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イエレン議長が本当に言いたかったこと

株価が下げています。どうしてかと言えば、イエレンFRB議長の発言が影響しているのだとか。

 イエレン議長が、現在の株価は割高だと言ったというのです。

 でも、FRBの議長ともあろう人が、そのような軽率な発言をするものなのでしょうか?

 問題の発言は、6日、ワシントンで行われたイエレン議長の講演の後の公開討論の場で、ラガルドIMF専務理事の質問に対しなされたものだというのです。

 具体的に言えば、ゼロ金利政策が長く続くことによって資産バブルを生み出すのではないかとのラガルド専務理事の質問に対してなされたものである、と。

<イエレン議長の発言>
 I would highlight that equity market valuations at this point generally are quite high.

 「現時点で、株式市場のバリュエーションは一般的にかなり高いということを強調したい」

 どうでしょうか? 確かに、ある意味思い切った発言であるようにも見えます。

 でも、その後で、次のようにも言っているのです。

 Now, they’re not so high when you compare the returns on equities to the returns on safe assets like bonds, which are also very low, but there are potential dangers there.

「ただ、株式投資のリターンを債券のような安全資産のリターンと比べてみると、それほど高くはない。債券投資の利回りは非常に低い。しかし、そこには危険が潜んでいる」

 如何です? イエレン議長が何を言いたいのかお分かりでしょうか。

 私は、彼女が何を言いたいのか、最初全く分かりませんでした。

 非常に利回りが低い債券投資に比べれば、株式投資のリターンは高いと言うべきではないのか?

 それなのに、not so high (それほど高くない)とはどういうことなのか?

 彼女の言いたかったことは次のようなことではないのでしょうか?

 米国債などの安全資産への投資と比べて、リスク資産である株式への投資は、当然のことながらそのリスクの差を反映してリターンが高くて当然であるが、それから考えると、株式投資のリターンがそれほど高いとまでは言えない、と。

 つまり、彼女は、一般論として株価は現在相当に高いレベルに達していると指摘した後、それだけでは、FRBがバブルが発生していると認識していると受け取られかねないので、情報を補足したということではないのでしょうか。
 
 つまり、株価が高くなっているというのは事実だが、安全資産である米国債などのもたらすリターンに比べて危険資産の株式がもたらすリターンが高いのは当たり前のことであり、そのことから考えると必ずしも株価が割高だとは言えない、と。

 でも、分からないのはそれだけでありません。最後の文章が何を意味するのかもはっきりしないのです。

 潜在的な危険性があるというのは、どういうことなのか? 株式は安全資産でないから、リスクが大きいということなのか? それとも、現在債券の利回り(金利)は低い状況にあるが、それが高騰するとというリスクがあるということなのか?

 本件に関する内外の報道ぶりをみてもイマイチ確信が持てないのですが、どうもその潜在的危険性というのは株式について言っていると理解している人が多いように見えるのです。

 株価が割高になっているとすれば、いずれ株価が低下する恐れがある、と理解している人が多そうだ、と。

 しかし、イエレン議長の話を流れを追っていくと、どうもそのように理解すべきではないような気がするのです。

 そうではなく、potential dangers とは、金利が今後急騰するリスクがある、と。

 というのも、誰でもが承知しているように、近い将来米国のゼロ金利政策も終了し、そうなると金利が徐々に引き上げられることが予想される訳ですが、そうなった場合に、金利が急騰する恐れがあるので、そうはならないようにFRBは今後とも万全の注意を払うということを言いたかったのではないのでしょうか。

 いずれにしても、本日の記事は私の考えに基づいたものであり、それが正しいかどうかは分かりません。

 ただ、どう考えても、バブルかと問われて、FRBの議長がバブルが発生しているなんて答える筈はないと思うのです。つまり、イエレン議長は、直接答えることはせず、単に株価は高い水準にあると答えるに留めた、と。そして、今後の金融政策の転換によって思わぬ影響が出ないようにしたいが、市場関係者も注意をして欲しいと言いたかったということではないのでしょうか。

 ということで、私は、今回のイエレン発言には、株高に対する警戒の意味はそれほど込められていないと理解した次第です。

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