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共産党のカジノ反対論に関して

本投稿は、前回エントリの続きとなります。まだそちらを読んでいない方は以下リンク先からどうぞ。


【参照】朝日新聞の「カジノ批判」に改めて見解を求めたい
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8812178.html


先週、ジャーナリストの岩上安身氏が、カジノ反対派の集会における宮本岳志議員(共産党)のカジノ反対論に対して、「説得力が違う」などとコメントしたtweetが廻ってきました。



競馬場で働いていたとする母親が、裏では「町がすさむ」などと公言していたという事自体が、同じく賭博業界で働く私からすれば、お客様に対する重大な裏切り行為にしか見えないワケですが、岩上氏の目にはそれが「説得力」として映っているようです。ただ、これは非常に残念な事なのですが、公営競技業界の労働者の中には、己がギャンブルを愛好するファンによって支えられて飯を喰っているという意識が低い方が多いのも事実です。

その辺りは、古くから「公営」事業の労働者として「公務員」もしくは「みなし公務員」とされてた公営競技場職員。己は公務員なのであって消費者たるファンに喰わせてもらっているワケではない、というお役所仕事感覚の現れであるともいえます。ちなみに、現在の公営競技場は民間企業が運営の受託するものも増え、また各競技場間の競争が厳しくなってきた事もあり、かつての発券窓口職員のような横柄な態度を取る人間は少なくなってきました。しかし、彼らが加盟する労働組合は自治体職員が中心に組織する自治労などになっている等、いまだ「みなし公務員」扱いは続いています。



一方で、岸和田を選挙地盤とする宮本議員(共産)のカジノ反対論ですが、私としては岩上氏とは全く逆の意味で「さもありなん」と説得力を感じた次第です。

実は大阪府岸和田市は、伝統的に共産党の勢力が強い地域です。同市では1973年から2005年まで8期連続で共産党系の原のぼる氏が市長を務めてきたという、全国自治体においても非常に変わった地域であります。この原のぼる氏ですが、同市内に存在する岸和田競輪の存続を強く訴え続けてきた首長として非常に有名であり、特に2001年、8期目の市長選挙においては収益の悪化する競輪事業の廃止を訴える自民党系候補を破り、域内の競輪場の存続を決定しました。

冒頭でご紹介した宮本議員は「生まれも育ちも岸和田」とのことですから、おそらくその競輪場で働いていたとされるお母様は、この岸和田競輪場の職員であったのだと思われます。

ちなみに岸和田市の共産党系市長であった原のぼる氏は、岸和田競輪のみならず全国の競輪場の施行者(主催をする自治体)を代表してそれを推進する立場にもありました。1999年には、全国の競輪場を施行する39の自治体を集め「全国競輪都市協議会」を発足。その初代代表として、岸和田市の原のぼる市長が就任しました。当時、原のぼる市長が全国競輪事業を所管する経産省に対し、全国施行者を代表して要望を行った記録も残っています。


産業構造審議会車両競技分科会競輪小委員会(第7回) 議事要旨
http://www.meti.go.jp/kohosys/committee/summary/0000462/

【岸和田市長の報告】
・現在、全国競輪都市協議会(都市協)の会長を仰せつかっており、競輪を開催する他の市と協力して頑張っているところ。

・競輪は、平成3年度をピークにして毎年売上げが減少。平成11年度は22場が赤字、平成12年度は26場が赤字となった。全体の売上げ純収益率は平成11年度は0.82%で、平成12年度は0.04%と、ほとんどゼロに近い数値となっている。

・岸和田競輪場においても、平成12年度に初めて1億9千万円の赤字となった。このため、再建計画に着手したところである。今後も、競輪事業が自転車競技法における競輪の目的である「地方財政の健全化」に寄与し、収益事業として21世紀も存続できるよう、関係者と一体となって真剣に取り組む所存である。

【都市協会長、岸和田競輪場管理施行者としての意見・要望】

[レジュメ9ページ参照]補足説明は以下のとおり。

・交付金制度については、昭和32年に制定、昭和37年に改正された。昭和54年には、公営競技問題懇談会の提言が行われ、これには交付金の率について改正すべきではないかとの提言が行われたにもかかわらず、これまで行われていなかった。極端な言い方をすれば、通商産業省の怠慢である。

・都市協としては、議長会とも協力して、これまでも交付金制度の見直しについて、強く要望してきたところ。当初、2億円以上の売上げの場は8場ほどあった。現在は、競輪の売上げが増加し、ほとんどの施行者が最高率で交付金を納めている。これについては是非見直しをしていただきたい。


というような状況を知った上で、このような原のぼる市長を生んだ岸和田の共産党議員である宮本氏のカジノ反対論を見ると「あー、ナルホドね。確かに説得力が違いますね」と思ってしまうワケです。

