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『クロ現』ヤラセ ”余罪”が続々!最終報告が”余罪”を検証しないなら、検証もヤラセか?

「やらせ・捏造」を「取材が不十分」だなどと、コトの重大さをなるべく小さく伝えようとするNHK

NHK『クローズアップ現代』で昨年5月14日に放送した「追跡”出家詐欺”~狙われる宗教法人~」について、NHK内の調査委員会が検証した中間報告が出た後で、番組ホームページの冒頭に以下のような表記が出るようになった。

お知らせ 2015年4月10日(金)「追跡”出家詐欺”~狙われる宗教法人~」について

出典:NHK『クローズアップ現代』ホームページ

この部分をクリックすると、以下のようなホームページに移行する。

お知らせ

去年5月に放送した「追跡”出家詐欺”」について、いわゆるやらせがあったとの指摘を受け、NHKは調査委員会を設けて、取材や制作などが適切であったかどうか調査を進めており、中間報告を公表しました。

放送の中で、出家を斡旋するブローカーの活動拠点だとしてお伝えした部屋は、活動拠点ではありませんでした。取材が不十分だったもので、部屋の借り主と視聴者の皆様にお詫びいたします。

そのほか、取材や制作などが適切であったかどうかについて、調査委員会はさらに調査を進め、

できる限り早い時期に調査報告書を公表することにしています。■「クローズアップ現代」報道に関する中間報告

出典:NHK『クローズアップ現代』ホームページ

この文章に、筆者はNHKの救いがたい危機意識の低さを感じ取ってしまう。

というのは、中間報告でNHKは「出家を斡旋するブローカーの活動拠点だとお伝えした部屋は、活動拠点ではありませんでした」と間違いを認めながらも、「取材が不十分だったもの」と釈明している。もしN記者が「間違い」の報道をしたのが確信犯ならば、明らかな「捏造」「やらせ」と言えるものだからだ。何が何でも真実を明るみに出そうという迫力はなく、関係者に「聞いてみました」という姿勢なのだ。

だから、いかに中間報告だとはいえ、「取材が不十分」などという大甘の表現をしている。

これでは近日中に出る見込みの最終報告書の検証も果たしてどこまで深くやるのか、疑問が残ってしまう。

さて、4月21日に発売された写真週刊誌『FLASH』(2015年5月5日号)では、冒頭の写真にあるように、別の回のNHK『クローズアップ現代』での新たな疑惑をスクープ報道している。

昨年6月5日放送の『クロ現』「中高年と覚醒罪~薬物汚染・拡大の真相から」である。

週刊文春のスクープで疑惑が明らかになった「追跡”出家詐欺”~狙われる宗教法人~」と同様、NHK大阪放送局のN記者が取材している。顔を見せない男性が繁華街に停められた車にN記者と一緒に乗りこんで”脱法ドラッグに詳しい人物”という字幕が出て、「バリエーションを増やす中でいろんな薬を入れてきた」「そこで”これは売れるんだ”ということで一斉に覚醒剤的な成分を入れるようになった」「もう覚醒剤的な成分が入っていないと売れない時代じゃないですか」などと証言する。まるで、繁華街で車に乗りこんでくる設定といい、脱法ドラッグの密売に直接的か間接的などの何らかの形でかかわっている人物のように映っている。

『FLASH』によると、

NHKのある職員が「”ヤラセ”は他にもあります」という告発情報を寄せてきたのがきっかけで、

この”脱法ドラッグに詳しい人物”なる人間が、実は「N記者の知人のフリージャーナリスト」

である、という。

画像を見る

このフリージャーナリストは、放送を見て「事前の約束とは違う使われ方をしているなと。これでは密売人と思われても仕方ないと感じました。(中略)あくまでN記者のやったことです」と答えたと『FLSAH』は報じている。

ジャーナリストはNHK記者の同業者である。通常はジャーナリストならジャーナリストである、と表現するのが、番組制作者の「誠実さ」である。

「~に詳しい人物」として思わせぶりに登場した人間が、実は伝えている記者と同業のジャーナリストだったなんて視聴者をだました、とも言えるような放送の仕方である。

たとえは悪いかもしれないが、

3流の週刊誌がどこかの会社組織の内部事情を書く時に、「**社の関係者はこう語る」というのに似ている。

「関係者」というなら、その会社の社員もいれば、バイトで出入りする人間、あるいはトイレの掃除で出入りする人間も「関係者」として登場させることができる。要は、あいまいで、いい加減なのだ。そういう報道で、週刊誌報道では「関係者」が都合よく使われるが、NHK『クロ現』が使っていた「~に詳しい人物」も、同じように使うことができる。

