってっていいですか」
と言うと、どっと沸いて盛り上がるのだ。普通の政治家なら2、3口食べて「ごめんなさい、時間がないから」と言い訳がましくなるが、進次郎はまったく別の行動を取る。彼がやるとわざとらしさが見えないところもいい。そこでファンがまた増加するのだ。
今年の正月にも横須賀でサッカーチームの初蹴りイベントに参加した。そこでも炊き出しのカレーを振る舞われたが、少し食べた後で皿を持って立ち上がり「車の中で食べよう」と言った。ここでも好感度は大きくアップした。
進次郎が自民党青年局長時代、青年局の昼食会が毎週金曜日に開かれていた。そこで彼は若手議員に国会での作法を教えていたのだが、
「会議には1秒も遅れてはいけない。議連は時間にうるさい。1秒遅れてもうるさく言われるから気をつけてください」
「会議が重なって中座することもあるが、自分のしたい質問だけして、答弁を聞く前に退室するのはよくない」
「委員会で質問するときは、カメラのほうを向かずに大臣を見ること」
という実用的なアドバイスをしている。ぶら下がり取材のときでも、一切カメラ目線にはならず質問者の目を見て話す彼は、どんな場面でも、目の前にいる人に対して非礼にあたるかどうかを常に考えている。
移動中にも、寝ることはほとんどなく資料に目を通し、現地の案内役を質問攻めにして予習する。入念な下調べは、やはり訪れる土地の強みを知り、初対面の人々とも一瞬で心の距離を縮める演出なのである。 (文中敬称略)
小泉進次郎氏プロフィール
1981年4月14日生まれ。AB型。88年、関東学院六浦小学校入学、以来中学・高校・大学と関東学院。2009年、衆議院議員初当選。13年、内閣府大臣政務官・復興大臣政務官。趣味は、野球、サーフィン、ゴルフ、読書、落語。嫌いな食べ物は、生のトマト。幼稚園時代のクリスマスプレゼントは山盛りのヤクルト。疲れたときは栄養ドリンク「レッドブル」。
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