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記者会見「被災地支援・災害対策」そして「再生可能エネルギー推進」へ

月に2回のペースで行なってきた記者会見もだんだん定着してきて、嬉しいことに記者席もたくさんの記者で埋まるようになった。そして、ついに世田谷区役所広報公聴課の手で記者会見の「生中継」も開始することになった。世田谷区では初めての試みだが、全国の自治体でも珍しいかもしれない。そして、文字による記録もホームページにアップされたのでここに紹介する。また、当日の写真や記者との質疑応答は世田谷区のホームページ『区長の部屋』を見てほしい。
〔引用開始〕
9月7日(水)、保坂展人(ほさかのぶと)区長が記者会見を行いました。発言の要旨は以下のとおりです。

皆さんこんにちは。

今日、私の後ろにあるこのバックカーテンは、黄色い真ん中が、ご覧になってわかるように太陽をあらわしていて、まわりの幾何学的模様はネットワークとか人が人とつながっていくとか、そういうのをちょっとあらわしているということで、昨日、世田谷区内で太陽光であるとか太陽熱をもっともっと普及させていこうという、あるいは被災地ともつながっていこうというイベントをやりましたけれども、そういう自然エネルギーみたいな思いも込めて作っていただきました。そして、今日からUSTREAMを使った動画中継を行い、区民により身近に記者会見の様子をお届けしていきます。昨日のシンポジウムの模様も動画でお知らせします。

次に節電についてです。いよいよ9日には電力使用制限令が前倒しで解除されます。5月の段階での予想をはるかに超えて、相当の節電が行われた結果、前倒しで解除ということになったわけです。そして、世田谷区役所ではどのくらい節電できたのかというデータが出ました。電力使用状況が確認できる85の施設全体での電力使用量が昨年度の最大使用電力の76.5%で、目標の15%をはるかに超えて大きく節電の成果を上げることができました。また、無用な節電をして神経を痛めるようなことがないように、世田谷区のリアルタイムの電力供給状況の情報開示を東京電力に求めてきましたが、これについては、7月の初めから継続して東京23区での供給量の情報を翌日に提供してもらいました。世田谷区のHPを見れば、東電エリア全体よりも小さい東京23区エリアの電力の使用状況がわかるということで、一定の成果はあったと思います。23区の15%削減目標値は1135万7千KWでしたが、最も電力が使われたのは8月18日の午後4時台で、1119万KWでした。この電力情報の開示というのは、テーマとしてこれからも続くと思っています。ピーク時の電力使用をカットすることが肝要だという意識は、5月の段階よりも区民の間にも広がってきたと思います。今後も、無駄な電力を使わずに、より効率的な電力使用ができるように取り組んでいこうと思います。

昨夜、成城ホールで、南相馬市の桜井市長、環境エネルギー政策研究所の飯田所長、そして世田谷区民として光岡明子さんにも加わっていただいて再生可能エネルギーに関するシンポジウムを開催しました。8月半ばに参加者を募集したところ、すぐに定員に達してしまったため、席を増やして追加募集しました。その結果、300人を超える区民の方が参加し、大変熱心に聴いていただきました。

桜井市長のお話では、南相馬市は津波で死者640人、行方不明者23人という大変大きな被害を受け、原発事故で最大時6万人が避難したということでした。この原発事故関係で全国で避難した方が20万人と言われていて、そのうちの6万人が一時は南相馬市民ということで、大変多くの方が全国に散ったということです。実は地震に見舞われる前の3月には、風車、太陽光、バイオといった自然エネルギー活用の研究を始めようとしていた矢先だったというお話でした。また、1000ヘクタールもの農地が海水をかぶった状態になっており、ここに再び農地をつくるよりは、メガソーラーなどを作って新たな雇用や産業を興していくことを考えたいというお話もありました。


飯田さんからは、日本社会が3月11日を経て現在直面している事態は、明治維新、そして太平洋戦争の敗戦に続く第3の大きな社会の転換期だというお話がありました。他方で世界の動静を見ると、農業革命、産業革命、IT革命に続く第4の革命がエネルギー革命だということで、再生可能エネルギー促進に向けて踏み込んだ初めての法案である再生可能エネルギーの全量買取制度が国会で成立したことも踏まえて、これから日本で大きく広がっていくだろうということでした。ただ、ドイツやスペインなど、世界の状況を見ても、まず取り組みの先鞭をつけるのは自治体であって、国全体から平均的に始まるということはないということでした。したがって、世田谷区とか南相馬市といった自治体から先進的な取り組みを行ってもらいたいという問題提起があり、その後非常に活発な議論がなされました。昨日の議論も踏まえて、今後区議会でも大いに活発な議論をしていただきたいと思いますし、区議会の中に環境エネルギー対策特別委員会があるので、区内で太陽光や太陽熱を使ったエネルギーを生産して使っていくという、いわゆるエネルギーの地産地消の問題と、もう一つは、被災地の比較的大きな自然エネルギーの電源としてのソーラー発電や風車等に連携していく、この2つの方向で考えていきたいということが昨日のシンポジウムで出された一つの方向性だったわけです。それをさらに具体化すべく、議会での議論や庁内での準備等を進めていきたいと思います。

