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デジタル教科書 「紙」の長所も生かす授業を

文部科学省は先週、小中高校にタブレット端末などを使った「デジタル教科書」の導入を検討する有識者会議の初会合を開いた。デジタル教科書は紙の教科書のデータをタブレット端末などに収め、音声や動画を含んだものが想定されている。教育上の効果や導入時の課題などを議論し、2016年末までに具体的な方向性をまとめる方針だ。

導入による学習効果への期待は高い。英語の授業で英語を母国語とする人の発音を聞いたり、算数で立体の断面図を確認したりすることができ、理解の助けとなる。無線LANなどが備わった教室内で電子黒板と接続すれば、複数の子どもの意見を映し出せるため、討論しながら課題の解決策を探る「アクティブ・ラーニング」もしやすくなる。

文科省が総務省と連携して11年度から3年間実施した、情報通信技術(ICT)教育の実証事業の研究報告では、小中学生の約9割が「楽しく学習できた」「わかりやすい」と回答したほか、8割以上の教員がICTを活用した授業は「効果的」と評価した。

ただ、紙の教科書がデジタル教科書に置き換わることを懸念する声は少なくない。例えば、小学生の頃からパソコンやタブレット端末を日常的に使うことで、生身の人間関係への興味や自然への関心を損ねたり、視力の低下や情報端末への依存症を招くなど、健康や精神面に悪影響を及ぼさないだろうか。タブレット端末の操作が中心となり、授業で字を書く機会が減らないかも心配だ。

ICT教育の普及を進めている韓国では11年に、15年までのデジタル教科書の全面導入を掲げたが、学習効果を疑問視する声が出て、計画を見直した。

文字や映像、音声などの機能を活用して分かりやすく多彩な授業が実施できることは確かだが、授業内容が向上するかどうかは、よく見極めなければならない。デジタル教科書は、あくまで手段の一つだ。紙とデジタルの両方の長所を生かした授業のあり方を考えてもらいたい。

検討会議では人格形成期の子どもたちにどのような影響をもたらすか、先行事例の検証とともに、長期的な視点に立った議論を進めてほしい。

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