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主張/翁長知事の決意/「政治の堕落」はもう許されぬ

 沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題をめぐり、翁長雄志知事が菅義偉官房長官との会談(5日)で行った発言が全国に感動と勇気を広げています。沖縄戦での凄惨な地上戦と米軍政下で自治や人権が乱暴に蹂躙(じゅうりん)された歴史的体験を持つ沖縄県民の「新基地ノー」の思いは、安倍晋三政権の強権的手法を決して許さないし、「新基地は絶対に建設できない」(翁長知事)ことを鮮明にしました。

「新基地建設は不可能」

 菅長官はこれまで記者会見などで、辺野古の新基地建設を「粛々」と進めると繰り返してきました。これに対し翁長知事は会談で「問答無用という姿勢が大変感じられる」と強く批判しました。加えて、そうした安倍政権の強硬な姿勢は、米軍政下の沖縄に君臨し強権を振るったキャラウェイ高等弁務官が「(沖縄住民の)自治とは神話であり、存在しない」(1963年の演説)と語っていた姿と「重なり合う感じがする」と指弾したのです。

 さらに翁長知事は「上から目線で『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心が離れて、怒りは増幅していく」と強調しました。こうした「県民のパワー」は祖先に対する思いや将来の子や孫に対する思いなどと重なって「一人ひとりの生きざま」になっており、「(新基地を)絶対に建設することは不可能」だと断言しました。

 菅長官は会談を受け、「粛々」という言葉が「不快な思いを与えたということであれば使うべきではない」と語り、今後は使用しない考えを示しました(6日の記者会見)。中谷元・防衛相も翌7日の記者会見で、「粛々」という表現を避けて「(辺野古移設に向けて)予定通り、『堅実』に工事を進めていきたい」と語りました。しかし、「粛々」を「堅実」に代えようが、沖縄の民意に耳を傾けず新基地建設にあくまで突き進む姿勢を改めなければ本質は何も変わりません。

 翁長知事は会談で、戦後70年間、「今日まで沖縄が自ら基地を提供したことはない」と強調しました。沖縄の米軍基地は、沖縄戦で県民を収容所に囲い込んでいる間に土地を奪って建設したり、米軍政下で「銃剣とブルドーザー」によって住民を追い出して建設したりしたものであり、「県民の思いとはまったく別に全て強制接収させられた」ものです。

 翁長知事が述べたように、県民の土地を奪って造った普天間基地が今や世界一危険になったから、その危険性を除去するために沖縄が新たな基地を負担しろというのは「政治の堕落」そのものです。

県民の怒りは増幅する

 翁長・菅両氏の会談を受け米国は「(普天間)代替施設の建設は米国と日本との間で長年にわたり取り組んできた意義ある成果」であり、沖縄での米軍再編の「重要なステップ」(ハーフ国務省報道官代行、6日の記者会見)だとし、新基地建設を計画通り進めるべきだとの考えを示しました。

 中谷防衛相は8日、カーター米国防長官との初の防衛首脳会談に臨みます。会談で新基地建設の推進を約束することは、文字通り「政治の堕落」に他なりません。そうなれば、ますます「県民の心が離れて、怒りは増幅していく」ことは避けられないことを安倍政権は銘記すべきです。

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