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大阪都構想、やってみなはれ

繁華街の大型ビジョンには投票を呼びかける画面が
映し出された=大阪市中央区(恵守乾撮影)
 大阪人には「東京コンプレックス」なる深層心理があるらしい。つい先日、酒場で仲間とぐたぐた語り合っていた際、生まれも育ちも東京という知人から「ほんと、東京コンプレックスの塊ですね」と鼻で笑われた。酒に酔っていたので、具体的な会話の中身まで記憶していないが、彼は筆者と四方山話をしているうちにそう感じたらしい。

 筆者は上京してから2年になるが、東京に対する引け目みたいな感情を意識する機会はそんなになかった。むしろ、東京に来てから大阪の良いところばかりに気が付くようになり、大阪への愛着は増す一方だった。

 だが、彼にしてみれば、「やっぱ、大阪はええとこやで」というフレーズが筆者の口から出るたびに、コンプレックスの塊だと煩わしく思えたという。「こう言っては何ですけど、東京の人間は、そんなに大阪のことなんか気にしていませんよ!」。最後はぴしゃりと言い切られてしまったが、考えてみれば同じようなことを言われた経験は、これまでの人生で一度や二度ではなかった気がする。それだけに、複雑な思いだった。

 大阪人はとかく過剰に東京を意識する。これこそが東京コンプレックスと揶揄される所以だが、そこには首都と地方都市に成り下がった大阪という歴然とした格差が背景にある。東京一極集中と言われて久しいわが国にあって、排他的とも言われる独自の文化と地域性を有しながら、地盤沈下が進む大阪の存在感は、ますます小さくなるばかりである。

 何事においても目立ちたがりな大阪人にしてみれば、自らの存在価値の大きさこそがアイデンティティーであると言えなくもない。「東京にまたもってかれた!」とすっかり負け犬根性が染みついてしまった現状にフラストレーションがたまっていることは容易に想像がつく。そういった意味で、東京への対抗心や嫉妬の裏返しがコンプレックスだという指摘は分からなくもない。

 だとすれば、今まさに大阪が「都」になるか否かで揺れる大阪都構想の行方は、大阪にとって「国家百年の計」とも言える関心事である。もっと言えば、「負け犬」になった大阪が、ようやく東京に張り合うチャンスを得たという見方もあながち間違っていないと思う。

 にもかかわらず、新聞各紙が実施した大阪都構想の最新世論調査では、いずれも反対派が優勢との結果だった。「都構想にメリットなし」「集権化による異論の封じ込めは危険だ」「戦後最大の詐欺」…。橋下徹という大阪ではかつてない独裁的なリーダーが発案したプランなだけに、実現後の成り行きに不安を抱く反対派の主張は、一見論理的で筋も通っている。

 ただ、こうした抵抗勢力の中に、大阪市議や大阪市職労といった自分たちの「既得権益」を守ろうとする人たちが交じっているのをみると、せっかくの主張のすべてが霞んでみえてくるのだから不幸としかいいようがない。

大阪市を解体されて本当に困るのは、市民ではなく、実はこうした既得権益者たちではないのか。彼らが表舞台に立って必死に訴えれば訴えるほど、そう疑いたくもなる。そして、都構想を批判するインテリの方々も「橋下憎し」の一点だけで結束しているようにみえてならないのは、筆者だけだろうか。

 むろん、筆者の疑問はこれだけではない。都構想を否決した先に大阪が輝くビジョンなんて本当に存在するのか。126年に及ぶ大阪市制の歴史を守り抜くことが、本当に未来の大阪の発展につながるのか。

 何の変化を求めず、たとえ現状を維持したとしても、大阪が輝きを取り戻すまともな対案が本当にあるのであれば、反対派にはぜひ示してほしい。「都構想でなくてもできる」という主張はごもっともだが、それを実現できるリーダーはどこにいるのか。はっきり言って対案なき批判は、それこそ「論外の代物」ではないのか。

 筆者は都構想を支持する。それは橋下氏の言う「二重行政の解消」とか、「大阪が東京のように発展する」とか、そんな甘い言葉を信じているからではない。いや、むしろ彼が発する「甘言」はすべて嘘だと思っている。

 それでも、「東京には負けへんで!」という大阪人の心をくすぐる、彼の攻めの姿勢には賭けてみたい。正直、今のままではいつまでたっても大阪人の「負のマインド」は消えない気がする。

 かつて、大阪が元気だったころ、大阪人には「やってみなはれ」の精神でどんな困難も乗り越えてきた自負があった。何もやろうとせず、前を向こうとしない人を嫌う半面、そういう人たちの背中をどんどん押して、前に進ませる活力があった。

 そんなフロンティア精神こそ、大阪の活気の源であると信じたい。そして来る5月17日、大阪の未来のために、大阪市民が賢明なる選択をしてくれることを願ってやまない。

■ ■ ■
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