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9月20日 世田谷区議会での召集挨拶

私にとっては二回目となる世田谷区議会での召集挨拶を先ほど行なった。やや早口で40分にわたる内容だが、ここに掲載し関心のある方々にお読みいただきたい。この挨拶の終了後、公明、生活者ネット・社民、共産、みんな・行革の各会派から代表質問を受けて答弁に立った。

平成23年第3回世田谷区議会区長招集挨拶

平成23年第3回定例会の開催にあたりまして、ご挨拶申し上げます。

さる9月1日、大場啓二世田谷区元区長が享年88歳で御逝去されました。今日の世田谷区政の礎を築いた功績に心からの敬意を表すと共に、安らかな御冥福をお祈りするばかりです。私は、熊本哲之前区長が葬儀委員長をつとめる葬儀で弔辞を述べるにあたって、大場元区長の『手づくりまちづくり』と題する本を読ませて頂きました。

大場元区長が昭和50年(1975年)の公選制復活時の区長に当選・就任された頃は石油ショックを経たとはいえ、時代は高度経済成長の余韻を残していました。社会はまだ活気に満ちていて、今がどんなに貧しくても、真面目で誠実に働いていけば生活は向上し苦労は報われると信じることが出来た時代でした。
ここで、『手づくりまちづくり』の目次をひろってみましょう。

「おまつり仕掛け人−ふるさとづくりの始まり」
「煙突は雲になった−成功した色彩コンペ」
「住民参加の街並みづくり−都市デザイン室誕生」
「日本の新しい文化の核に−砧公園に美術館」
「『自然を守ります』会員募集中『せたがやトラスト協会』設立」
「古民家の囲炉裏に火が燃える−次大夫堀公園民家園」
「老後も幸せに世田谷で暮らす−高齢者福祉とふれあいサービス事業」
「地域に福祉のネットワークをつくる−総合福祉センター」
「住み、働き、憩う町−世田谷街づくり条例」
「『世田谷独立宣言』−特別区制度改革」
「まちづくり五つのアンテナ−『仮称地域事務所』開設」

21年前の平成2年に書かれたこの本には、元気と意欲、そして希望がみなぎっています。世田谷が全国の先駆けとなって、困難な壁を乗り越え、法と制度の谷間には橋をかけるバイタリティがあります。読み終えた私は、感慨ひとしおでした。「前例にこだわらない進取の精神」や「住民参加のまちづくりの流儀」は、時代の変遷を超えて区民の記憶や行政組織のDNAに宿っていると感じています。

バブル崩壊後から20年、すっかり日本社会は変わりました。たとえ真面目に誠実に働いたところで、生活は厳しくなり、うつむき加減に慎重に歩いていても、時代そのものが収縮していくような先細り感覚が拡がっています。世田谷区は日本の首都東京で、最大の基礎的自治体です。政治、経済、情報の発信地である東京に位置する世田谷区は、日本全国から見ると、素晴らしい情報環境と人的資源に恵まれています。私たちの前にあるのは単純な壁ではありません。力を発揮し、知恵を出して、乗り越えていく難題は山のようにあります。けれども、まず私たちが頭を持ち上げてしっかり前を見て歩みを止めないことが大切です。マイナス思考から大きく転換し、意気消沈しないで、必ず壁を破り、山を乗り越えるという「進取の精神」を私は受け継いでいきたいと思います。

現在、区政運営の根幹となる「基本構想」は、このように宣言をしています。

「世田谷区は、区民の創意と活力に支えられた『身近な政府』として、この基本構想のもとに、いっそう先駆的な取組みを進め、地方自治に基礎をおいた新しい地方・中央関係の確立をめざします」(平成6年9月20日区議会議決)

こうした気概を大切にしたいと思います。この平成6年(1994年)は、阪神・淡路大震災の前年であり、非自民連立政権で政治改革関連法案が成立し、細川護煕・羽田孜両総理を経て、自社さ政権で村山富市総理とわずか1年で3代の総理が交代した年です。以来、17年の月日が流れました。この間の社会情勢の変化を踏まえて、21世紀半ばへと歩んでいく「次の四半世紀」を見通すためのビジョンを示す時期に来ていると考えます。

そこで、平成26年度を起点とする、新たな「基本構想」及び「基本計画」の策定の準備に入ります。今年度後半から25年度までの約2年間をかけて、基本構想審議会を設置します。幅広く区民の皆様からの意見や提案を受けて議論を練り上げ、「基本構想」「基本計画」を策定していくこととし、このたび、世田谷区基本構想審議会条例を提案しました。

