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消える残業代1000万円 残業代ゼロ法案から本紙試算/企業の人件費削減に絶大効果

 安倍晋三政権が「残業代ゼロ」で無制限の長時間労働を促進する労働基準法改悪案を今国会に提出しました。1日8時間・週40時間の労働時間規制が適用されない「高度プロフェッショナル制度」を創設するものです。この制度でどれだけの残業代が消えることになるのか。政府が検討している導入要件をもとに計算してみると、年収1075万円の労働者の場合、年間1000万円を超えることが分かりました。

 制度の対象者は、管理職ではない「高度の専門職」(業務は省令で定める)で、年収が一般労働者の平均年収の3倍以上(省令で1075万円以上と定める)が要件です。年間休日は104日(週休2日)です。

 年収1075万円で、休日分104日を引いた年間261日働いたとすると、1時間当たりの賃金額(時給)は5148円です。

 安倍首相は日本共産党の志位和夫委員長の質問に、制度導入の理由について「海外とのやりとりを含めて夜遅くなることが続く」(2月20日、衆院予算委員会)とのべました。これをキーワードに労働時間を毎日午前9時から夜11時までと設定すると、残業代は1日3万8610円となり、年間で1007万7210円。年収額とほぼ同額です。企業にとって賃金コスト削減に絶大な効果があることがわかります。

 年収が1075万円以下の労働者の場合を計算してみると、年収700万円の労働者の残業代は652万円で、合計1352万円です。年収600万円では残業代が506万円になり、合計1106万円になります。いずれも1075万円を上回ります。

 計算上からは、年収が700万円、600万円台なら1075万円に年収を引き上げて「高度プロフェッショナル」にして、残業代を出さずに長時間労働させたほうが得という判断が成り立ちます。

 国税庁の民間給与実態調査によると、年収600万円以上の労働者は18・1%です。政府は、年収1000万円以上は3・9%で対象はごく一部といいますが、いったん導入されたら年収要件が下げられる危険性とあわせて、労働者全体にかかわる一大事です。

 経団連の榊原定征会長は6日の記者会見で、「年収要件の緩和や職種を広げる形にしないといけない」とのべ、対象拡大を求めました。 (昆弘見)

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