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日本はAIIBに金を出さずに人を出せ。

4月17日、衆議院安全保障委員会で、AIIB(アジア・インフラ投資銀行)に関して質問した。

既に57か国が参加を表明し、アメリカと日本だけが蚊帳の外といった状況だが、世界銀行に勤めた経験のある米国人の法律専門家が、顧問としてAIIBに迎えられたとの報道がある。

まず、この事実を政府は把握しているのかと質問した。

これに対し、財務省からは、AIIBの「暫定事務局」に米国人の法律顧問が働いていることは承知しているが、この米国人がAIIB設立後にどのような役割を担うかについては分からないとの答弁。

岸田大臣からも、同人については、アメリカ政府が要請して勤務しているものではないと確認しているとの答弁だったが、正直、危機感が薄いと言わざるを得ない。

米中両国は水面下で歩み寄りを探っているのだ。その一つのチャンネルが、この米国人法律専門家だと思う。アメリカはしたたかな戦略をとっていると思う。

日本が、融資基準やガバナンスが不明確だといくら文句をつけても、この巨大な国際金融機関は確実に誕生する。そうであるならば、彼らを国際的な金融ルールに取り込んでいかなくてはならない。おかしな融資基準を持つおかしな銀行が誕生してしまったのでは、ADB(アジア開発銀行)の既存債権にも悪影響を与えることになる。

そのためには、日本が何らかの形で「人的な関与」を行い、AIIBの融資基準やガバナンスが国際基準を満たすようなものとなるよう導くべきだ。しかし、岸田大臣にその旨提案したが、大臣から明確な答弁は得られなかった。

遠くから単に文句をつけている段階は、もう終わっていると思う。繰り返しになるが、この巨大な国際金融機関は、日本が入ろうが入るまいが設立されてしまうのである。

そして、本件の本質は、基軸通貨を巡る争いだ。つまり、中国は、巨額のインフラ投資等を通じて、中国の通貨である「人民元」で決済できる通貨圏の大幅拡大を図ろうとしているのだ。要は、中国はAIIBを通じて、ドルを基軸通貨とした戦後の国際金融秩序に挑戦し、それを変えようとしているのだ。

こうした動きに対して、ただアメリカの意向だけを忖度して、単に文句を言い募る政策では何も生み出さない。また、中国敵視外交の延長として、このAIIBの問題をとらえるべきでもない。

私も、運営に不透明さの残る現時点で金を出す必要はないと思う。しかし、戦略的かつ積極的な人的関与については速やかに始めるべきだ。

AIIB側も日本のノウハウは、のどから手が出るほど欲しいはず。

日本人の中にも、ADB、IMF、世界銀行、そしてJBIC(国際投資銀行)など、国際金融機関で勤務して経験のある優れた人材はたくさんいる。

「金は出さないが人は出す。」

これが現時点での日本にとってはベストの選択肢だと考える。

速やかな対策を政府に提案したい。

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