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映像制作者から見たNetflix脅威論・その2

「Netflix上陸による黒船的脅威論」・・・・よく考えてみるとこの説がかなり流布しているのは、やはり日本におけるテレビを含む映像コンテンツパワーが近年弱体化していることが原因ではないでしょうか。弱体化しているから脅威論に信憑性がでてくる。・・・こういうことではないかと推測する次第であります。

一方この間アメリカドラマコンテンツ製作業者・関係者はその質を20年前位前から飛躍的に向上させて来ました。94年のマイケル・クライトン原案の「ER」の頃から一流映画監督・プロデューサー・原作者など優秀な人材を投入してきました。この世界戦略には裏の仕掛け人が必ずいると思います。そうでなければあの組織・人脈や映画制作陣を引き入れることは出来なかったと思います。

ジャック・バウアーがテロと戦う「24」ではワーナーBROSのアクション映画チームを投入しました。もちろん世界各地の英語圏(イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランド等)で基本的に字幕なしで売れ、ヨーロッパなどでも販売が好調なので莫大な予算がかけられます。キャスティングも大物は使わず実力派を登用、脚本と演出と企画に力を入れる戦略です。また企画内容も挑戦的でテロ・SFからホラー・SEX話までアメリカでは放送コードのないネットテレビ・ケーブルテレビもあるので単一的にならない。また、銃も撃てるし、カーチェイスも出来る、麻薬も出てくる、超格差社会という世界の縮図の様なアメリカという国の現状が「見せ場」を作り、ストーリーに起伏を与えられるのでドラマ制作には不謹慎ですが最適環境だと思うのです。

「SEX&THE CITY」のパイロット版はわずか600万円でしたが無名の制作者に賭けケーブルTV局HBOを救いました。彼らは無名の若者に僅かな予算をあげて実験しています。聞くところによるとある若者がCGを駆使して学生仲間と500万で作った映像を見てハリウッドがその若者に最近20億の映画次回作を発注したそうです。もちろん失敗が前提です。「シャーロック」などでカンバーバッチを投入した英国テレビも元気です。

一方で、植物がすくすく伸びてゆくように、放送事業者が日本のコンテンツをどうすれば全体に底上げできるかを本気で考えないとNetflixの上陸が無くても現在、日本のコンテンツのクオリティを大幅に引き上げなければならない時期だと思います。ゲーム等のエンターテイメントが猛追して来ています。

ただし日本の場合、外国モノが苦手な方もいるので上陸しても、外資のスターバックスが日本国中の喫茶店を壊滅状態にした様に、アマゾンが出版界流通に革命を巻き起こした様には行かないでしょうが。日本のコンテンツ供給・製作サイドがNetflix上陸を機に果たして本当の危機感を持って、改革に着手し映像の未来を切り開くことができるか?結構、見モノです。

20年前のある日、英国BBCの某大物制作者が私を訪ねてやってきて弊社の代表的番組を色々見てゆきました。彼が「これだ!」と言ったのが「進め!電波少年」でした。その後、彼はBBCを離脱し「電波」をパクリ「リアリティーショー」と称して制作し世界中で大儲けしました。(本当は『電波』の土屋敏男さんにその権利があると思うのですが。今頃カリブ海の島一つでも持って、ビーチの日陰でピニャ・コラーダとか飲んでいても良いと思いますが。)日本は独自のクリエーティビティを持つ国です。ネットで「テレビオワタ」とか言われてビビっている場合ではないと思うのですが、いかがでしょうか。(了)

映像制作者から見た。Netflixは脅威か? - 5月18日

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