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米海軍再建の決意 海軍力を構成する4つの要素 - 岡崎研究所

3月16日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、メイバス米海軍長官が、数は重要であるので、米海軍の艦艇の増強を進めて行くと述べています。

 すなわち、米海軍・海兵隊の世界展開を可能にするのは艦艇の数である。米の保有する艦艇の数を単純に他国のそれと比較するのは間違いである。なぜなら、米は、世界のリーダーとして、必要とされるところに迅速に展開する任務を持っているからだ。

 対ISIS作戦の最初の54日間、米の作戦は空母ジョージ・ブッシュのF/A18ホーネットのみによって実施された。西部アフリカのエボラ熱作戦では、大統領命令が出されたその日に、V22オスプレイで海兵隊を現場に展開した。2011年の東日本大震災に際しては、トモダチ作戦を実施し、16を超える艦船、130の航空機、1万2千人の要員が340トンの物資を運んだ。第二次大戦後、米海軍は公海を守ることによって、世界の海上貿易の90%と海底ケーブルによるデータ通信の95%を可能にした。

 しかし、米海軍の世界におけるプレゼンスを維持していくためには、艦船建造の投資を継続して行く必要がある。そのために、オバマ大統領は2016年国防予算で1610億ドルを要求している。厳しい財政事情のため、海軍は経費削減に努めるが、米国のプレゼンスを犠牲にするわけにはいかない。艦船の削減は米の安全保障と世界経済を危険にさらす。

 自分の海軍長官就任の2009年までは、米海軍の艦船量は減少していた。2001年の同時多発テロの時点で、米海軍は316の艦船を保有していたが、2009年には278隻まで減少した。長官就任前の5年間に発注された艦船はたったの27隻だった。自分の長官就任後の5年間には、70隻の建造を契約し、米国は2020年までに海軍艦船を300隻超まで増強する計画である。

 前方展開を強化するため、米国は、同盟国だけでなく、世界中の有志国とパートナーシップを推進している。パートナーシップは、米国の世界におけるプレゼンスを維持するとともに、相手国も国際安全保障の責任の一端を担うという意味で相乗効果を発揮する、と述べています。

出典:Ray Mabus‘Firmly Committed to Growing the U.S. Fleet’(Wall Street Journal, March 16, 2015)
http://www.wsj.com/articles/ray-mabus-firmly-committed-to-growing-the-u-s-fleet-1426548142

* * *

 米国の関係文書によると、海軍力は、(1)人員、(2)艦船数、(3)動力(燃料・エネルギー)、(4)パートナーシップの4要素から成るとされています。上記論説を読むと、米国が海軍艦船の増強を図っていることが良く分かります。2月にオバマ大統領が議会に提出した国防予算は、前年比8%の増加で、総額5853億ドルに上ります。増額要求は2年振りとなっています。米海軍予算には、原子力潜水艦建造や横須賀配備の空母ジョージ・ワシントンの改修等も含まれています。今後、米議会での予算協議が焦点になります。

 米国の海軍力強化は、2020年までに海軍力の60%を太平洋に振り向けるとの既存の方針と相俟って、地域の安全保障の観点から、歓迎すべきことです。

 メイバスが、米国は世界のリーダーとして特別の役割があるので、米国の海軍力と他国の海軍力を単純に比較するのは間違っていると述べ、単純比較の議論をする一部政治家や専門家に反論していることも、興味深いです。

 なお、メイバスは、1988-92年ミシシッピー州知事、1994-96年駐サウジアラビア大使を歴任し、2009年から海軍長官に就いています。2008年の米大統領選挙では、オバマを支援しました。

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