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「聞かれたことに答えないか、矛盾したことを答えていた」本会議質問を終えて枝野幹事長

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 衆院本会議での安全保障関連法案への質疑を終えた枝野幸男幹事長は、26日午後、記者団の取材に応じた。

答弁に対する全般的な感想

 記者団から、質問に対する答弁全般について受け止めを問われ、「予想されていたことだが、聞かれたことに残念ながら正面から答えていない、あるいは相変わらず矛盾したことを答えている」と述べ、特に気づいた点として、(1)なぜ集団的自衛権の行使がわが国の安全に資するのか(2)機雷除去が必要最小限の武力行使ならば、機雷除去を行うために制海権・制空権を確保するための行為がなぜ「必要最小限」に当たらないのか(3)後方支援を中断する際に、輸送や補給を受けている側(=米国など)とは別に、自分たちだけ逃げることができるのか――に関する答弁を挙げた。

 1点目については、自民党・稲田政調会長の質問への答弁の中で安倍総理が「日米安保に基づいて抑止力が高まる」との答弁をしたことに触れ、「今回の法案で日米安保条約が改定されたりなどして、米国の役割・責務が大きくなるわけではない。先般のガイドラインの改定では、わが国の役割・責務は大きくなっているが、米国の役割が大きくなっているわけではない」と指摘し、「まったく事実に基づかない、なんとなくそうなるのではないかという幻想、イメージに依拠した話で、根拠のないものだ」と切り捨てた。

 2点目については、「例えばホルムズ海峡が長期にわたって戦場になっているという状況であれば、石油が日本に入ってこないという状況は続く。機雷除去が必要最小限なら、論理必然的に、機雷除去が出来るように制海権・制空権を確保するための行為も必要最小限に入ってしまう。この論理必然なことについてきちんと答えていない」と批判した。

 3点目については、政府はかねてより、後方支援活動中に戦闘行為が行われた場合は現場の判断で中断するとの答弁をしていることから、枝野幹事長は「輸送や補給を受ける側(=米国など)と密接に連携している中で、現場の判断で中断し、自分たちだけ逃げるということがありうるのか」と質問。しかし、これに対しては、「PKOについて政府としての判断に基づいて各国と調整して中断したような過去の事例を挙げて『問題がない』と答弁していた。まったく根拠のない、聞かれたことと違う事例だ」と反論した。

自衛隊のリスクについての答弁

 また、自衛隊のリスクに関する総理答弁については、「今日の総理の答弁を聞いていると、『従来もギリギリのところでやってきたから、これ以上リスクが高まることはない』というようなロジックだ。国内での訓練と紛争地域に近いところでの活動ではリスクが違うのは当たり前で、『リスクが高まらない』というのは常識から外れている。リスクが高まることを前提として、どの程度高まるのか、それがわが国の安全のためにやむを得ないものなのか、という説明をしなければいけない」と批判した。

他国の領域での集団的自衛権の行使についての答弁

 本会議で、先日の岡田代表との党首討論の際の答弁を翻し、他国での集団的自衛権の行使もありうるとする答弁があったことについては「今日の議論を総合してみると、他国に行って戦争することもあるというのは、結果的に認めざるを得ないことになっているのではないか。しかも、機雷の除去を挙げて極めて例外だという印象付けをしようとしているが、だんだんと、いわゆる地上戦や空爆のようなことも必要最小限の範囲で行うということを答えざるを得ないところに、一歩ずつ追い込まれているのではないか」との見方を示した。

民主党政権下での成果等に言及した意図

 質問の冒頭で、民主党政権下での成果や領域警備法に言及した意図を問われ、「私たちは、反対のための反対はしていないし、『平和』と唱えていれば平和になるなどと考えているわけではない。むしろ、われわれこそが地に足を付けて領土・領海を守るということで、20年余りの自民党政権が続く中で出来なかった基盤的防衛力構想の転換などを実際に進めてきた。安倍自民党は、民主党は領土・領海を守ることに消極的だとい うネガティブキャンペーンをしようとしているが、それこそレッテル貼りだということを指摘しておきたかった」とした。

尾崎行雄、斉藤隆夫のエピソードを挙げたねらい

 尾崎行雄の言葉や斉藤隆夫の反軍演説を取り上げたねらいについては、「安倍総理は、いろいろなことについて戦後史だけを見ているのではないか。確かに安保闘争のときに戦争に巻き込まれるのではないかという話があり、そうはなっていないというのはその通りだが、その少し前には斉藤隆夫の反軍演説があり、議事録削除・除名処分というところから、大きな意味では彼が危惧したようなことになっている。歴史というのは、部分的に都合のいいところだけを見てもらっては困る。むしろわが国の近代、明治維新以降をトータルで見てもらわなければ、歴史を見ていることにはならない。そのことを安倍総理にも、国民の皆さんにも指摘したかった」と述べた。

質問全体の構成のねらい

かなり網羅的に法案全体に関わる質問だったのではないかとの問いには「決して網羅的な質問は出来ていない」と述べ、当初予定していた原稿では、今日より早口で読み上げても40分以上かかったことから、原稿を3分の1程度に削ったと紹介。「この程度の時間では網羅的になれない。質問時間を1時間ぐらい頂きたい。それほどたくさんの論点があり、11本の法律を2本にまとめて審議しろというのは無茶苦茶な話だ。ただ、その中で特に重要な点、今後の委員会審議に向けて、現時点での政府としての見解を確認しておかなければいけない点に絞って質問した」と述べた。

「木を見て森を見ず」との総理発言について

 昨日の自民党役員会で安倍総理が自衛隊のリスクに対する議論を指して「木を見て森を見ずといった議論が多い」と発言したことについては、「安倍総理の今日の答弁こそが『木を見て森を見ず』だ。一生懸命、部分部分を細かく切り取ってさんざん言い訳をしている。全体の構造として、間違いなく自衛官のリスクは高まる」と反論し、また「何が『木』なのか。現場に派遣される自衛官の命は少なくとも木ではない」と述べ、表現が適切ではないとの見方を示した。

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