次に、文化の秋、芸術百華ということで大変賑々しいたくさんの催しが開催されます。パンフレットにイベントの案内や地図がついていますが、世田谷区内には数多くの文化施設があり、文化人やアーティストも住んでいます。9月から11月までさまざまな場所で、美術館や文学館、街角などでこうしたイベントを行っていきます。下北沢周辺に暮らした詩人である萩原朔太郎さんに関連するイベント、第2回世田谷区芸術アワード“飛翔”を受賞した新進気鋭の若手アーティストの発表などもあります。ぜひご紹介願います。

続いて、東日本大震災の被災地の支援についてです。私は区長に就任して、前熊本区長時代からの被災地支援の取り組みも引き継いだわけですが、世田谷区の職員には、ある部分を少しずつ手伝うという形で入れ替わり立ちかわり現地に入るのではなく、より深く、一貫性のある支援をしてほしいと考え、先遣隊を派遣して調べてもらいました。そして、宮城県南三陸町で、津波で流されなかった家屋の形状を巻尺で1軒1軒計測して回り、図面に描くという仕事を引き受けました。南三陸町の平たいところは流されていますから、だいたい残っているところは少し登ったところや山の中でした。だいたい20人が行って、また次の20人が行くという形で、トータルで141人が参加し、9月2日に区役所に最後の部隊が帰ってきました。計測しなければならない家屋は当初6000棟くらいの予定でしたが、最終的に8537棟と増えたので10人追加で派遣しましたが、すべてやり終えて帰ってきました。今後、被災地での支援の経験を世田谷区内の災害対策に生かしてほしいと思っています。かなり大量の職員が派遣されたので、残された職場も大変だったと思いますが、やりきったということをご報告します。さらに、宮城県女川町で11月に行われる選挙の実際の準備のすべてを世田谷区で中心になってやってほしいという話があり、選管の経験豊富なベテラン職員を5日から女川町に派遣しています。

また、被災地支援イベントも最後は雨に祟られたんですけれども、中村雅俊さんを呼んで8月20日に行いました。6月から募集を始めた東日本大震災復興支援金が約1700万円集まりました。これを岩手県、宮城県、福島県の3県と、職員を派遣した宮古市、仙台市、気仙沼市、南三陸町、いわき市、ふるさと区民まつりに参加した八戸市、岩手県平泉町、福島県白河市、二本松市、本宮市に100万円ずつ、第一次ということでお渡しし、さらに募集を続けているということをご報告します。

次に、現在進めている災害対策総点検についてです。災害対策の点検は、想定外ということが今後ないようにしっかりと進めて行こうということがスタートラインでした。たとえば、噴火で火山灰が降ってきた場合や、地震で津波が起きて、水が多摩川を遡上してきた場合、また、大規模で長期にわたる停電が起きた場合の準備や、今回のような原子力災害が再び繰り返された場合など、想定することもかなり困難な問題もあります。車座集会で地域を回った時に、「多くの人でにぎわう下北沢のまちで地震が起きた場合、訪れていた人が帰宅困難者になる。そうした場合に、地域の中の避難所の運営と外から来ている人への対応等をどうしたらいいのか」ということが話題になりました。地域で出たこのような話もいろいろと汲み上げ、また、議会とも議論しながら点検を進めて、来年の2月には総点検の結果をまとめる予定です。その前の1月に、この点検を踏まえた防災訓練を全区的に行いたいと考えています。

次に、新たな基本構想・基本計画についてです。かつて地方自治法では、基本構想というのは必ず議決しなければならないという議決義務がありました。今はその義務はなくなりましたが、基本構想は「自治体の憲法」という言い方もします。世田谷区では、先日亡くなった大場啓二区長の時代の平成6年に基本構想が作られています。それから大変時間が経過しています。平成6年というのは、阪神大震災の前の年で、細川、羽田、村山と年に3回総理大臣が替わった年です。そこで今回、時代の移り変わりに対応していくため、大体四半世紀、25年から30年先を見通し2050年くらいまでを視野に入れた世田谷区を設計していくための議論をこれから2年かけて行います。そのためには、区政の運営方針を立てておく必要があるということで、前区政時代から連綿と続いているものを引き継ぎながら、新しくビジョンを打ち立てていく、ということで区政運営方針をつくりました。これを議会にも示して議論していただきたいと思っています。私のほうで本日用意したものは以上です。

今日の新聞に、30年かけてこつこつと貯めてきた1億円を青少年のために寄付したというご婦人の話題が出ていました。実は世田谷区にもつい最近、世田谷区の施設に大変お世話になっていたということで、世田谷区の災害対策などに役立ててほしいということで、1億円を届けたいという申し出がありました。お名前などは発表しませんが、大変嬉しい申し出でした。以上です。

なお、次回の記者会見は10月12日(水)を予定しています。

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