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米国のサプリメントにアンフェタミン類似薬物、メーカー各社は自主回収

米国では、痩身や脂肪燃焼効果をうたう人気のサプリメント中に、アンフェタミンの構造類似体(アナログ)が含まれていることが指摘され、大手流通各社が商品の自主回収を始めたと、ニュースが報じています(下記参照①)。

問題になっているのはアンフェタミンそっくりのBMPEAという物質で、10種を超える製品中にこの成分が検出されたといいます。これら製品はいずれも「アカシア・リギデュラ(アカシア属植物)の抽出物」を含むと表示していますが、問題のBMPEAは植物に含有される成分ではなく、化学合成によって生み出される薬物です。
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↑(左)アンフェタミン      (右)BMPEA 
下記参照②の研究報告書より転載


この研究報告書は、今月7日に発行された化学分析学会の専門誌に掲載されたもので、ボストン・メディカルスクールの研究者チームが、「アカシア・リギデュラ含有」と表示している市販のサプリメント21製品を分析したところ、半数を超える11製品からBMPEAが検出され、含有量の最も多いものでは、1日摂取量中に93.7ミリグラムのBMPEAが含まれていたと報告しています。

報告書は、近年、サプリメント中にアンフェタミンやメタンフェタミンの類似体が検出されるケースが相次いでいると警鐘を鳴らしています。

「これら興奮性薬物の確認されている唯一の起源は化学合成によるものであるにもかかわらず、しばしば、これらは植物性の抽出物として販売されている。たとえば、メタンフェタミンの構造類似体であるN,α-ジエチルフェニルエチルアミン(N,α-diethylphenylethylamine;DEPEA)が、デンドロビウム蘭の抽出物と表示されていた例や、1-3ジメチルブチルアミン(1,3-dimethylbutylamine;DMBA)がウーロン茶の一種であるかのように販売されていた例もある。最近、サプリメント市場で、植物性の抽出物を装って販売されている興奮系薬物が、ベータメチルフェニルエチルアミン(β-methylphenylethylamine;BMPEA)である(報告書Introductionより)。」(下記参照②)

そういえば、最近EUが発表した「ヨーロッパにおける新精神作用物質New psychoactive substances in Europe」には、拡大する新精神作用物質(NPS)の次なるターゲットのひとつとして、健康食品マーケットが挙げられていたことを思い出しました。身体や精神力を強化したいという消費者ニーズに対応して、様々なNPSが機能性食品や健康食品に配合されて出回る可能性が示唆されていました(下記参照③、6-7ページ)。

この指摘がまさに現実となったわけです。植物抽出エキスなどと表示された成分に隠れて、実は違法な薬物そっくりの成分が配合されている例が、すでに出現しているようです。これまで危険ドラッグ市場に出回ってきた薬物の数々や、まだ市場に出現していない多数の類似薬物が、もしも健康食品の成分に隠れて使われるとすると、もたらされる健康被害はケタ違いに大きなものになるかもしれません。

しかも、これまで危険ドラッグの世界で私たちがみてきたように、その成分を特定し、危険性を評価するには、高度な分析能力が必要で、簡単な分析ではこうした成分が見つからないことも考えられます。

植物抽出エキス、自然の成分などといううたい文句のうらに、危険な薬物成分が隠れていないか、私たちに身近なサプリメントや健康食品の数々、しっかり成分確認がされているのでしょうか。日本で、こんな問題が起きないことを祈ります。


【参照】
①サプリメント製品の回収を報じるニュース
CBSニュース(April 10, 2015, 5:24 PM)
Major retailer pulls amphetamine-type diet supplement
http://www.cbsnews.com/news/amphetamine-type-supplement-pulled-off-shelves/

②サプリメント中のBMPEAに関する研究報告書
PieterA.Cohen,et al., Anamphetamine isomer whose efficacy and safety in humans has never been studied, β-methylphenylethylamine(BMPEA), is found in multiple dietary supplements, Drug Testing and Analysis, 7 APR 2015
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dta.1793/abstract

③EUのNPS報告書
New psychoactive substances in Europe―An update from the EU Early Warning System (March 2015)
http://www.emcdda.europa.eu/publications/2015/new-psychoactive-substances

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