次の時代に向けた大きな一歩を踏み出すために、平成24年度から25年度の2年間は、現在の「基本構想」「基本計画」を継承しながら、同時に新たな政策ビジョンを組み立てる重要な時期にあたります。そのために、従前の区政を引き継ぎながら、新たな取り組みを加えていくために「区政運営方針」を示して、行財政基盤の確立と区政の新機軸への転換をはかります。

将来のビジョンを考える時、「持続可能な財政基盤」の構築が不可欠であります。そのためには、行政経営改革の取り組みを引き続き進めていかなければなりません。区の財政は依然として厳しい状況が続いています。歳入減が続く一方、行政需要は増大し、歳入不足を基金の取り崩しや起債の発行で賄っており、健全財政の持続が危ぶまれています。

このような状況の中、保育サービス待機児対策などの喫緊の課題や、生活保護費等の社会保障関連経費の増加、学校などの公共施設の改築・改修等整備経費の増加といった継続した財政需要への対応、また、災害対策、自然エネルギーの活用等の新たな行政需要に的確に対応し、区民生活を維持していくためには、「行政経営」の視点からの施策、事業の見直しを不断に続け、さらに持続可能で強固な財政基盤の確立を目指す必要があります。

平成23年度の予算編成では、行政経営改革を進め、約55億円の財源確保を図ったところですが、その多くは、単価や委託の見直しなど事業の効率化、工事や用地買収などの実施時期の先送り・優先順位の精査、民営化の拡大による事業手法の転換などによるものでした。景気低迷の長期化により、当面、税収の伸びが期待できない中、事業の先送りなどによるこれまでの財源確保策では、膨らむ行政需要への対応も限界に近づいており、経常的な経費にかかる歳出構造の抜本的な見直しなど、持続可能な歳入・歳出構造の制度設計を図っていく必要があると考えています私としては、今後とも、さらに行政経営の効率化を目指して、あらゆる角度から事業手法の見直しを進め、それに併せて、制度的な見直しを進めることで区民の理解を得ることが肝要であると思っています。

現在策定を進めております平成24年度から2ヵ年の「実施計画・行政経営改革計画」につきましても、「区政運営方針」のもとで、厳しい財政状況を踏まえながら、防災、環境、福祉など喫緊の課題への対応を優先するとともに、平成26年度からの新たな「基本構想及び基本計画」の策定に着手することを考慮していきます。また、主な見直し改善事業候補については、具体的に行政経営改革計画(素案)の中で、9月下旬にお示しいたします。これらを議会でご議論いただくとともに、パブリックコメント等で区民の方々からご意見をいただきながら計画を策定し、厳しい財政状況を踏まえた行政経営改革を推進し、将来の財政需要や景気変動にも耐えうる、持続可能な財政基盤を確保してまいります。

今回の「区政運営方針」の基本的視点を踏まえながら、私の政策を述べさせていただきます。

区長就任以来、被災地支援と共に力を入れてきたのが、「災害対策総点検」です。先般まとまった『区民意識調査』でも、区が積極的に取り組むべき事業として「災害に強いまちづくり」が48.6%とトップとなっています。出張所・まちづくりセンターを使って始めている区民との車座集会でも、災害対策についての意見や質問を多く頂いています。3月11日以後の「災害対策」について、区民の意識や関心も大きく変化しています。

現在、区では危機管理室を中心に全庁的な「災害対策総点検」を行なっています。その作業を進めながら、「水は確保されているか」「緊急時の自家発電は大丈夫か」「避難所等での備蓄は十分か」などのチェックを行いながら、従来までの災害対策マニュアルを再度、新たな視点で見直す作業をしています。

備品や機械などの調達の必要性に加えて、情報連絡のあり方や人と人をつなぐ組織のあり方の改革が必要不可欠です。行政組織全体のあり方を「災害対策」を基軸に練り直し、今後に備えていくことは、平時にしか出来ないことです。住民が力をあわせ、知恵を出す住民自治を土台で支える行政組織を構築していくことで、区民の健康と安全を守る基礎的自治体としての力量を底上げすることにもつながります。現在、8月時点での取りまとめを行なったところです。

総点検にあたって、東日本大震災の際に起きたような「帰宅困難者対策」や「勤務時間中に発災した場合の職員の対応」、「避難所となる区立小中学校における防災機能の向上」に留意しています。

