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宍道勉さん(曽田文庫応援団理事長)インタビュー「このクラウドファンディングが、一人でも多くの人に図書館や読書の意義を考えるきっかけになればいい。」

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本屋や図書館が少ない過疎地域・中山間地域に分館を

――曽田文庫の分館を作るプロジェクトが始まった、その背景について教えてください。

宍道勉さん(曽田文庫応援団理事長/以下、宍道):曽田文庫は、創設者米田さんのいわば「私的」な図書館としてスタートしました。しかし、市民応援団による運営に移行して以来、「公的」な性格と役割をも強めてきました。市民自身が図書館という公的な役割を担っている機運が強まってきました。一方で、曽田文庫の蔵書スペースには限界があり、新たな本を受け入れるためには、古い本を販売で処分してきました。しかし本が読み継がれるという意味ではいいのですが、苦労して収集した蔵書を生かすことができません。そこで本屋や図書館が少ない過疎地域・中山間地域に分館をという構想が出てきました。
 それは先に述べた通り応援団理事の一人が、交流のあった飯南町谷地区の廃校に「曽田文庫」の資料を「分館」として置いたところ、地域住民から非常な歓迎を受けたのです。
 このことを知った同じ中山間地域の若いグループの要請があり、今回新たに3カ所に分館を開設することとなりました。

――島根県雲南市、奥出雲町、邑南町の3つの場所に分館創設を決めた経緯が各々にあると思います。それぞれについて簡単にお聞かせいただけますか。また、分館を創設することができた場合、そこをどのような場所にしていく予定かも可能な範囲で教えてください。

宍道:
●雲南市
 古民家を改修して「みんたくAda-n(あだぁーん)」をスタートした当地域の20~30代の6人が、「何か地域で面白いことができないか」とさまざまなイベントを企画していました。その中で、文化的な活動を検討したとき、地域に図書館がないことに疑問を感じ、自分たちで本を持ち寄り、紹介し合うイベントなどを検討していたところ、曽田文庫が分館の設置を検討しているという情報をキャッチし、分館設置をすることで考えが一致しました。

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雲南市・掛合分館のメンバー

●奥出雲町
 奥出雲町はかつてより町立図書館の設置を目指す住民グループによる読書や図書館に関する地域づくり活動が盛んに行われていた地区です。そこへ曽田文庫の分館構想を知って同地域の30代のグループが集まり、相談の結果、過疎化が進む同町高田地区にある築100年の古民家を活用する案が持ち上がりました。すでに古民家を借りるめどが立ったので、クラウドファンディングによって改修費を調達し、分館を設置することにしました。

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奥出雲分館のメンバー(左が宍道さん)

●邑南町
 この地域で活動する事業組合(新聞配達や高齢者の送迎サービスを行う地域事業者)事務所の空きスペースでイベント会場などとして使用されている場所がありました。
 ここの場合はその情報をキャッチした曽田文庫の理事が、人が集まる仕掛け作りに曽田文庫の図書を活用してもらえないかと打診提案し、設置することで合意しました。

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邑南町・口羽分館のメンバー

クラウドファンディングは「メディア」でもある

――曽田文庫の分室の創設にあたって、クラウドファンディングという方法を選ぶに至った経緯を教えてください。今回のプロジェクトの参考にした過去の事例などがあれば、それについても知りたいです。

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クラウドファンディングサイト・READYFORの曽田文庫分館設立プロジェクトのページより(スクリーンショット)

宍道:曽田文庫は応援団設立当初から、恒常的に図書購入費の確保が最大の課題でした。クラウドファンディングは、資金調達とともに、情報が拡散する「メディア」としての役割もあり、曽田文庫の存在を広くアピールすることができます。同時に本館と分館の蔵書を増やすこととなり、図書館機能を高めることも視野に入れていました。過去には、2014年のライブラリーオブザイヤーを受賞した同じ島根県の海士町の海士町中央図書館が、蔵書充実のための資金確保にこの方式を利用して成功させていることを参考にしました。

――4月中旬にクラウドファンディングの募集を始めてから、今に至るまでの手応えや、予想と異なっていた点などを教えてください。

宍道:初日にいきなり10万円の出資者が出て、その後も順調に増えているので、手応えを感じています。
 フェイスブックの「いいね!」も600を超え、全国の多くの人が関心を持っているという手応えを感じています。ただ、目標額にはまだまだ届かない状況ですので、応援団や当該地域の方達とともに、精一杯曽田文庫の魅力を伝えていきます。それが一人でも多くの人に、図書館や読書の意義について、考えてもらえるきっかけになればいいなと思います。

――最後に、7月10日(金)の支援の締め切りに向けた意気込みや、ここを読んでいる方へのメッセージ、書き残したことなどがあればどうぞ。

宍道:今やクラウドファンディングによるプロジェクトは数多くありますので、150万円の目標達成は至難の技です。しかし市民が立ち上げた「小さな」曽田文庫応援団は地元「松江市」だけでなく島根県全域の人を活気付けるまでに活動が進んでいますので、必ずや理解者が増えて目標にたどり着くと信じております。
 どうか力強いご支援をお願いいたします。

――このたびはありがとうございました!

[independent publisher:宍道勉さん(曽田文庫応援団理事長) 了]

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