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フリーランスを辞めました 組織に所属する喜びをバカにするな

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今日でフリーランスをやめる。

3年前の今日、私は会社を辞めた。

こんなエントリーを書いたっけ。

サラリーマン生活終了 社畜から家畜へ
http://www.yo-hey.com/archives/53789524.html

それからの3年間をざっくり言うと、一橋大学大学院社会学研究科修士課程に進学。2年で卒業。その後、1年間は完全にフリー。評論家、大学の非常勤講師、フリーのコンサルタントなどをして、執筆・講演・コンサルティングをして何とか食べてきた。いや、結構、稼いだ方だとは思うが。何しろ、がむしゃらに働いた。

はっきり言おう。辛く、かっこわるい、みっともない日々だった。楽しいかどうかでいうと、楽しかったが。なんとか3年間、生きることができたことに感謝したい。

明日から、千葉商科大学国際教養学部専任講師になる。

今日は研究室への引っ越しだった。先日は、まだ表札がなかった研究室に、私の名前が。

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自宅から、自分の研究と、学生のキャリア教育、学務に関係のある本を運びこんだ。書棚に本を並べる過程で、自分が勉強していないことを猛反省した。いや、心身ともに疲れ果て、この1年間は研究活動はほぼお休みだった。大学院での2年間も、ちゃんと勉強できたかというと、そうでもない。この引っ越しを通じて「もっと勉強しなくては」と思った次第だ。

というわけで、明日から組織に所属する日々が始まる。

嬉しい。実に嬉しい。

なんというか、根無し草のような生活が「痛い」と思っていたのだ。ちゃんと、居場所を作って働かなくてはと思っていたのだ。

私は、同世代のフリーランスの中では上の下くらいのレベルで稼いでいる人だと思う。その私が、「組織を離れて働くことって大変なんだぞ」「組織に属することは、悪いことじゃないのだぞ」と強く訴えることで、安易に会社を辞める人、自由な生き方なるものを模索する人に警鐘を鳴らすことにしたい。

例によって、会社辞めた自慢が流行っているが、痛いと思う。

例の日立問題(日立を辞めた人と、辞めたけど土下座してでも戻りたい人の話)などがネット上では流行っていたようだが・・・。これは、個人のキャリアとして語るのか、その企業の問題として語るのか、社会の問題として語るのか、意味が変わってくるが・・・。個人の問題として言うならば、合う、合わないというものがあるし、それぞれのキャリアプラン、その前にぶっちゃけたところの事情が合うと思うので、どれが正しい、正しくないと言うつもりはない。

ただ、私は強く言いたい。

組織に所属するからできること、組織の可能性は否定してはいけないと思うのだ。

日本では大企業を批判するのは、ウケる。会社を辞めて、何かを始める人が礼賛される。何かを始めることを私は、否定するつもりはまったくない。ただ、それは会社を辞めてでもやりたいことだったのだろうか。会社でやってきたことよりも大きなことなのだろうか?

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引っ越しを終え、買い物をして自宅についた。むしょうにビールが飲みたくなり、フリーランスの特権である、晩酌ならぬ、昼酌を始めた。昼からビールだ。SAPPOROの黒ラベルをあけた。

ちょうど、リクルートの社内報『kamome』の増刊号、創立55周年記念号が届いていた。

皮肉にも、組織を辞めるというのは、どういうことか、痛いほど感じた。

組織(特に大企業)を辞めた人間というのはなんらかのコンプレックスを抱いて生きているものだ。

一応、有名な大学を出て、大企業を2社経験したのだが、私は大企業に対するコンプレックスは、いまだにある。大企業時代の同僚の中には未だに面と向かって、あるいは影で「あいつは、たいしたことなかった」と言う人がいる。「本当にそういう奴いるのか?」とツッコむ人がいるが、本当にいるので、名前を列挙してやろうかと思ったが、大人なのでそうはしない。でも、私がその時代、活躍できていなかったのは事実なので、「大企業で成果を出せなかった人」として、そのご批判をひたすら、サンドバックのように受けるしかない。

リンク先を見るリクルートという幻想 (中公新書ラクレ) [新書]
常見 陽平
中央公論新社
2014-09-09

昨年、『リクルートという幻想』という本を書いた。おかげ様で、重版もかかり、メディアでも取り上げられ、一部の書店では売れたが、それっきりだ。私に入ったお金は、大企業のボーナスに届かないくらいだろう。元同僚たちにはこう言われた「本が売れて、印税生活だな」と。株で億単位のお金をもらった人に言われたくはない。

最初の会社の同期は、この春、常務になった。他にも社内で偉くなった人はいっぱいいる。会社を辞めた仲間にも他にもやれ自分の企業を上場させた、政治家になった、お店を開いたなど、本当、立派な人がいっぱいいる。次の会社で、自分が採用した人は、当時の私よりもずっとずっと早く出世している。

フリーランスなんて、いつも居場所がなくて、かつ、ああ会社では出世できなかったんだというコンプレックスと一生闘うわけだ。いくら本を売っても、メディアに出ても、サラリーマン時代に活躍してない人はバカにされるし、自分でも自信がないし、コンプレックスを引きずるのだ。

自分はそれが努力の原動力になったのだけど。

でも、やっと居場所を見つけた。ああ、やっと所属することができる。

新しい学部を、素晴らしい仲間と立ち上げることができるという、面白い仕事と出会うことができた。

もっとも、居場所が出来たところで、自分にはまだ学位もない。というわけで、40代は面白い学部作りと、博士号を取得するために、全身全霊を注ぐ。

もちろん、執筆・講演・メディア出演活動は続けるし、より質を高めて行きたい。

40代のうちに、残る本を書きたい、ベストセラーを書きたい、博士号をとりたい、さらには子供を授かること、そして母親の活動と生活を少しでも支援できたらいいな。その頃には「学者」「教育者」と名乗っても恥ずかしくない人になっていたい。

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博士号をとったときには、3年前の大学院の入学式の時のように、家族が押しかけるといいな。あの時も奇異だった。中年とその家族が、入学式の看板の前で、写真撮影に並んでいたのだから。

笑う人たちに、私はこういうだろう。

「そんなこと、どうでもいいじゃないか」

サラリーマンを15年やって、物書きをして、大学の先生になった人がいること。

いや、ここまでなら居なくはないけど、ちゃんとその後、学位をとって、研究・教育に没頭した人になるべく、私は明日から頑張ろうと思う。

リンク先を見る「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227) [単行本(ソフトカバー)]
常見 陽平
NHK出版
2015-01-22

フリーランス生活の最後に、この本が日経の書評コーナーで取り上げられ・・・。

リンク先を見るサラリーマンの新しい掟 下積みは、あなたを裏切らない! [単行本(ソフトカバー)]
常見 陽平
マガジンハウス
2015-03-26

自分のこういう泥臭い生き方をまとめた本を出せて、良かったと思う。

思い切りかっこ悪いことを言おう。ぜひ、この本を手にとって。いますぐポチって。ここに、人生のいち事例があるから。こういう風に身体を張って、本を書いて、頭下げて売る。これがフリーランス生活の真実、だったかな。

というわけで、最後に一言。

みんな、大人になれよ。

明日から、また生きよう。

ここまで読んでくれてありがとう。

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