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「ハンセン病と熊本県本妙寺」―加藤清正の墓所―

2月18日、産まれてくる命を守るために活躍されている『赤ちゃんポスト』創設者の慈恵病院・蓮田太二理事長の教えを乞うため、日帰りで熊本を訪れた。その後、わずかの時間を割いて本妙寺を訪ねた。

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本妙寺池廟中門

日蓮宗の本妙寺は、ハンセン病に興味のある方には著名な寺である。加藤清正の墓所もあり、ライ予防法が制定されるまでは、多くの参拝者が集まる参道にハンセン病患者が並んで喜捨を求めていたという。加藤清正はハンセン病だったという説もあり、清正の墓に参り、病気を治してもらいたいという信仰もあったようである。

日本におけるハンセン病対策は外国人宣教師によって始められたといっても良い。最古のハンセン病病院は、1883年に来日したテストウィード神父により1889年設立された静岡県御殿場市にある神山復生病院(こうやまふくせい)病院である。建設から125年にもなる建物は、ハンセン病施設としては現存する日本最古のもので、国の有形文化財に指定されている。

私は世界各地のハンセン病施設を訪ねているが、神山復生病院のように宣教師や患者のお世話をしてくださった病院関係者が、亡くなった元患者の皆さんと同じ墓地に埋葬されている場所はこの地以外記憶になく、深く感動したことを思い出す。確か、天皇皇后両陛下も一昨年にご訪問されている。

しかし、テストウィード神父より1895年、熊本に回春病院というハンセン病施設を作ったハンナ・リデル女史の方が有名である。彼女は本妙寺の参道に並んで参拝者に喜捨を求める多くのハンセン病患者に心を痛め、医師でもないのに救済に立ちあがった。

彼女は有名人を説得する術を心得ていた。極端な貴族趣味の彼女は、軽井沢で優雅な休日を楽しみながらも積極的に政治家、実業家、裕福な人々に寄付を求め、皇族すら彼女の仕事を認めて寄付を行っている。大隈重信や渋沢栄一、特に渋沢栄一は、経済的危機に陥ったリデルを助けるために当時の金で1万5600円という大金を寄付するだけでなく、有識者の会議を開催して日本のハンセン病問題が討議され、公的なハンセン病対策が開始された。

リデルは宣教師であったせいか、回春病院内では療養者に徹底的な禁欲を強制し、男女が言葉を交わすことも禁じた。極端な話では、オス・メスのカナリアのつがいを同じ籠で飼うことさえ禁止したという。

このようにリデルは素晴らしい才能の持つ主ではあったが、手柄を独り占めする傾向があったと、彼女のもとで働く人の評判はよろしくなかったようである。しかし、日本におけるハンセン病対策の先駆けを作ったことはおいに評価されるべきであろう。

私が訪れた時は平日でもあり、本妙寺の参道は静かで人影もなく、両側には住宅が立ち並び、昔日の面影はなかった。

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本妙寺参道をバックに

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