ちなみに「賭博は害悪。カジノ導入などまかりならん」として全国で反カジノ運動を起こしている共産党系の方々ですが、ここでご紹介した岸和田の事例のように、全国で度々おこる地域の公営競技場の廃業論に対しては、反対主張を展開する例が様々存在しています。


日本共産党北海道委員会
http://www.jcp-hokkaido.jp/chiho_seji201010.html

日本共産党の真下紀子道議は6日、第3回定例道議会の予算特別委員会・知事総括質疑で道営競馬やダム建設問題などをただし、高橋はるみ知事は道営競馬の存続を表明しました。北海道では年間7200頭、全国の95%の軽種馬が生産され、中央競馬や全国の地方競馬にも供給していますが、道営競馬は巨額の累積赤字で存続が危ぶまれていました。真下議員は、道営競馬の廃止は「生産者や関連産業に携わる地域住民の生活崩壊につながると切実な声が寄せられている」と強調。「収支均衡を見通せる段階にきている」と表明していた高橋知事に対し、「競馬事業の存続を決断すべきだ」と迫りました。

「競輪場の存廃問題、京都府への要望について」
日本共産党議員団 丹野 直次 議員
http://www.city.muko.kyoto.jp/shigikai/dayori2012/120201/202_04_p.html

開会中の京都府議会で山田知事は「向日町競輪場の存続は中長期的にはむずかしい」との表明をされた。2014年度から赤字傾向の見込みが理由としている。そこで、廃止でも良いのか、継続を求めるのか、市の考えを示すべき時期にきている。懸案になっている①雇用の確保②競輪場の利活用方向③まちづくりの多彩な要望がある。そうした点を含め地元の意見をしっかり訴えるものにしなければならない。府は今後協議を行いたい意向を示しているが、どんな内容なのか伺う。


また2013年に我々賭博関連業界を騒がせた、兵庫県小野市による「生活保護受給者の賭博等での浪費を抑制する条例」の成立にあたっては、日本共産党所属の高橋ちず子衆議院議員が「制度に反対」の立場で以下のような国会委員会での質疑を行っています。


“水際作戦”合法化許されない
http://chiduko.gr.jp/kokkai/kokkai-339

日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は29日の厚生労働委員会で、生活保護改悪法案の質疑に立ち、申請者を締め出す“水際作戦”の合法化をやめよと追及しました。[...]

○高橋(千)委員
基本的には保護費を何に使うかというのは自由だということでよろしいですよね。やはりそれは、アルコール依存症ですとか、買い物依存症ですとか、病的に何か支援をやらなければならないということに対して支援をするというのはいろいろな仕組みをつくる必要があると思うんですけれども、何かそれが、本当にわずかな保護費の中でのささやかな楽しみまで全部管理をされるのかということがあってはならないわけです。

しかし、現実にそれが条例になったのが、兵庫県の小野市の条例でありますけれども、ここは私は三つ問題があると思っています。それは、生活保護費だけではなくて、児童扶養手当とかその他福祉制度についての金銭給付についても対象になっている。もう一つは、パチンコ、競輪、競馬その他ということで、何か、範囲がどこまで広がるんだろうということ。そして三つ目が、市民に通報の責務を与えている。こうなるとさすがに、ささやかな楽しみどころか、パチンコをやる人は皆通報しなさいではないですけれども、そういう極端なことになってはならない
(下線は筆者加筆)


カジノ合法化論においては「賭博は害悪」などという一種の宗教的な原理主義論を主張しているように見える共産党ではありますが、上記のように時と場合によっては公営競技事業の廃止に猛烈に反対を繰り返したり、パチンコを「ささやかな楽しみ」と評して条例反対論を展開したりと、必ずしもその主張に一貫性があるわけではなく、どこかで「許される賭博」と「許されない賭博」の線引きを行っている様が見て取れます。

前回エントリにおける朝日新聞のカジノ反対論においても同様にいえることですが、カジノ反対派は「依存症が増える」「治安が悪くなる」などと、ある意味「判り易い」反対論を展開しがちなのですが、そもそも我が国には既に様々な賭博やそれに類するモノが存在しており、昨日や今日に始まったものではありません。しかも、そのような反対論を展開する方々の過去の言動を追いかけてみると、必ずしも彼らはそれら既存の賭博関連業を否定し続けてきたワケでもなく、寧ろそれを推進するような言動を行っている場面も多々見られる。

私としては「では、その線引きはどこにあるのですか?」ということを、問い直したくなってしまうワケです。


【参照】朝日新聞の「カジノ批判」に改めて見解を求めたい
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8812178.html


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