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新興国に関してみんなが勘違いしている事

アジアの新興国に出張などで来られる日本人の方々から、ちょっちゅう聞く言葉がある。

「意外と発展してるんですね」

これは初めて来た方であればほぼ100%と言っていいくらい皆さんおっしゃる感想であるが、「意外と」という言葉が既に示している通り、この感想を抱くに至る元の前提が現実と異なっている。その前提とは以下のような誤解である。

新興国は日本よりかなり遅れている。
新興国の人は日本人より貧乏だ。

大多数の日本人がそのような誤解をしている。

何故そのような誤解が生じるのだろうか?

その理由は、「統計のまやかし」である。
統計そのものは数字であって、現実ではない。特に新興国のようにダイバーシティ(多様性、格差)が大きい場所では、「平均値」というものはほとんど無用であり、危険ですらある代物である。

例えばこういう事だ。

すごく貧乏な人が、すごく沢山いる国は、統計上では「すごく貧乏な国」となる。
でもその国には同時に世界比較で「中間くらいの所得の人」もまた沢山住んでもいる。
インドネシアにはその中間所得層が5千万人、インドには3億人弱いると言わる。日本と変わらないどころか、その何倍もいるというわけだ。

更には、どの国でもたいていの中間所得層以上の人々は都市部に住んでおり、貧しい人は地方に住んでいる。

だからデリーやジャカルタに日本人が行ってみると、ほとんど貧乏にも、遅れているとも感じない。食べ物の値段も家賃もぜんぜん安くない。きれいな高層ビルもあるし、スタバもトヨタもシャネルiPhoneもある。

「すごく貧乏な国」に来たはずなのに、東京とさして変わらない光景が広がっている、ゆえに戸惑う。それが冒頭の出張者が漏らす感想の原因である。

確かに、通信や交通インフラなど遅れて見える部分もある。
しかし通信は都市部ではどんどん発達しており時間の問題だし、交通に関しては、べつに新興国に限らずロサンゼルスもかなりひどいし欧州各地にも渋滞はある。
そもそもそれは発展度の問題ではなく集中度の問題であり、全人類的に起きている「アーバナイゼーション」、都市化の問題である。
バンコクは都市鉄道が出来て一時はかなり渋滞が改善したが、あっという間に都市化による人口激増にまた追い付かれ、渋滞が再び常態化してしまった。いま都市鉄道を建設中のジャカルタもそうなるだろう。

海外に進出して事業をつくるのがなぜ難しいかの要因を挙げるとキリがないが、その中でも案外意識されないが決定的に重要な点はここだろう。

国民の大半が所得の中央値400万円前後にごちゃっと集中している国の感覚で、フェラーリの色違いをコレクションする富裕層から素足の物乞いまで非対称的に共存している国のビジネス設計をしてはいけないのである。

Aという国に向けて事業など作れない。Xさんという特定のターゲット顧客が、具体的にどこに住み、何を食っている人なのかを見定めなければならない。それが新興国における事業開発の要諦である。

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