それをわざと曖昧にして、まるで密売の関係者であるかのように演出する。NHKともあろうものがこんないい加減な番組制作をしていたとは正直、驚いた。

しかも『FLASH』の取材に対して、NHK広報局はこう回答したという。

「番組で取り上げたのは『脱法ドラッグ』に詳しい人物であり、『密売人』と字幕スーパーしたり紹介したりしておらず、密売人をうかがわせるようなコメントもしていません。

取材源の秘匿の観点から、この他のコメントは控えます」

これにも呆れた。

私は報道にかかわる人間の数から言えば、NHKと比べると、吹けば飛ぶような民放テレビ局の出身だが、少なくとも、同業者なのに顔を隠して登場させて「~に詳しい人物」などという字幕で放送したことはない。もしやったら、それは取材の競争相手なのに隠して証言を使うことだからテレビ報道にかかわる人間として恥ずかしい、不健全な報道をしたとして猛烈な自己反省をするだろうと思うし、後で発覚したら放送倫理に反するとして、局内でも厳しい指弾を受けるだというと思う。

ところが、NHKは「密売人」と字幕スーパーしたわけではないし、ジャーナリストも「脱法ドラッグに詳しい人物」に違いはないので問題ないかのようなコメントをしている。

NHKの放送倫理の意識というのはこんな程度だったのか。

これは、先日の”宗教法人詐欺”の『クロ現』の中間報告で、「多重債務者」として登場した人物が、事実、多重債務者だった、と弁明したのと同じく、ごまかしにすぎない。

テレビ報道に詳しい人間があの中間報告を読んだたら、その人物が実際に多重債務者であったかどうかということは実は枝葉末節に過ぎず、お金に困って本当に(演技ではなく)宗教法人詐欺の「ブローカー」の元に「相談」に訪れたかどうかについて検証すべきなのに、それをせずに、形式的に「多重債務者」かどうかだけを検証し、肝心な部分を検証していないことは明らかな内容だった。

この「多重債務者」として登場した人物が、実はN記者と「8、9年来の知人」であり、彼が相談に訪れたと放送された「ブローカーの活動拠点」も、実は「ブローカー」氏ではなく、この「多重債務者」氏の方が場所を用意して撮影させたこともわかった。

これでは、N記者が関与した取材はすべて、でたらめだと考えた方がいい。

このことを裏付けているのが、今回の『FLASH』が暴いた、もう一つの『クロ現』での疑惑である。

さらに一連のNHKの報道番組での”やらせ疑惑”の火付け役になった『週刊文春』は、4月23日号でも昨年11月に放送された『NHKスペシャル』「攻防 危険ドラッグ 闇のチャイナルートを追う」の疑惑を報じている。ここで「中国の化学メーカーに詳しい日本人」として登場した人物が、実は、問題になった『クロ現』での「多重債務者」氏であるという。週刊文春の取材に、N記者自身もこの事実を認めているという。

またしても「~に詳しい人物」。しかも「危険ドラッグ」だ。「脱法ドラッグ」から報道される際の表記が変わっただけの同じものだ。

これらの符号を考えると、N記者がかかわった取材だけでも、「多重債務者」氏やフリージャーナリストが、演技をして登場している。

他の番組でもこれらの人が登場していないという保証はない。

私はこのフリージャーナリストや「多重債務者」氏が、N記者がからむ裏社会もの取材にはかなり関与したはずだと予測している。

あるいは、N記者の他にも、こういう取材をした人間がいなかったのか。

「~に詳しい人物」という、嘘をつきやすい曖昧な表現を許してきたNHKである。

もしも、まもなく発表される「最終報告書」で、N記者の”余罪”と言ってよい、脱法ドラッグをめぐる『クローズアップ現代』や木g¥けんドラッグを追う『NHKスペシャル』を検証の対象にしないとしたら、それは、検証作業そのものが「手抜き」だと断言していい。

そして、NHKという大きな組織がわざわざ、そんなことをする理由は1つしかない。

芋づる式に次々に「やらせ」が発覚して、検証する事態になってしまうと、籾井勝人会長の首が飛ぶからだ。

今、NHKはトップの首を守るために、わざと「手抜きの検証」をやっているのかもしれない。

それでは、

検証そのものがヤラセ

だということになるのではないか。

※Yahoo!ニュースからの転載

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