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  • 橘玲

今年はなにかいいことがあるのだろうか?

しばらく中東や南欧をうろうろしていて、ひさしぶりに日本に戻って、たまっていた新聞を眺めていたときの感想が、このエントリーの表題です。

新年にかけて、あちこちで日本の「課題」が指摘されています。それによれば、日本がこうなった理由はほぼ解明されていて、簡単にいうと次のようになります。
  • 終身雇用や年功序列に象徴される日本的システムは、1940年代につくられた国家総動員体制(野口悠紀雄『1940年体制―さらば戦時経済』)を基に高度成長期に完成した。
  • この日本的システムは環境にあまりに最適化していたために、90年代以降の人口減と低成長の経済にはまったく適応できなかった。
  • さらには冷戦後のグローバル市場の成立やICT(情報通信産業)の急成長など、新しい環境にもぜんぜん対応できなかった。
  • こうして日本経済は、絶滅寸前の恐竜のようになってしまった。

で、これについての処方箋も、だいたい言い尽くされています。
  1. 新しい経済環境に適応できるよう、社会システムをつくりかえなくてはならない。
  2. 拡大する市場は外(中国やインド)にしかないのだから、企業はグローバル化しなくてはならない。
  3. 少子高齢化で市場が縮小しても利益を出せるようなビジネスモデルが必要だ。

どれももっともですが、ひとつだけ問題があります。これらはすべて、ずっと前からいわれつづけていることばかりなのです。

それではなぜ、現状分析も処方箋もわかっていて、なにひとつ問題が解決しないのか。それは、「改革」によって既得権を奪われるひとたちが(政治の世界でも会社でも)死に物狂いで抵抗しているからです。

そこで、社会が変わらないのであれば、個人が新しい時代に合わせて人生設計を組み換えていかなくてはならない、すなわち国家のリスクと個人のリスクを切り離すべきだ−−そんな発想で『ゴミ投資家のための人生設計入門』を書いたのが1999年(その後、『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』として文庫化)のことですが、この主張は現在でもそのまま通用します。

これはべつに、私に先見の明があったとか、普遍の真理を発見した、などということではありません。小泉改革や自民→民主の政権交代など、この10数年のあいだにいろんなことがありましたが、それでも日本社会(日本的システム)はなにひとつ変わらなかったからです。むかしの本をいまでも買ってもらえるというのは著者にとっては素晴らしいことですが、正直、ちょっと複雑な心境です。

今年はどんな年になるのでしょうか?

北朝鮮情勢はきわめて緊張しており、いつなにが起きても不思議ではありません(WikiLeaksで中国の政府高官の発言が暴露されましたが、中国はすでに北朝鮮を見捨てていて、米国が朝鮮半島の北側に兵力を展開しないことを約束するならば、韓国による北朝鮮併合を認めるつもりのようです)。

その中国はインフレと不動産価格の上昇に悩まされており、為替管理や金利調整による市場のコントロールは限界に近づいています。いずれバブル崩壊→通貨・金融政策の抜本改革は避けられないでしょう(それでも中国経済の潜在成長力は高いと思いますが)。

ユーロ危機はECBの介入で小康状態を保っていますが、ギリシアが2013年までに財政を健全化させるのは不可能なので、行き詰まるのは時間の問題です。ドイツ離脱などユーロ圏の解体はないとしても、混乱はまだまだつづくでしょう。

それに対して日本では、まるで時間が止まってしまったかのように、民主党内の権力闘争がえんえんとつづいています。おそらくは今年もまた新しい総理大臣が誕生することになるでしょうが、だからといって、(だれもがわかっているように)けっきょくは同じ茶番劇が繰り返されるだけでしょう(大連立が成立すれば、消費税は上がるかもしれません)。

昨年8月に見よう見まねでブログを始めて、いろんな発見がありました。将来の計画というのもとくにないのですが、とりあえず今年も、(昨年よりペースは落ちるかもしれませんが)思いついたことを気楽に書いていこうと思います。

というわけで、今年もよろしくお願いします(そして、どうかお手柔らかに(^^;)。

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