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東京からの遠隔操作には限界、東北に災害復興本部を設営するべき

テレビではACのコマーシャルが減って、その内容も「きっとやれる」「頑張ろう、ニッポン」的なものに変わってきた。もちろん、未曾有の大災害にあたって、悲観的にならないことも、違いを超えて団結することに異論はない。しかし、いまだに続く原発事故も「みんなの責任です」といった一億総懺悔的な物言いには強い違和感を感じる。

統一自治体選挙ではどの候補も「災害に強い街づくり」「防災第一で安心・安全」などの似通ったスローガンが掲げるだろうと予想される。けれども、「あらゆる災害をはねのける強さ」はたんなる願望にすぎず、むしろ「災害時に人間にやさしい街づくり」「災害後の復旧が早い国づくり」が課題となっていると思う。

大地震・大津波と災害発生後、3週間が経過した。今回の被災が規模と打撃において過去にないものであることは十分に判る。だが、あいかわらず東京の官邸と霞が関で被災地支援の遠隔操作をしていることに、私は歯がゆいものを感じる。早い時期に東北の交通の要所である仙台に「災害対策現地本部」を設置し、緊急の予算と権能をつけて複数の関係閣僚を張りつかせて、陣頭指揮と省庁間の調整などをはかるべきではないか。

たしかに前代未聞の原発事故があり、東京電力と原子力安全・保安院・原子力安全委員会という「原子力ムラ」の伏魔殿が機能不全に陥っていることに官邸の対応が危機感を強め、海江田大臣と細野・馬淵両補佐官が東京電力に「出社」して目を光らせるという総力戦になったのはやむをえないと思う。けれども、防災大臣・国土交通大臣を軸として「災害対策本部」を現地で形成し、食糧・燃料などの供給路を確保し、「体育館避難」の状況を一日でも早く終わらせる必要がある。

体育館には屋根があり、壁があり、床がある。けれども、ダンボールと毛布数枚ですでに3週間を過ごしている被災者の負担は大きい。

仮設住宅の前に「仮住まい」を供給することが大切だし、最低限のプライバシーを保つ環境にシフトしていくのも重要だろう思う。すでに都道府県が公営住宅を中心に入居可能戸数を15000戸確保したと先週聞いたが、まだ1割程度しか入居していないのだという。

とくに深刻なのは、原発避難者たちだ。長期化している事故がどのような推移をたどるのか。今後明らかになる汚染値によっては相当長期にわたって故郷に戻ることが出来ない事態が想定される。となれば、中長期的な「仕事と暮らし」の場となる居住環境を整え、「街ごとの移住」という事業を支援していかなくてはならなくなる。

私は、ほとんどが「原発避難者」が移動してきた山形県米沢市の避難所で意見交換してきたが、「新しい街」をつくるぐらいの気概を込めた取組みが必要となる。米沢市には、企業誘致を試みたがそのままになっている工業団地など電気・ガス・水道のインフラが整った場があるという。

「国民の生活が一番」であれば、巨額の復興費を従来型の公共事業利権にしてはならない。「復興予算でどんな津波にも負けない原発を開発」などという話になれば、人々の生活再建は後回しになる。

「大連立」に向けた風が吹き出している。地震・津波は天災だが、原発事故は明らかな人災だ。その人災を生み出した人たちが原発依存をさらに強めるような方向に歩むことだけはやめるように働きかけていきたい。

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