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総合区と特別区—大阪の地方自治の新たな方向性

 先日の住民投票で、大阪市を廃止して5つの特別区を設置する、いわゆる「大阪都構想」が否決され、特別区の設置は白紙となった。

 この特別区については、東京23区と類似の地方公共団体であることについては既にご承知のことと思うが、否決を受けて、橋下市長は「都構想」には反対であった自民・公明両党が対案として示していた「総合区」の設置を検討することで合意し、そのための検討作業に着手するように市幹部に対して指示を出したようである。

 「総合区」、少々唐突に見えるこの言葉、一体何なのか?今回はこれについて簡単に解説を加えるとともに、その設置を通じた大都市のこれからについて考えてみたい。

 「総合区」は、昨年の通常国会で成立した地方自治法の一部を改正する法律で、指定都市制度の見直しの一環として新たに導入されたものである。無論唐突に導入されることとなったわけではなく、内閣府に置かれた地方制度調査会で大都市制度の改革等について検討が行われ、その結論として得られたものを法制化したものである。

 ちなみにこの地方制度調査会、いわゆる審議会等という範疇に入る組織であるが、通常であれば各省設置法に規定されるか、政令をその設置根拠とするところ、地方制度調査会設置法をその根拠とし、第1条の目的にも「日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えること」と規定される等、我が国の地方制度改革を支える非常に重要な組織であり、地方自治法の改正に当たってはここで事前に検討が行われてきている。

 さてこの結論、「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」というものであるが、総合区制度につながる内容は以下のものである。

第2 現行の大都市等に係る制度の見直し
1 指定都市制度
(3)「都市内分権」により住民自治を強化するための具体的な方策
 指定都市、とりわけ人口が非常に多い指定都市において、住民に身近な行政サービスについて住民により近い単位で提供する「都市内分権」により住民自治を強化するため、区の役割を拡充することとすべきである。(中略)条例で、市の事務の一部を区が専ら所管する事務と定めることができることとすべきである。また、区長が市長から独立した人事や予算等の権限(中略)を持つこととすることを検討すべきである。

 これからすると、総合区は住民により身近な地方自治を実現するための制度ということであり、その趣旨目的は特別区と同じ方向性を持っていると言うことが出来る。

 では何が決定的に違うのかと言えば、特別区が法人格を持った、市町村と並びの特別地方公共団体(市町村は普通地方公共団体)であるのに対して、総合区は法人格を有しない、あくまでも指定都市内における行政区であり、住民に身近な行政サービスに限ってその独立性を強めるもの、という点である。

 総合区制度に関する具体的かつ詳細な事項は地方自治法第252条の20の2に規定されている。まず、総合区の区長は市長の権限に属する事務のうち、総合区の区域に係る事務を執行することとされている。これだけ聞いてもよく分からないかもしれないが、要するに、市長から区長に権限を委任するのではなく、総合区の特定の事務の執行については、市長が手を出さずに、区長が行うということである。

 特定の事務については、同条第8項では、主なものとして、まちづくりの推進や社会福祉、保健衛生等が挙げられているが、あくまでも主なものであり、具体的には条例で定められることになる。

 さて、この総合区、大阪であれば現在の24区がそのままそうなりうるのかと言えば、そうではない。同条第2項では、総合区の所管区域や名称は条例で定めるとされている。つまり、いくつかの行政区がいくつかにまとめられて総合区となることもありうるということであり、都構想で設置が予定されていた特別区と同じように、24の行政区が5つの総合区にまとめられるということも十分考えられる。

 もしそうなれば、大阪市は廃止されないものの、大阪都構想と見かけ上は同じということにもなるだろうし、総合区の区長の権限を出来る限り多くしていけば、実質的にも都構想に近づけることも可能となるのではないだろうか。

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