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インドネシアで死刑執行|薬物密輸と死刑の問題

28日、インドネシアで外国人を含む8人に対する死刑が執行されました。8人は、いずれも薬物事犯で死刑が確定していたもので、オーストラリア2人、ナイジェリア4人とインドネシア人、ブラジル各1人と伝えられています。

このうちオーストラリア国籍の2人は、2004年にインドネシアのバリ島からオーストラリアへ、ヘロインを密輸しようとして逮捕されたグループの主犯格で、死刑を言い渡されていました。若者グループによる薬物密輸事件であったことから、オーストラリアでは救命運動が続けられ、10年以上にわたって政府をあげて死刑回避のための働きかけが行われており、今回の強行に対して、オーストラリアは駐インドネシア大使を召還するという措置をとりました。

インドネシアでは、薬物輸入犯罪に対する最高刑は死刑と規定されていて、大量の薬物密輸事件で死刑判決を受けたなかには、多数の外国人も含まれています。最近でも、英国籍の高齢女性に対して死刑が言い渡されました。

しかし、近年では執行があまり行われず、事実上、薬物犯罪者に対する死刑執行は留保されるのではないかという見方も広がっていましたが、昨年になって突然執行が再開され、現大統領の就任から間もない今年1月には、外国人を含む6人(いずれも薬物輸入事件で死刑が確定)に対する執行が行われたところです。

前回の執行からわずか3月あまりで、再び8人に対する死刑執行を強行した現政権に対して、死刑執行を政治的な支持獲得のための手段にしているのではないかという声もあり、国際社会の非難が強まっています。

インドネシアといえば、覚せい剤を密輸しようとして逮捕され、裁判を受けている日本人男性がいます。死刑の求刑も考えられるケースで、裁判の成り行きが気になっていましたが、同じ28日に、この男性に対して16年の拘禁刑の求刑があったと報じられました。とりあえず、この事件では死刑宣告を免れましたが、日本への覚せい剤密輸が増えれば、日本人に対する死刑宣告もあり得ます。
<ニュースから>*****
●邦人男性に禁錮16年求刑=覚せい剤密輸、無罪主張-インドネシア
【ジャカルタ時事】インドネシア西スマトラ州で28日、覚せい剤を密輸しようとした罪に問われた日本人の無職K被告(73)の裁判が開かれ、検察側は禁錮16年と罰金10億ルピア(約900万円)を求刑した。被告は無罪を主張している。
起訴内容によると、K被告は昨年11月、同州パダンの空港で覚せい剤約2.7キロをリュックサックに隠し持っていたとされる。
弁護人によると、K被告は「覚せい剤が入っていたとは知らなかった」と主張している。
時事通信(2015/04/28-19:18)
東南アジア地域は国際的な薬物密輸ルートの途中にあり、アフガニスタンやミャンマーで生産されるヘロインや覚せい剤がアジア太平洋地域に向けて密輸される際の重要な中継拠点になっています。東西冷戦の時代には、薬物密輸によってもたらされる莫大な資金が反政府組織の資金源になり、また近年では、国際的な薬物組織の活動によって地域社会の安定が損なわれてきました。

こうした歴史的な背景から、この地域では薬物犯罪に対して厳しい法制度が採用され、とくに薬物密輸事犯に対しては、最高刑を死刑と定めている国が集中しています。

世界的に死刑廃止の流れが加速しているなかで、とくに、他人の生命や身体を直接侵害したわけではない薬物事犯者に対して、死刑を科すことの是非が問われています。法律上、薬物の大量密輸や密売などに対する最高刑を死刑としている国は、世界で30か国ほどありますが、その半数ほどは(米国、韓国、インドなど)実際に薬物犯罪のみの被告人に対して死刑が言い渡されることはまずなく、実際に薬物犯罪者に対する死刑が適用されているのは、世界でもわずか17、8か国です。

身近な東南アジアで、薬物犯罪者に対して死刑執行が行われていることについて、私たちはもっと目を向けておきたいと思います。

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