3月11日の東日本大震災と原発事故を体験した私たちは、今後は「想定外」という言葉を使わないように平時にして考えられる、例えば、原子力事故対応や火山の噴火などの大規模災害をはじめ、あらゆる災害の形を想定してみることから始めます。さらに、総務省消防庁から各自治体あてに出された緊急点検項目を加えて、70の項目に渡って様々な角度から対応策を検討しています。

中でも、避難所で使用する物資の充実や帰宅困難者への対策としての物資の購入など、緊急性を要するものについて、この度、補正予算案として計上し、ご提案いたしたところでございます。

引き続き、地域の声を聞く車座集会で区民の皆さんからの声を頂き、来年1月には進行中の災害対策総点検をふまえた防災訓練を実施します。また、10月25日には災害対策専門家木村拓郎氏を招いて講演をいただき、自らも津波で被災された佐藤仁南三陸町長にもパネリストになっていただく防災シンポジウムを予定しています。

今年度中には災害対策総点検の結果をまとめ、改めて議会にもご報告させていただきます。区議会の皆様には、今定例会の中でも、活発なご議論をいただければと願います。

一方、被災地支援につきましては、6月に開催した世田谷区内の区営住宅等に避難していた皆さんとの意見交換での要望をふまえて、さらに期間を延長した住宅支援の方法を研究・検討してきました。その結果、区営住宅や世田谷の家46戸と、新たに民間賃貸住宅を確保して災害救助法にもとづく「応急仮設住宅」とすることを決めました。ただし、「応急仮設住宅」として認められる諸条件の中に家賃の制約がありました。

たとえ市場より低廉な家賃でも住宅支援事業に協力する「居ながらボランティア」をしませんかとの呼びかけに多数の申し出があり、諸条件を満たし「応急仮設住宅」として区が借り上げることが可能な 100戸以上の物件のご提供をいただきました。現在、新たな入居手続きが始まっています。区民、不動産業界等関係者の皆さんに感謝します。

また、8月6〜7日の『第34回せたがやふるさと区民まつり』は「被災地支援」を基軸にして、岩手・宮城・福島の物産サテライトコーナーを設置しました。初日夕方には南相馬市等から少年少女合唱団を招き、世田谷の子どもたちとステージを通した交流が実現しました。

今年のたまがわ花火大会の予定日だった8月20日には、二子玉川緑地運動場で区民に呼びかけ「東日本大震災復興支援 世田谷の集い」を開催しました。

総勢180人の区民合唱団が夜空の下で『ふるさと』を歌い、被災地に思いをはせました。こうした催しの現場でも取り組んだ「東日本大震災復興支援金」は9月 1日現在で1871万4966円となり、第一次分として被災した13自治体に百万円ずつお渡しします。今後とも息長く、目に見える支援を続けていきますので、ご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

次に、顔と顔が見える自治のまちづくりに関連して申し上げます。
災害対策をはじめ、犯罪の防止や孤独死の防止に向けて、町会・自治会、NPO、商店会などの地域で活動されている各種団体と行政組織が有機的に繋がり、総合的なネットワークの力を発揮できる自治体を目指していきます。

そのための一歩として、先にふれた27の出張所・まちづくりセンターでの車座集会を開始しています。すでに、上北沢・代沢・喜多見・九品仏・池尻で区民の皆さんの熱心な参加とご意見をいただきました。

車座集会では、冒頭で私が10分間お話しした後は、特定のテーマを設けずに参加者に自由に発言していただいています。災害対策から自転車マナー、公共施設の使用のことから高齢者施設への要望、また子どもの遊び場や保育園の待機児問題、環境やエネルギー問題から地域自治のあり方、町会・自治会への加入率の問題など多岐にわたる声が出てまいります。

参加者の皆さんの声に耳を傾けることはとても大切なことだと感じます。時間を置かずに取り組めることは進め、また時間をかけても実現すべき課題のヒントも頂いています。

今後の出張所やまちづくりセンターのあり方をどうするべきかという問題意識を持って、2月までに区内全域をまわります。地域行政制度のあり方を含め、区議会でのご指摘、ご議論を期待しています。

また、地域単位の車座集会に限らず、「若者」「子育て」「まちづくり」など課題別、また区議会や区職員の皆さんからのご意見やご提案を聞きながら、「顔と顔が見える、地域住民自治」のまちづくりに取り組んでまいります。

