外国人技能実習で不正、241団体…4年連続増(読売新聞)
外国人技能実習生に対する賃金不払いなどの不正行為を行った受け入れ団体・機関が、2014年は計241団体に上り、前年から11団体増えたことが法務省の調査で分かった。
外国人技能実習制度が現在の形となった10年以降、4年連続で増加している。
不正行為の総件数は350件(前年比16件減)だった。最も多かったのは、賃金不払いの142件で、講習期間中に業務に従事させる行為が74件、実習計画と異なる作業を行わせる行為32件などと続いた。
特に悪質な人権侵害行為としては、パスポートや在留カードを取り上げていた事例、妊娠した実習生を本人の意思に反して即日帰国させようとした事例、実習生の銀行口座を無断で開設し、通帳やキャッシュカードを管理して自由に賃金を引き出せないようにしていた事例などがあった。
これが選挙の争点になることはないわけですが、外国人技能実習/研修制度は日本の暗部として、もう少し追求の対象になっても良さそうな気がします。自民党政権から民主党政権に変わっても、安倍内閣が誕生して経済政策が90°くらい変わっても、この恥ずべき人身売買制度が変わることはありませんでした。しかし、こうしたやり口が当たり前のように罷り通るようでは、とうてい自国を誇らしく思えることなどできませんよね。
それなりに人権意識が高い風を装っている政党でも、弱者の味方と称している中の「弱者」には「弱い企業」が含まれているのでしょうか。往々にして最悪の雇用主は中小/零細企業に多くて、外国人を技能実習の名目で売買し、人権侵害を繰り返しているような輩もその例外ではないわけですが、「大資本にいじめられる弱い企業の味方」でもある小政党は、この制度に対して厳しい態度を取れなくなっているところもあるように見えます。「弱い企業」にも厳しい態度を取れないと、人権は守れないと思うのですけれど。
ただ日本側だけではなく、「実習生」を送り出す側の国の人権意識も問われます。受け入れ側(つまり日本)の悪質さもさることながら、こうした実情を知った上で同胞を日本に売りつける「親日派」のブローカーもまたいるわけです。その辺、送り出す側の国ではどう考えられているのでしょうね。まぁ、日本に来てしまう人が後を絶たないからには、「よく知られていない」のが実態なのかも知れません。
率直に言えば、こうした外国人の扱いを見るに日本が「反省していない」と周辺国から非難されるのは当然だなと、そう思うところです。日本が「今」やっていることだって、将来的には謝罪なり賠償なりを求められてもおかしくない非道な行為です。外国人を騙して日本に連れてきて、それで半強制的な労働に――日本人相手には許されない低賃金で――従事させるのですから、これが罪でないはずがありません。中国なりベトナムなりが、もう少し自国民を大切にするようになったら、日本における同胞の境遇を問題視してくることもあるでしょう。その時になって問題を「なかったこと」にしようとしても、それは通用しません。