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武蔵野市の税収増の理由とこれからの持続可能性を考えれば…

武蔵野市の平成27年度予算は、市民税が増えると見込んでいる。税収増の理由はなにか。理由から考えられる施策は何だろうか?

■税収増の中身

 市民税には会社などが払う法人市民税と市民が払う個人市民税がある。そのうち、予算審議のなかで確認できたのは、個人市民税を払う人=人口が増えると推計したことが増収と見込んでいる理由だった。

 26年9月に平成26~57年にかけての市の将来人口推計を行っているが、この結果から人口の伸び率で0.35%が増えると推計。なかでも武蔵野市の場合、人口の約75%が給与所得者であり、この人口が前年比で約3%が増えると推計したことから対前年比2.8%増、4億3540万円が増えると見込んだことが理由だった。

 人口が増えた理由として考えられるは、中町、吉祥寺東町、桜堤での大型集合住宅ができたことが大きいのだろう。これらの大型集合住宅で1413戸が新たに増えているからだ。

 景気に影響されやすいのは法人市民税と事業所税(※)だが、法人市民税で前年比5.6%の増、1億6120万円が増え、事業所税で5.9%増、3450万円が増えると見込んでいる。平成27年度から税制が改正され、武蔵野市など地方交付税の不交付団体は、法人住民税が一部国税化され少なくなるが、それでも増ということは、多少なりとも景気がいいと判断していることになる。
 とはいえ、景気回復の実感はない。いったい、どのくらいの人が景気の恩恵をうけているのだろうか。

■増えた人口の世代は?

 さて、ここでポイントとなるのは景気動向ではなく、人口増となった人たちの年齢と年代だ。将来人口推計では、図のような構造になっているとしている。
リンク先を見る

 図を見れば、すぐ分かることだが、子育て世代とその子ども、特に0~4才の人口が増えていることがわかる。保育園が足りなくなることが分かる推計であり、同時に子育て世代への政策が必要と考えるべきだろう。

 この図からさらに考えるべきは、転入してきた市民が転出していかないようにすることだ。法人市民税は景気に左右されるが、個人市民税はそう大きくは左右されない。持続可能な武蔵野市にしていくには、個人市民税をどうやって減らないようにするか、できれば増える政策が重要になる。
 
 現状では今後、大型の開発は市内で予定されていない。となると、このように大幅に人口が増えることは現状ではないことになる。現状維持できるかがポイントになる。

■持ち家率が低い

画像を見る 画像を見る  武蔵野市の住宅施策の基本計画に住宅マスタープランがある。平成23年度から平成32年度までの10年間を計画期間とする第三次住宅マスタープランには、住宅・住環境の現状と課題との章立てがあり、ここには、持ち家率が低くファミリー世帯の割合が低いことを特徴としている。

 つまり、賃貸の人が多いことは転出することも多いということ。しかも、子育て世代が少ないことも示している。第三次住宅マスタープランのデータは少々古く、昨今の大型集合住宅のデータは反映されていないようだが、傾向は今でも同じだろう。
 
 住宅マスタープランには、今後の施策展開方針として「ファミリー世帯の居住安定への支援」があった。
 その具体策はいまひとつ見えていないが、転入してきた人が転出しないようにすること。そのために重要なのが子ども施策であり、住み続けたいと思えるようにする具体策のひとつだと私は考えている。

■30年先を考える

リンク先を見る こちらの図は、人口推計にある将来の人口構成図だ。高齢化が進み、今から30年後には生産年齢人口(15~64歳)2人に対して老年人口(65歳以上)1人という武蔵野市になることが推計されている。

 生産年齢人口は、基本的に市民税を払う人口と考えれば、今のような予算が組めなくなるのは目に見えている。さらに、人口推計は、転出率(純移動率)は増えないと仮定している。子ども施策に幻滅して子育て世代が転出してしまうと高齢化率はさらに増えてしまうことになる。

 いつまでも高齢者が元気に暮らしていく施策は重要だ。同時に子育て世代と子どもが増えることも考えないと持続可能な武蔵野市にはならない。30年先を今から考えることが重要だ。以前にも書いているが「武蔵野市民意識調査の速報版」によれば、子育てや子どもの教育の環境が整っていないことを理由にしている人が増えていることをより考えなくてはならないのだ。子ども施策が重要だと税収構造から考えても重要度が分かってくる。

 施設を増やす、サービスを拡充するだけではなく、その政策・施策が何のためなのか目的を明確にすること。そのために効果的なのかを考えておかないと市政は迷走してしまう。市議会議員の任期は4年。4年だけのことを考えているわけにはいかないのだ。もちろん、選挙に通ることだけではもっとダメなのは言うまでもない。将来を見据えることの重要性を単年度の税収構造から考えてみた。


※法人への税は都道府県税の地方法人事業税と、都道府県と市町村が折半する法人住民税(法人2税)がある。法人事業税は利益に課税するため赤字だと課税されないが、法人住民税は法人税の一定割合と資本金や従業員数に勘案して課税する「均等割」があり「均等割」分は赤字でも課税される。

【参考】
武蔵野市の将来人口推計
27年度予算概要

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