次に、自然エネルギーをたくみに使うまちづくりに関連して申し上げます。
福島第一原発で起きた連鎖的メルトダウンは、深刻な放射能汚染を広範囲にもたらしました。福島原発の周辺からは多くの人々が避難を余儀なくされている中で、原発に依存する社会からなるべく早く移行することについて大きな議論が始まっています。その際、エネルギー転換の時期については見解の違いのあるところですが、自然エネルギーの利活用を促進する必要性については衆目の一致するところであり、大きな意見の相違はありません。

また、地球温暖化による平均気温の上昇も私たちの暮らしに深刻な影響をもたらしつつあります。後世に美しい地球を引き継いでいくことは、今を生きる私たちの責務です。

現在、区では、昨年5月に策定した「環境基本計画(調整計画)」の重点施策である「低炭素社会への実現」に向け、区民、事業者、区が協力し、長期的な視点に立って二酸化炭素の排出量削減に取り組む「世田谷区地球温暖化対策地域推進計画」の策定を進めております。

今後、計画の素案について区議会や環境審議会でのご議論、また、パブリックコメントなどを通じまして、幅広いご意見をいただきながら、今年度中に計画を策定してまいります。

また、9月6日に開催した「再生可能エネルギーに関するシンポジウム」には、会場が満員になるほど多くの方にお越しいただきました。福島県の桜井勝延南相馬市長と環境エネルギー問題の第一人者である飯田哲也さんによる基調講演の後で、3月11日以後の世界のエネルギー転換をめぐる議論や、自然エネルギーを軸とした先駆的な研究と技術の情報を提供し、将来の電力の地産地消について話し合われるシンポジウムを行いました。

また、東京23区内の電力使用状況の開示を求めて、「目で見て納得する情報共有型の節電」をめざした体験から、効率的で無駄のない電力使用環境を整えることの重要性も認識しました。世界が熱い視線を注ぐスマートグリット(賢い送電網)を使ったまちづくりにも注目しながら、区として正確で時機をえた情報を提供し、再生可能エネルギー(太陽光・太陽熱)の地産地消への取り組みを幅広く議論していきたいと思います。

「子ども、若者は未来の宝」です。持続可能な社会を次の世代に手渡すために、子どもを地域で守り育て、若者が社会の担い手として活躍できるよう、行政としての支援を行います。

区長就任後、区内の保育園や幼稚園、児童館、児童養護施設など、プレーパーク等、子どもや子育ての現場を見て歩き、働く職員の声や区民の声を聞いてきました。また6月から始めた「区長へのメール」へも、連日、「子育て・子育ちの環境」についての声をたくさん受けとめています。

子どもは、「大人になるための準備期間」として過ごしているだけではありません。「子ども時代」と呼ぶことの出来る自由で生き生きとした時間を持つことが、人生の土台を築く上で、とても大事なことだと思います。

子どもたちは、「自分はこれでいいのだ」「ここは出来ないけれども、自分には別の長所がある」と内面の自己承認で形成される自己肯定基盤が、なかなか持てないでいます。「生まれてこない方が良かった」と自分を責める子どもたちや、ふさぎこんで、学校や社会に出て行くことが難しい、ひきこもりがちな子どもたち、若者たちも珍しくありません。

子ども自身が、生き生きと自らの可能性をひらき、冒険や挑戦もできる環境を支援することや、「失敗しても修復しやり直す術」を身につける側面からの援助に今後とも力を入れたいと思います。

区では、平成14年に子ども条例を施行し、平成17年には「子ども計画」及び「教育ビジョン」を策定し、これまで進めてきた子どもの尊厳と権利の尊重の取り組みに加え、本年8月1日からは、職員を厚生労働省虐待防止対策室へ長期研修で派遣しています。

「児童虐待」から子どもたちを助け出す地域連携に加えて、虐待をしている親たちが、二度と虐待を繰り返さないよう支援をする取り組みの充実も今後は必要です。都からの「児童相談所移管」も視野に入れながら取り組みを進め、11月には国が主催する全国レベルの児童虐待防止に関するシンポジウムが世田谷で開催される予定であり、この機会を積極的に生かしていくつもりです。

今後の取り組みとして、他自治体における行政から独立した第三者機関である「子どもの人権オンブズパーソン」制度なども参考にしながら、声をあげにくい子どもの救済と問題解決に向けた新たな方策の検討に着手してまいります。

