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■消費者の間で「GMO(遺伝子組み換え)」ではない「非GMO(遺伝子組み換えが行われていない)」食品への関心が、かつてなく高まっている。連邦食品医薬品局(FDA)や多くの科学者や科学関連団体は「GMOで作った食品は安全だ」と主張している一方で、「非GMOのほうが健康的で環境に優しい」と非GMO食品を求める消費者が増えているのだ。その声がついに国を動かすことになった。
米農務省(USDA)のトム・ヴィルサック農務長官は1日、スタッフに充てた書簡でUSDAの農業マーケティング局(Agricultural Marketing Service)が非GMO認定プログラムを開発中であることを明かしたのだ。アメリカには現在、国が非GMO食品と認定するプログラムはない。ヴィルサック氏の書簡によると、非GMO認定プログラムは農務省認証(USDA Process Verified)の一環として開発され、任意で認証されれば農務省認証マークの「非GMO(Non-GMO、GMO-free)」ラベルを貼ることが許される。今のところ認証手続きや申請料や更新料等、費用の詳細は明かされていない。ヴィルサック氏は「プログラムの発表の間近であり、非GMO認定を利用するために企業からの問い合わせが相次いでいる」と書いている。
先月29日には、国内で1,800店を展開するキシカン・ファストカジュアルチェーンのチポトレがGMOをメニューから一掃し「GMOフリー」にすることを発表していた。
トップ画像:ホールフーズでは、餌に非GMO(遺伝子組み換え作物)を使用して育てたチキンの丸焼きを販売している。同社や生産者などが推進する非営利団体「非GMOプロジェクト(Non-GMO Project)」の認証ラベルが見える。ホールフーズでは2018年までに同社が扱うすべての商品でGMO(遺伝子組み換え)のラベル表示を行うとしている。
15年4月29日 - 【チポトレ】、全米初となる遺伝子組み換え食材の完全排除!日本のタコベルには大行列?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。先日、当ブログで「すでに人工添加物の排除やGMOの見える化はホールフーズで行っていますが、他のスーパーマーケットも見過ごすわけにはいかなくなります。原産国や原料まで敏感になっている消費者は情報開示をさらに求めてくると思います」と書きました。国による非GMO認定ラベルが明かされたら大手食品メーカーばかりでなく、これまで静観していたスーパーマーケットも動かざるえないでしょう。
一部の食品に非GMOのラベルがつくわけです。非GMOが付加価値となる反面、ラベルの付いていない食品は相対的に価値を落としていきます。ラベルのあるなしで売れ行きが変わってくるのです。つまり仕入側のスーパーマーケットも選別せざるえなくなるのです。そうなると非GMOの訴求も増えてきます。訴求が増えれば、さらにヘルス&ウエルネスのトレンドで消費者が非GMOを求めてくるようになります。
⇒「消費者の知る権利」から「情報の透明化」になっていくというのが後藤の持論です。個人情報は保護されなければなりませんが、商品や製品などモノの情報は生産地から原料、内容物など詳細に開示が進みます。消費者が知る権利を持ち出す前に、企業による情報開示が進んでいくのです。なぜなら、情報開示するほうが「売れる」からです。なぜ売れるのかと言えば、そのモノ以上にモノに付随する情報に価値があるからです。横並び、ドングリの背比べとなるコモディティ(一般化・均質化したため差別化ができないモノ)は避けられています。ありふれたモノでも、そこに乗っかる情報で差別化になるのです。
GMO(遺伝子組み替え)食品について、国や科学者、科学団体がいくら「健康被害はありません」と強く主張しても、消費者はその声を聞きません。少しでも不安があれば買わないだけです。逆に「非GMO(遺伝子組み換えが行われていない)」訴求で売れてしまうのです。
国のお墨付きを得ることになるので「非GMO(Non-GMO、GMO-free)」も売れる言葉としてスーパーに溢れます。
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- 2015年05月16日 03:39