2008年に創業されたAirbnb(エアビーアンドビー)は、サンフランシスコに本社を置くスタートアップ(ベンチャー企業)で、空き家や空き部屋などを、インターネットを通じて貸し出すサービスを手掛ける。同社が物件を保有することはなく、貸し手(ホスト)と借り手(ゲスト)をマッチングし、金額に応じて6~12%の手数料を取る仕組みだ。
現在、190カ国、34万都市で100万物件以上を取り扱い、ゲスト数は累計3000万人を超える。日本ではユーザーの大多数が訪日外国人で、日本人ユーザーを増やしている段階だ。ユーザー数は非公表だが、国内の物件数は7000件を超えている。
だが、このビジネスモデルには、戦後間もない1948年に制定された旅館業法が立ちはだかる。既存客を奪われることになる全旅連(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)が、「旅館業法に基づかない物件の営業は不公平」と不満を露わにするなど、同法を巡る議論が活発化している。Wedge5月号では、旅館業法を巡り、混乱する現場について記事を掲載しているが、ここではAirbnb Japanの田邉泰之代表取締役のインタビューコラムを掲載する。
Airbnbは物件を提供するホストとゲストのマッチングをしているオンラインサービスであり、旅館・ホテルを営んでいるわけではない。
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Airbnb Japanの田邉泰之代表取締役
(写真・小平尚典)
旅館業法については、「アンクリアな状態にある」と認識している。我々は法律がないことを求めているわけではない。安全に広まっていくための、時代に適合した新しい法律ができることを求めている。旅館業法は遥か昔につくられた法律。これは日本特有の問題ではなく、グローバルでも同様だ。
ヨーロッパやオーストラリアなどの都市では、我々のようなサービスを安全に展開するための法律を、新たに制定しているところもある。
Airbnbは、シンガポールに公共政策チームがあるので、そこと連携して日本でも各所に働きかけをしている。
ホストが物件を登録するときに、社員を派遣して物件が法令に従っているか確認することはしていない。ホームページに掲載されている規約を読んで同意していただくというかたちをとっている
ホストもゲストも、お互い5段階評価を行いコメントも残す。ゲストが「水まわりが汚かった」というコメントを残すと、それ以降、ゲストが集まりにくくなる。評価の低いゲストをホストは断ることもできる。結果的に、自動的にしっかりとした方しか使えなくなる仕組みだ。使えば使うほど、ホストもゲストも人となりが分かる仕組みだが、初めてのユーザーもfacebookなどのSNSと連携させる、パスポート、電話番号を登録するなどして、透明性を高めている。
事前にホストとゲストでメッセージのやり取りもできる。大きなトラブルは今のところ発生していない。
(聞き手・構成/Wedge編集部)
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