議会や関係者、子どもを含めた区民のご意見も伺いながら、子どもがみずから生きる力を内在している社会的な主体として考えて、子どもの権利条約の根底に流れている精神に基づいて、子どもの利益最優先の立場から子どもの人権を実現する方策を、皆さんと議論をしていきたいと思います。

一方、喫緊の課題である、保育サービス待機児対策につきましても、定員枠の拡充に引き続き取り組んでまいります。

未来の宝である、子ども・若者を地域社会の中で守り育てていくためには、教育の役割も大変重要です。

東日本大震災を経た現在、日本の社会は大きな転換期にあります。未来を担う子どもたちが、変化の激しいこれからの社会を生きぬいていくために、豊かな人間性と知力、健やかな身体をバランスよく育てることが大切であると考えております。

これまで、世田谷区では、「世田谷区教育ビジョン」に基づき、教育委員会とともに、地域とともに子どもを育てる教育を推進してまいりました。現在、教育ビジョンの第3期行動計画を来年3月の策定に向けて、検討しているところです。

一方、教育環境の向上に向けた、区立学校の適正規模・適正配置の見地から、船橋中学校と希望丘中学校を平成24年4月に統合し、新校として開校します。両校の保護者や地域の皆さんのご提案も踏まえ、本定例会に新校の名称を世田谷区立船橋希望中学校とする条例改正案を提案いたします。

また、原発事故による放射性物質の拡散が深刻な影響をもたらす中、小さなお子さんをお持ちの保護者の方々からは、「環境汚染への懸念」や「食の安全」の確保についての声を多数いただいております。

6月以降、区立すべての小中学校、保育園、幼稚園のすべてと公園5カ所で放射線量の測定を行ないました。また区役所付近での定点観測も連日継続をしています。その結果は、ただちにホームページで公表している通りです。

「食材」につきまして保育園や学校での給食で使用する食材の産地情報の提供を行い、7月と9月には牛乳の放射性物質の検査を実施しました。また、8月4日には、当時の細川厚生労働大臣に3月17日に政府が発表した食品についての「放射線量の暫定規制値」について子どもと大人を区別するなどより厳格に改めるよう申し入れを行ったところです。今後とも区としての情報公開につとめると共に、国の機関にも区民・保護者の要望を届けていくつもりです。

世田谷区政に対する区民の強い要望は、広がりがあって質の高い福祉の実現です。「世田谷の福祉」を実現させるために、まちに住む一人ひとりの区民が福祉を意識し、さらにまちで「福祉の向上」が全体の取り組みとなり、すべての区民が福祉の網の目の細かさを実感出来る都市をめざします。

過去長い間、「福祉」は特定の限られた人々に対するものとされてきました。生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、身体障害者福祉法、老人福祉法、知的障害者福祉法等に基づく行政の措置による、全国均質なサービス提供の形で展開されてきました。これが、従来までの日本の福祉でした。

21世紀の本格的な少子高齢社会を前にして、在宅生活支援の新たなサービス展開など、従来の福祉の概念からの大きな転換がはかられました。誰もが気兼ねなく支えあい、福祉サービスを充実・更新していくネットワークが実る都市、福祉を中心とするコミュニティと文化を持つ都市、それが福祉文化都市です。

福祉文化都市をめざして、高齢者や障害者が安心して暮らすことの出来るまち、そして男女が互いに人権を尊重しながら能力を発揮することの出来る社会をつくりあげていきます。

文化・芸術振興の取組みについて申し上げます。

文化・芸術は人々の暮らしの喜怒哀楽の集積から生まれた奥深い表現であり、
子どもから高齢者まで一体となって楽しめる素晴らしいものです。「世田谷らしさ」とは身近かに多様な表現と出会う機会があることでもあります。

文化の秋に華をそえる「世田谷芸術百華」が9月からスタートいたしました。これから約3か月、様々なアーティストによる事業が区内で開催されます。区民の方々にも是非、ご参加いただきたいと思います。

現在、区では、「世田谷区文化・芸術振興計画 第二次調整計画」の策定のための検討を進めています。新しい基本構想・基本計画と同時期に策定をすることをふまえて、今回の調整計画では、区民の文化活動等の実態把握や世田谷の歴史や受け継がれてきた郷土文化、文化財等の伝統文化の分野についても重視してまいりたいと考えております。今後も、世田谷の魅力を広く発信できるよう取り組んでまいります。

