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日EU首脳会議:EPA交渉加速が焦点

日本と欧州連合(EU)の定期首脳会議が、5月29日に東京で開催される。EUはユンケル欧州委員会委員長、トゥスク欧州大統領(欧州理事会常任議長)が出席する。日EU関係と日米関係は、経済、安全保障をめぐる課題に重複する部分が多い。しかも、双方とも興隆する中国の“影”から逃れられない。

急がれるEPAとTPPの決着

世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンド多角的貿易自由化交渉が先進国と新興国の鋭い対立で停滞する中、限られた地域での自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)圏づくりは活発化している。米国のオバマ政権は2016年の大統領選挙を控えレームダック状態に陥る前に、日本を含む11カ国の環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)交渉の早期合意実現に躍起だ。

日EU間の経済連携協定(EPA)も現在、交渉が進んでいる。安倍首相は年内合意に意欲的だが、EU側はこれまで期限設定に同意しておらず、首脳会議での出方が注目される。EUは日本の公共調達市場の一層の開放、非関税障壁の撤廃などを重視。一方、日本は自動車関税の撤廃などを求めている。

日本とEU諸国は1970-80年代、貿易摩擦で激しく対立。当時のECは、日本市場が閉鎖的だとして批判を繰り返した。そうした”袋小路”的状況を打開するために数カ月にわたる交渉の末に1991年7月に発表されたのが日EC共同宣言であり、これに基づいて政治や科学技術など様々な分野での対話が本格化してきた。1993年11月にECがEUに衣替えした後、共同宣言発表10周年に当たる2001年12月にブリュッセルで開かれた首脳会議で、「共通の未来の構築―日・EU協力のための行動計画」が発表され、パートナーとしての協力関係を確固としたものにする道筋が付けられ、日本とEUは「成熟した関係」に入った。

近年では貿易摩擦も緩和し、EUの対日貿易収支はサービスに限ってみれば大幅な黒字となっている。2013 年には物品貿易収支の赤字を差し引いても、EU側は対日貿易収支全体で黒字を計上(下表)。ただ、EUにとってアジアにおける最大の貿易パートナーは中国であり、日本は二番目の存在だ。


経済関連で日本とEUが鮮明に立場を異にするのが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題だ。英国が口火を切り、ドイツ、フランス、イタリアの主要国を含む多くのEU加盟国が参加を表明した。これに対し、日本は米国への配慮やAIIBの透明性・融資基準への懸念などから、様子見の姿勢をとっている。国際金融体制の覇権をめぐる米中のせめぎあいに日本はどのように対応するのか。EU諸国の動向を横目で見ながら、日本は慎重に動向を分析している。

中国の海洋進出に懸念

日本の安全保障法制関連法案については米軍と自衛隊の連携強化に注目が集まっているが、同法制では、国連平和維持活動(PKO)協力法を改正し、国連が直接関与しない活動も「国際連携平和安全活動」として自衛隊が参加できるようになり、例えば、EUのような国際機関が求める人道復興支援も新たに対象となる。

自衛隊とEU加盟国軍の交流・協力はアフリカなどで既に始まっており、安全保障面での日EU協力は今後、より緊密化するとみられている。首脳会議後に発表される共同声明は、報道された原案によると、安倍首相が提唱する「国際協調主義に基づく積極的平和主義」に言及したうえで、「切れ目のない安全保障法制への取り組みを含めた日本の努力をEU諸国は歓迎する」との文言を盛り込む見通しだ。

中国による積極的な海洋進出、とりわけ最近目立つ、南シナ海における岩礁埋め立ての活発化も重要な議題だ。共同声明では「東・南シナ海での緊張を高める恐れのある、力や、強制を含む一方的な行動を控える必要性」に言及する方向だ。

地球温暖化、テロ対策

EUが国際的な議論をリードしている地球温暖化対策では、最近日本の“守勢”が目立つ。EUは2015年末にパリで開かれる国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で、世界全体の温室効果ガスの排出量を2050年までに対2010年比で60%削減するという高い目標を提案する方針だ。

日・EU間ではイスラム過激派などによるテロ対策や途上国への開発協力など、グローバルな課題での協力も着実に進んでおり、EUとの協力関係強化は重要な外交課題の一つになりつつある。

nippon.com別館、執筆=nippon.com編集部・村上直久

■元記事
日EU首脳会議:EPA交渉加速が焦点
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