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ニートは議員にも支援者にもなれる~「当事者2.0」

■ニートの出馬

今回の統一地方選で印象的だったのは、25才のニートの若者が立候補し、それなりの得票数を集めたことだった(【千葉市】中卒のニートが、選挙に出馬したらこうなった!)。その方、上野さんが添付したTwitter記事では、実に素朴にいくつかの点を語っており、その視点(選挙カーやポスター費用のムダや出馬に必要な供託金の高さ等)は市民から共感をえるものがいくつか含まれている。僕もたいへん共感した。

どうやら今回の得票数(1399票)は、出馬した供託金(千葉市は政令市なので50万円とのこと)を返却しなくてもいい得票数っぽい。

その供託金を誰が事前に支払ったか(本人の貯金かもしれないが)Twitterを速読するだけではイマイチ不明なのだが、50万円が無事上野さんに返却されるとして、今回彼が使った選挙資金は8000円だったそうだ。

ネットのニュースでもこの出馬は大きくとりあげられており、それに言及した僕のFacebookでもそこそこの「いいね!」数を集めたことから、注目される出馬だったことは確かなようだ。

僕もこのTwitter連投を読んで初めて、この上野さんという人が出馬した意義について真面目に考え始めた。意外と今回の「ニート自身による出馬」は、現在の若者問題を考えるときに重要な起点になるかもしれないと思うのだ。


■当事者2.0

というのも、ニートやひきこもりの若者の中核年齢層が団塊ジュニア年齢の35才程度に押し上げられた今、問題の質としては相変わらず社会参加できないことに苦しむ思いを抱えている若者は多いのだろうが、少し前とは様相が変わってきたと僕は思っているからだ。

それは、「当事者2.0」という「うねり」なのではないかとして、当欄でも度々言及してきた(ひきこもり問題は「当事者2.0」の時代に)。

ひきこもりという一般名に隠されるようにして、そこには潜在的問題(LGBT、性被害者の女性のPTSD、未認定難病患者等)を抱えた人たちが多く含まれており、それら潜在的当事者が自ら語る(あるいは誰かが代弁する)ときがついにやってきたのでは、ということを同記事では考えた。

つまり、これまでは「被支援対象」として支援者の影に隠れていた人々が、ひきこもりという一般名の鎧から抜け出るように、あるいは、一方的角度からでしか自分たちを定義しない支援者という名の専門的「権力者」によるラベリングの暴力から逃れるように、当事者自らが語り始めたということだ。

その流れのひとつとして、今回の「ニートによる立候補」を位置づけてみると、僕は非常にスッキリする。


■支援者は権力

ひきこもりやニートの元当事者(「経験者」と僕は呼んでいる)は、あるいは貧困問題からくる虐待やPTSDをくぐり抜けてきた「サバイバー」たちは、実は「支援者」になることもできるのでは、とこの頃の僕は思っている。

それは特に、「サードプレイス」的支援、言い換えると「居場所」の中での当事者目線も含んだ複数間コミュニケーションによって支援する空間で力を発揮すると思っている。

ひきこもりやニートの「経験者」、あるいは貧困問題の「サバイバー」たちは、一定の年齢を迎えると、彼ら彼女らの問題は抱えつつも、最近大量生産される権力的な若手臨床心理士などあざ笑うかのごとく、強力な「元当事者」パワーで「当事者」を癒やし包み見守り受けとめ、時にはアドバイスしつつも基本共感ベースで接することができ、つまりはそれら全体で「支援する」ことができるのでは、とこの頃僕は思い始めた。

もちろん、そうした経験者やサバイバーたちがバシッとハマるようなシチュエーションを設定する使命が、彼女ら彼らを雇用する側にはある。そうしたシチュエーションさえハマれば、最近の僕は、ものすごい支援パワーを彼女ら彼らは秘めているのでは、と確信しはじた。

このように、今回は落選したものの議員として当事者たちを「代表・代弁」することも、雇用する側が働く環境を整える必要はあるがそれがハマれば当事者たちを元当事者「代表」として支援し、支援側に当事者の思いを「代弁」して伝えることもできる。

支援者とは、フーコーの議論をわざわざ参照しなくとも、基本的に「権力者」であると、最近はバレ始めたと僕は思っている。支援者はとにかくエラソーな人々なのだ(自戒をこめて)。

元当事者がそれなりの癒しのパワーを持ち始めたのだとしたら、あるいは「代表・代弁」のパワーを持ち始めたとしたら、元当事者が前線に出てくるのが一番では、とこの頃僕は素朴に思う。★

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