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組体操事故の死角 ピラミッド型よりタワー型で障害事故が多発


小学館『小六 教育技術』2012年5/6月号、9頁

■組体操事故の対応は二極化

全国各地で運動会が近づくにつれて、各校における組体操の実施状況が次第に耳に入ってくるようになった。今年もまた巨大組体操を続ける学校、それどころか昨年より巨大化させようとする学校もあるとの情報が、私のもとに届いている。

昨年の5月に組体操のリスクが知られるようになって一年、先週の記事(「組体操は4段以下に 巨大化・高層化の見直し始まる」)で指摘したように、一部の自治体や学校で、巨大組体操の見直しが始まっている。教育系雑誌も、今年は安全指導を厳しく訴えている。公の議論としては、組体操を手放しで賞賛することはできなくなった。

けれども、巨大化・高層化に歯止めがかかっていないのも事実だ。

今年は、リスク・マネジメントに乗り出した学校と、リスクの指摘になお耳を貸そうとしない学校との二極化が見える。残念なのは、後者が大半を占めているということである。

■組体操事故の死角 タワー型の事故

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小学館『小六 教育技術』2012年5/6月号、9頁

ぜひとも知っておいてほしい新たな事実を、ここで紹介したい。

昨年の組体操事故の議論において想定されていたのは、巨大ピラミッドであった。小学校で9段、中学校で10段、高校で11段と、その圧倒的な大きさと高さに、私たちは驚かされた。

だが、巨大ピラミッドの陰に隠れていた「タワー」のほうで、重大事故がより多く起きているようなのだ。タワーとは、円すいの形で、上に伸びていく。3段から5段の範囲が主流である。2013年の5月には、川崎市立の中学校において、複数のタワーで転落等の事故が起き、7人が病院に搬送されるということもあった(いずれも軽傷)。

■障害事故が88件、うちタワーが41件、ピラミッドは12件

独立行政法人日本スポーツ振興センターの資料を私が独自に整理・集計したところ、1983~2013年度の31年間に、学校の組体操において障害の残った事故が88件起きている(ここ10年分の事例のみ下表に示した)。

そして、各事例概要から判断できる限りで、ピラミッドが12件、タワーが41件である。つまり、障害が残るような重大事故に関していうと、ピラミッドよりもタワーのほうが、事故が多く発生している。

これは小学校では、タワーがピラミッドより流行っているというだけのことかもしれない。

だがここで大事なのは、ピラミッドの危険性ばかりに目を奪われてはならないということだ。私たちはこの一年、巨大ピラミッドの問題に着目するばかりに、タワーの危険性を死角に追いやってきた。

■「段が少ないから」と安心はできない

タワーは、組み方によるものの、3段でも高さは2メートルを超え、5段にもなれば4メートルに達する。だが、ピラミッドの「7段」や「10段」に比べれば、数値上の段数は半分程度であるし、見た目の威圧感もピラミッドに比べれば小さい。

そこに騙されてはならない。

昨年からずっと、ピラミッドが危険視されている。そのため、タワーに乗り換えようとする動きがあるとも聞く。だとすれば、昨年以上に子どもは危険な状況にさらされることになりかねない。

過去の痛ましい事例の蓄積から、一つひとつ学びながら、明日の子どもの安全を考えていく必要がある。

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組体操による障害事故事例 2004-2013年度のみ

※Yahoo!ニュースからの転載

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