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シャープに“光”はあるか?

シャープは2015年3月期、2223億円の最終赤字に陥りました。
同時に発表された中期経営計画によれば、国内3500人の希望退職を募り、大阪市にある本社ビルは売却します。液晶や電子部品、家電など事業ごとに5分野に分け、社内カンパニー制を導入します。

希望退職を募れば、有能でやる気のある人材が流出するのは避けられません。本社ビルの売却やカンパニー制の導入は、いまごろになって、ようやくです。業界の負け組ソニーでさえ、13年以降、日米の本社ビルを含めて不動産売却を進めました。
以前も書きましたが、シャープは、副社長と専務計4人のクビを差し出して、銀行からの融資を引き出し、なんとか持ちこたえている状況です。

社長の高橋興三氏は、「2年前に決断できなかった抜本的な構造改革を断行」するといいます。「不退転の覚悟をもって」といいます。しかし、どこか虚しく響きます。何もかも、遅過ぎるとしかいいようがありません。

シャープは、どこで道を踏み外したのでしょうか。
シャープのトップ人事は、ここ数年、混乱していました。高橋氏がトップを引き継いだ13年には、当時会長だった片山幹雄氏と、相談役だった町田勝彦氏が対立していました。

もともと、「液晶のシャープ」の立役者でもある町田氏は、07年、次期社長として、49歳だった片山氏を指名しました。片山氏は、カリスマ経営者といわれましたが、液晶事業の拡大路線が失敗します。12年、次期社長に奥田氏が就任しますが、奥田氏を指名したのは、片山氏ではなく、町田氏だったといわれています。

ところが、同じ12年、経営の瀬戸際にあったシャープは、提携先を探して奔走します。町田氏が台湾の鴻海精密工業と資本提携の交渉を進めたのに対し、片山氏は、米半導体大手のクアルコムやサムスン電子と交渉して出資をとりつけました。
13年3月期の赤字が過去最悪となり、奥田氏が社長を退くと、次期社長として高橋氏が就任しましたが、この人事も不透明で、さまざまな憶測を呼びました。誰がどこで何を決めているのか、よくわからない状況でした。

振り返ってみれば、シャープは、液晶事業と並ぶ柱となる戦略事業を育てるべき時期に、トップが、人事抗争や外部との交渉に明け暮れました。ガバナンスが混乱したツケといえます。戦略事業は育たないまま、くるところまできてしまった。この間、人材を育てる余裕がないどころか、せっかくの人材が流出する事態になっています。

いまのシャープには、戦略事業を育てる余裕は残っていません。ソニーに「夢のある商品」を望めないのと同じように、シャープに「液晶の次の柱」は望めないでしょう。
今後、シャープはどのような道を歩むのでしょう。光は、見えてきません。

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