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日銀は誰の分の国債を買い入れたのか

 5月11日付け日経新聞のエコノフォーカスでは「日銀、買える国債先細り」と題した記事が掲載された。このなかで、日銀の国債買入について日銀担当者による「この先は根雪を掘るような作業になる」との発言が紹介され、別の幹部からは「市場には国債が600兆円以上残っている(民間が)手放さないなら金利がマイナス1%になろうと買い続けるだけだ」との発言が紹介されていた。

 もしや後者は最近、企画局のレポートでも無視し始めた「マネタリーベース」を止めて、ECBのように金利に政策目標を戻して、マイナス金利政策に変更することも意識した発言であったのだろうか。それはさておき、それでは日銀の異次元緩和以降、日銀はいったい誰から国債を購入していたのか。誰に変わって国債を買い入れたのかについて、日銀の資金循環統計を元にして見てみたい。

 日銀の資金循環統計は四半期ごとに発表されている。それを元に国債(短期債を除く)の保有者別の残高を個人的に集計し直している。その自分のデータを元にして異次元緩和前の2013年4月と直近のデータである2014年12月末の数値を比較してみたい。このコラムでも四半期毎の保有者別の国債残高は紹介しているが、今回は保有者についてはいつものデータの元となるもの、つまりより細分化されているもので参照してみた。以下がその結果である(単位、億円)

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 結論から言えば、日銀の買入はその7割が国債残高全体の増加分で占められていたことになる(これは時価ベースのため値上がり分もある。参考長期金利2013年3月末0.565%、2014年末0.325%)。つまりは民間金融機関等が国債の増額分を買い増ししなかった分を日銀が買い入れていたことになる。日銀の買入増加分の残り3割については、主に中小企業金融機関等(主にゆうちょ銀行)と国内銀行(主に都銀)、そして公的年金の減少分で補充されている。

 これを見る限り、日銀の買い入れる国債に数字上は当面不自由しないようにも思われる。銀行などは担保としての必要額等もあり、かなり残高を落とした都銀などここからの国債保有額の減額は厳しくなっていくかもしれない。公的年金もすでにかなり国債残高を落としている。

 しかし、ゆうちょ銀行などの国債保有額はまだまだ巨額であり(2014年末で約110兆円)、生保や共済保険などは残高をむしろ積み上げている。外部環境が変われば大きく積み上げた海外投資家が保有額を減らすこともありうる。新規国債の発行額は減額されても、マイナスではなく国債の残高そのものは増加傾向が続いている。

 このようにあくまで数字上は、日銀が買い入れる国債は存在しているように見える。しかし、現実には流通している国債の量や市場参加者が限られることもあり、今後の国債買入がかなりタイトになることもあろう。そしてもちろん金利環境が大きく変わると状況が変化する可能性もありうる。

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