記事

バロンズ誌:イエレン議長、金利上昇局面で米株に割高感を表明

Barron’s : Yellen Warns Stock Valuations In The Heat Of Rising Bond Yields.

バロンズ誌、今週の特集は複合大手ハネウェルです。再編計画を通じゼネラル・エレクトリック(GE)は産業部門で年間10%の増益を目指す一方、ハネウェルは約10年前から10%以上の増益を達成中。GEの株価が過去13年間で33%も下落した半面、ハネウェルの株価は200%以上、売上も2倍の400億ドルヘ拡大し時価総額は200億ドルから800億ドルへ膨らみました。そんなハネウェルに軍配を上げ、GEより投資妙味が高いと伝えます。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、前回に続き独債安(利回りの上昇)が与えた市場への影響に加え、Fedの金融政策です。独10年債利回りは4月17日の段階で0.033%まで低下した後、仏国債の入札不振もあって5月7日には0.8%付近まで急騰しました。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのクレジット・ストラテジスト、ハンス・ミケルセン氏とユリー・シュシュチノフ氏は、欧州でのボラティリティ急伸が米債・米株市場にも波及してきたと説きます。米10年債利回りは7日に一時2.3%へ上昇し、S&P500の下落を促しました。その後、独10年債利回りは21bp低下し0.59%へ落ち着き、S&P500の大幅高につながります。

通常では起こりえない変動の激しさの理由として、シカゴ先物ブローカーR・J・オブライエンのマネージング・ディレクターのジョン・ブレイディ氏は、中短期債の利回りがゼロを割り込む段階で欧州市場は「非常に神経質」になると指摘。背後に、「流動性不足」を挙げました。

独債をはじめ欧州債の利回り上昇は、遥か別の場所にも影響を与えました。例えば、iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(IWM)。小型株指数ラッセル2000に連動する上場投資信託(ETF)は4月半ば利回りが低下し独債の価格が上昇した際にピークをつけました。7日に独債利回りや米債利回りが急伸すると、合わせて下落し週末に値を戻したものです。ムーディーズ・アナリティクスのジョン・ロンスキ主席金融市場エコノノミストは、米10年債利回りが2月初めの1.67%から5月7日に2.30%まで上昇するなかで「ファンダメンタルズに変化はない」と説明。しかし、明らかに投資家は6月ではないにしても9月あるいは12月の利上げ開始を意識していることでしょう。

独債利回りの上昇に、内需関連が集まるIWMも反応。
リンク先を見る
(出所:Stockcharts)

利上げヘの警戒は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のひと言で一段と強まりました。同議長は6日、「米株相場のバリュエーションは全般的に非常に高い」と発言。その上で「安全資産とみなされる債券は利回りが低水準にあり、そうした債券と比較すると株式のリターンはそれほど高いわけではない。しかしながら、潜在的な危険性が存在する」と述べました。また、低水準にある米長期債利回りの急伸にも言及。2013年半ば、資産買い入れの縮小を控え市場をテーパー・タントラムが席巻し利回りが急伸した当時を振り返れば、米株は投資するにあたって魅力的な水準とは言い難いのかもしれません。

ビアンコ・リサーチのジェームズ・ビアンコ氏は、グリーンスパン元FRB議長がドットコム・バブルが形成されつつある1996年に「根拠なき熱狂(irrational exuberance)」と発言したことを振り返ります。当時、「グリーンスパンFRB議長は1997年3月に5.25%から5.50%へ引き上げたため、S%P500は1997年2月18日のピークから10%下落した」。それから、景気拡大に沸く「1999年まで利上げを回避」していました。

現在ではどうか?ビアンコ氏は年内の利上げ見送りを予想するものの、「イエレンFRB議長による『米株は割高』との発言が利上げの警告だとすれば大いに注意が必要」と主張します。

ポトマック・リサーチのグレッグ・バリエール氏は、政治的リスクに警鐘を鳴らします。リチャード・シェルビー米上院議員(共和党、アラバマ州)が率いる米上院銀行委員会では、テイラー・ルールに基づき利上げを推進させる法案を検討中。保守派の間で、Fedの低金利政策が預金者の金利収入を奪ったとの批判が高まっており米大統領選を前にFedへの攻撃の手を緩めることはないでしょう。リベラル派の間でも、米大統領選を控える2016年の利上げは好ましくない。Fedが独立した存在とはいえ、政治的な圧力を感じていることでしょう。

米4月雇用統計は金利を低下させ、金融市場関係者に安堵をもたらしました。ゴルディロックスの復活を喜んだかのように、S&P500は1.35%も上昇を遂げ引け値ベースでの過去最高値まで0.1%に迫ります。

問題は、コスト削減で培った業績とガソリン価格の下落で高まった購買力が経済を支え切れるかどうか。13日発表の米4月小売売上高で、あらためて経済の底力が試されます。一方、米4月雇用統計では鋼業セクターの就業者が0.3%減少していました。最低賃金引き上げというPR的な活動の陰で、年収6桁(1000万円以上)の石油採掘関連労働者は、明らかに減少しつつあります。リシオ・レポートのフィリッパ・ダン氏とダグ・ヘンウッド氏は、就業率に注目。米4月失業率が5.4%に低下した半面、「就業率はここ4ヵ月59.3%のまま」です。政治的かつ経済的な側面で利上げは正当化されるものの、両氏の見解では「労働市場は利上げの根拠を与えていない」。Fedははたして、9月に利上げを開始するのでしょうか?

ストリートワイズは、パーシング・スクエア率いるビル・アックマン氏の発言を振り返ります。同氏はヘッジ・ファンド業界の大物が一堂に会したアイラ・W・ソーン・インベストメント・カンファレンスで、自身が投資する加製薬大手バリアントは、オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイに匹敵する企業になるとの見通しを示しました。

同コラムでは、この見解を全面的に否定。バリアントは買収企業でレイオフを断行し、成長促進に集中する傾向が高い。例えばバリアントによる買収を経てボシュロムの売上高は倍増し、利益率は21%から50%へ急伸しました。そういった戦略は株主に利点をもたらすため、決して間違った戦略ではない。問題は、やはりバリアントのバリュエーションにアリ。ISIエバーコアのクオンツ・ストラテジストであるパンカジ・パテル氏によると「バリアントはS&P1500のうち最も割高で、最もボラティリティが高く、最も成長が期待される銘柄のひとつ」だとか。バークシャー・ハザウェイと正反対であり、同コラムはバリアントはバークシャー・ハザウェイたらず、と結んでいます。

あわせて読みたい

「ジャネット・イエレン」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    給付金効果はあったが見えぬだけ

    自由人

  2. 2

    日本における次世代の目玉産業は

    ヒロ

  3. 3

    ロンブー淳 TVに抱く気持ち悪さ

    文春オンライン

  4. 4

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  5. 5

    岡村結婚の裏に涙のエレベーター

    文春オンライン

  6. 6

    大阪の幻想 維新が得する都構想

    猪野 亨

  7. 7

    NHKと国民の関係性は「強制」に

    PRESIDENT Online

  8. 8

    ネットゲームに求められる人間力

    シロクマ(はてなid;p_shirokuma)

  9. 9

    官僚へ負担どっち? 野党議員反論

    BLOGOS しらべる部

  10. 10

    謎解きを許さぬ三島由紀夫の意思

    内田樹

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。