- 2015年04月10日 17:23
mery中川氏「CGM比率20%以上はありま〜す!」 #bdc
第6回B Dash Campのレポートはこの4本目で最後とする。キュレーションメディア買収祭りを繰り広げるDeNAの買収話だ。
本誌ではキュレーションメディア周りの情報を比較的扱っている。本セッションの内容は軽く前半で扱い、後半ではキュレーションメディアの踏み込んだ話や、最後にはDeNAにおすすめなキュレーションメディアと買収可能性および予測買収価格を付記した。
◆セッション
DeNAが仕掛けるゲーム・メディアの次のビジネス
◆パネラー(敬称略)
守安 功 株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO
村田マリ iemo株式会社
代表取締役CEO 中川綾太郎 株式会社ペロリ 代表取締役
◆モデレータ
柴田 陽 株式会社スポットライト 代表取締役
前回のB Dash Campで村田マリ氏「買ってください!」
なぜmeryとiemoはDeNAによる買収提案を受け容れたのか。
情熱ではないでしょうか(守安氏)
実は両社の買収に関してはGREEなどとの激しいデッドーヒートがあったと耳にしている。この記事が買収戦線に響いたかは定かではないが、結果的に両社はDeNAの買収提案を受け容れた。
◆記事:スタートアップのみんな!GREEには事業売却しないほうがいいぜ
実は買収きっかけは前回のB Dash Campだったという。村田マリ氏が守安氏に「iemo凄い伸びてますよ!買ってください!」と熱烈アプローチ。そこから守安氏がiemoの伸びと横展開の可能性があると思って「ファッションは?」といったら村田マリ氏が「meryには勝てない!」ということでmeryの中川氏を口説いてジョインが決まったという。
買収で「人材的なシナジーがあるから」という話はされ尽くしているので、ここでは省略する。
mery中川氏:CGM比率は20%以上ありますよ〜
キュレーションメディアの本丸は「CGM化」にあると筆者は考えている。キュレーションメディアを単なるまとめサイトではなく、CGMをマルチプルに置くともっと企業価値は高く評価される可能性もあり得るという説を本誌では提唱した。
そこでセッションとは別で個別にmery中川綾太郎氏に伺った。
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「え?CGM比率すか?10%よりはありますよ。ん?20%?20%以上はありますよ〜」
スタートアップ業界では「髪はいつ切るんだろうか」とよく言われている中川氏だが、CGM比率が20%を越えていることと、今後はコンテンツのリッチ化を加速させたいとコメントしてくれた。
iemo代表取締役鈴木裕斗氏にも話を伺ったところ「CGM比率は10%以上はある」というコメントもあった。他のキュレーションメディアはわからないが、キュレーションメディアといえばクラウドソーシングで粗悪乱造したり、学生を雇って1,000円で書かせているイメージを持つ人も少なくないだろう。
だが、中川氏のコメントのようにキュレーションメディアもCGMやゼロではないであろう従来の内製ないしはクラウドソーシング、そしてリッチ化とコンテンツポートフォリオの拡充を図っていく。
キュレーションメディアの記事の品質に以前は疑問を持たれていたが、オールドメディアといえる東京カレンダーWEBを運営している観点で見ても、普通にクオリティで負けてるとこちらが思う記事も全然あり、もはやキュレーションメディアだからといって記事のクオリティが悪いというロジックは通用しない。そういっている人がいれば、それは実際の記事を見ずにイメージで語っているのであろう。
キュレーションメディアがどこまで伸びるかはコンテンツのCGM率がどれだけ上がるかという点に大きく左右されると筆者は考えている。一定以上の質のコンテンツ量が増えればかなり強いのではないか。それこそ、既存の雑誌が全てディスラプトされうるだろう。
Find Travelの推定買収価格は6-9億円に上方修正
2015年4月6日に発表したばかりのキュレーションメディアFind Travelの買収価格だが、B Dash Campで複数筋からヒアリングしたところ、当初本誌では3-5億円と推測していたが、 6-9億円に上方修正をする。
■買収時各サービスMAU
mery:1,200万 35億円
iemo:150万 15億円
Find Travel:300万 6〜9億円
買収ロジックを下記に推定する。
純粋なMAUベースで見るとmeryの買収時は100万MAUあれば約3億円となる。iemoの場合は100万MAUで10億円となる。ただし、iemoの場合は村田マリ氏のタレントバイによるプレミアム価格が乗っていると思われる。単純なMAUをマルチプルとすると、Find Travelは買収時のMAUが300万と言われており、単純計算では9億円の可能性もある。
各サービスのアップサイドや将来性の評価も織り込んでもちろんバリュエーションするであろうが、いずれも将来の伸び白もさほど変わらない気がする。単純なマルチプルでいえばFind Travelは9億円での買収。ただし、シードアーリステージで外部株主がほぼいないという話もあり、もう少し安くて6億円程度までの下限を見込む。
DeNAの買収におすすめなキュレーションメディア3選
今後キュレションプラットフォーム「パレット」で買収を含めて10サービスのキュレーションメディアを展開するというDeNA。mery(女性ファッション)、iemo(インテリア)、CAFY(内食)の3サービスにつぎ、先日買収したFind Travel(旅行)、JOOOY(男性ファッション)、cuta(妊娠子育て)の6つがあり、残りは4枠ある。おそらくは分野でポートフォリオを組むのではないか。
◆記事:次の買収はここだ!キュレーション・バイラルメディア5選
本誌ではこういう記事を出しているが、ここから既にFind Travelが買収された。この記事では紹介していない企業もあるが、DeNAによる各キュレーションメディアの買収予測を発表したいと思う。
■①:ロカリ(女性ファッション:meryとバッティング)
買収可能性:20%
買収価格:15億円
ロジック:逆にGREE買収の方があり得る■②:ママリ(子育て:cutaとバッティング)
買収可能性:30%
買収価格:18億円
ロジック:cutaの立ち上がりがイマイチだった場合にあり得る。直近の時価総額が9億円であり、売却するなら2倍程度か■③:キナリノ(雑貨・インテリア:iemoとバッティング)
買収可能性:20%
買収価格:20億円
ロジック:カカクコム運営のためスタートアップではなく買収可能性は低いが、iemoとは少しテイストが違う雑貨寄りのインテリアであり、ポートフォリオ的にはDeNAは欲しいはず。■④:ReTrip(旅行:Find Travelとバッティング)
買収可能性:20%
買収価格:5-8億円
ロジック:トリッピースの一事業。トリッピースごとではなく、ReTrip事業の事業売却はあり得るのではないか。代表の石田言行氏は「あやたんと同じはつまらない」と思っているかもしれない
バイラルメディアではCuRAZYには既に出資している。バイラルメディアは社会的にかなり強い逆風があったため、下手に手を出さないだろう。残り4つのサービスを全ては内製しないと思うので、パレット事業担当の村田マリ氏が自らM&Aを仕掛けていき、あと1,2社の買収はあるだろうと本誌では予測している。