さて、街づくりを進めていくためには、情報公開と区民参加を徹底しながら、防災機能の向上や環境共生など、公益的な視点を常に持ちながら進めていかなければならないと考えております。そのためには、区民、事業者及び行政のパートナーシップをより緊密にしていく必要があります。

東北沢から下北沢をへて世田谷代田までの小田急線地下化で生じる線路の跡地につきまして、本年2月に区案をまとめましたが、今月の21日、23日、26日の3日間で、「小田急線上部利用に係るオープンハウス」を開催することといたしました。沿線区民の皆さまから幅広いご意見をお伺いし、区民参加型のまちづくりを推進する場としていきたいと考えております。

また、京王線につきましても、「開かずの踏切問題の解消」に向けた連続立体化交差化事業に伴う、これと連動した沿線の各駅周辺街づくりには、地区街づくり協議会からの提案を尊重しつつ、区としても地区懇談会等を開催するなど、住民や商店街からの声や意見に耳を傾けて、駅前広場やその周辺の街づくりの考え方をとりまとめていきます。

今後とも、情報公開と区民参加のもとに、区民と行政がしっかりとした共通認識のもとで合意形成に努め、区民参加型の街づくりを進めて参ります。

さて、本定例会におきましては、平成22年度の各会計歳入歳出決算についてご審議いただくわけでありますが、まず、その概要について申し上げます。

一般会計の決算ですが、歳入は、景気低迷の影響による前年の給与所得の減少等により、特別区税が前年度比でマイナス82億2,200万円と大幅な減収となりました。一方、特別区交付金は前年度比で41億9,100万円と、3年ぶりの増額となりました。また、子ども手当負担金の増による国庫支出金の増や、繰入金の増、前年度からの繰越金の大幅な減などにより、歳入総額では、2,445億8,337万5千円、前年度と比較して、2.4%の減となりました。

歳出は、子ども手当や生活保護法に基づく保護費、保育施設整備費、小・中学校改築・増築工事費などが増額となる一方、定額給付金・子育て応援特別手当や公園・道路用地買収等の経費が減額となったことにより、歳出総額は、2,416億1,065万2千円、前年度と比較して2.3%の減となりました。
この結果、平成22年度決算の実質収支は、20億6,673万9千円となっております。

また、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく「健全化判断比率」につきましては、平成22年度におきましても、実質赤字はなく、実質公債費比率がマイナスとなるなど、引き続き健全な状況を維持いたしました。

次に、一般会計の補正予算案について申し上げます。

このたびの補正は、東日本大震災を踏まえ、災害対策の充実、建築物耐震化助成、被災地・被災者への支援等を行うとともに、清掃工場停止に伴う収集運搬などの状況変化に対応するための経費を計上するものであります。

併せまして、国民健康保険事業会計や後期高齢者医療会計などの4つの特別会計につきましては、前年度繰越金の確定などに伴う補正を行っております。
すべての会計を合わせますと、16億9,899万2千円の増額補正となっております。

今後も、引き続き、徹底した行財政改善により財政の健全性を維持しながら、将来を見通した計画的で柔軟な財政運営に努め、情報公開と区民参加のもと、88万区民の目線にたったまちづくりに取り組んでまいります。引き続き、区議会をはじめ区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

9月2日夕刻、約百人の職員が出迎える世田谷区役所に、ゆっくりと大型バスが戻ってきました。拍手を受けながらバスから降りてきたのは、宮城県南三陸町で8,500棟あまりの家屋計測と図面化をやりきった最後の世田谷区派遣団の職員たちです。この支援活動には、7月から6交代・総勢141人(延べ 1,231人)が参加をしてくれました。蚊や蜂に悩まされながらも、一戸一戸を訪ねて、懸命に頑張ってくれたことに感謝をいたします。「南三陸町でチーム世田谷を見た」という声も他の支援者たちからたくさん届きました。こうして派遣された職員の経験が今後の区内災害対策に生かされるものと信じています。

今回、南三陸町への支援活動は一区切りをつけることとなりますが、復旧・復興の道は、まだまだです。9月に入って、「福島県いわき市の緊急雇用対策」 「宮城県女川町の選挙実務応援」の区職員の長期派遣も続けてまいります。

最後に本定例会にご提案申し上げます案件は、「平成23年度世田谷区一般会計補正予算(第1次)」など、議案34件、認定6件、諮問1件、報告32件でございます。なにとぞ慎重にご審議の上、速やかにご議決賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶といたします。ありがとうございました。

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