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「憲法改正」を超えて復古的体制をめざす安倍政権

生活の党と山本太郎となかまたち代表 小沢一郎


本日、日本国憲法は施行から68年を迎えました。憲法とは、国と国民の生活を守るために国民自身が定めたルールで、あらゆる法律や制度の基本となるものです。したがって、そこには自ずと安定性と硬質性が求められます。憲法96条が両院の総議員の3分の2以上の賛成を憲法改正の発議の要件としているのも、憲法の基本理念を否定するような安易な改正は認めないとしているからだと考えられます。

そういう意味からも、憲法前文で謳っている国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という日本国憲法の四大原則は、現在においても守るべき人類普遍の考え方であり、また、国連憲章とも整合性がとれており、引き続き堅持すべきものであります。

一方で、何が何でも憲法を改正してはならぬというのもおかしな話で、旧来の護憲・改憲論議というのはあまり意味がありません。国の行く末や国民の生活を守っていく上で、時代の変遷や世界情勢の変化によって憲法の条文が機能しないような状態になった場合には、当然国民が自分たちの判断でこれを変えることは許されるものであります。

しかし自民党の憲法改正草案をみると、国家あっての国民という視点に立ち、日本国憲法の基本理念を蔑ろにし、否定する考え方になっており、到底賛同できるものではありません。これは、憲法改正の限界を超え、改正というよりも、むしろ全く新しい憲法をつくろうというものです。自民党が現在やろうとしている「改正」は、日本国憲法の理念を抜本から覆すという意味で現憲法との連続性が無く、しかもその内容は、大日本帝国憲法よりも復古的ともいえるものとなっています。

しかし安倍内閣は、このことを正面から打ち出すと、さまざまな抵抗があり波風が立つため、あれこれ手を変え、品を変え、言葉を労して、なし崩し的に実質的な憲法改正を行っています。昨年夏の集団的自衛権の行使容認の閣議決定は、まさにその最たるものです。そして政府与党は今、集団的自衛権の行使に踏み込んだ法制度を作ろうとしています。これは憲法を完全に無視したやり方であり、法治国家・民主主義国家として決して許されるべきものではありません。

安倍首相が本当に日本のために集団的自衛権を行使する必要があるという信念を持っているのであれば、正々堂々と憲法9条の改正を国民に問うべきです。政府は姑息な手段を講じるのではなく、正面からの政治運営を心掛けるべきです。

こうした正々堂々の議論を避け、うわべの言葉でごまかしながら、なし崩し的に既成事実を積み重ねていく方法はまさに戦前の昭和史と同じです。「ここまで来てしまったのだから、もうしょうがない」。そういうことの繰り返しで、日本は、ずるずるとあの不幸な戦争へと突入していったのです。このような安倍首相の手法は、必ず国の行く末を誤り、国民の生活を破綻させることになると危惧しています。

日本国憲法の理念の根本は国民主権です。これは自由な意思を持つ市民の自由な議論によって得られた合意に基づき共同体国家がつくられ、その共同体国家を規制し、自分たちの生活を守るためにつくる最高法規こそが憲法だというものです。その根底には、個人の自由な意思表示というものがあり、これが憲法上の一番大事な原則になっています。

このことを国民一人ひとりが今一度しっかりと理解し、きちんとした自己主張を展開すべき時にさしかかっているのではないでしょうか。そのくらい今の日本は危機的状況にあります。憲法改正についても、誰かによって誘導されたり強制されたりするのでは国民主権ということには決してなりません。

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