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イスラエルの首相に逮捕状が出る日

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「お尋ね者」になったイスラエルのネタニヤフ首相。写真はCG合成。

 「どうせ米国がバックにいるからイスラエルを裁くことなんかできっこないよ」などと あきらめる 必要はなくなった。

 この4月1日をもってパレスチナのICC(国際刑事裁判所)加盟が発効したからだ。

 ICCは、戦争犯罪など国家による犯罪を裁く常設の裁判所だ。2002年に設立された。米国とイスラエルは加盟していない。

 だがパレスチナが加盟したことで、4月1日からICCの検察官がガザの虐殺などを捜査することが可能になった。

 十分な嫌疑があればICCの検察官はICCの法廷(オランダ・ハーグ)に起訴できる。ICCは嫌疑のかかった人物に対して逮捕状を発行する。

 犯罪事実は昨年6月まで遡(さかのぼ)ることができるため、7~8月に起きたガザ攻撃についてもイスラエルの刑事責任を問える。

 虐殺は人道に対する罪、家屋破壊はジュネーブ第4条約(※)第53条に違反、ガザ封鎖は第4条約第33条で禁止される集団懲罰に該当する。

 イスラエルのガザ侵攻は戦争犯罪のオンパレードだ。嫌疑は山のごとくある。

 ICCの検察官が捜査に入れば、ガザ侵攻の命令を下したイスラエルのネタニヤフ首相を起訴することも可能だ。起訴すれば逮捕状が出る。

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イスラエル軍の空爆で殺された子供の遺体をモスクに運ぶ。=2014年7月、ガザ市内 写真:筆者= 

 パレスチナ人を虫けらのように殺す。畑や港も破壊し生産手段も奪う・・・悪逆非道のかぎりを尽くすイスラエルに対して国際社会は無力だった。

 2009年のイスラエル侵攻で虐殺があり、国連人権理事会がエジプト側からガザに入り調査を進めた。

 調査団のゴールドストーン団長は国連人権委員会で「戦争犯罪があった」と報告したが、イスラエルへのお咎めはなかった。

 しかし局面は180度変わった。この4月1日からICCの検察官がネタニヤフ首相を起訴し、ICCがネタニヤフ首相への逮捕状を出すことができるようになったのである。(逮捕状の執行は別として)

 日本はICC加盟国だ。もし逮捕状が出ているネタニヤフ首相が来日した場合、条約上は同首相の身柄をハーグに引き渡さなければならない。(あくまでも条約上だが)

 ガザ取材の経験豊かなジャーナリストの志葉玲氏は「すぐにネタニヤフ首相を逮捕できなくてもイスラエルのガザ攻撃がやりにくくなるだけでも効果がある」と話す。

 イスラエルと米国が嫌がっているからだろうか。パレスチナのICC加盟が1日から発効したことを、日本のマスコミはベタ記事程度にしか扱っていない。
 
  ◇
※ジュネーブ第4条約:
戦時における文民の保護に関する条約

  ◇
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