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誰が「知」を独占するのか

■誰が「知」を独占するのか


福井健策さん著「誰が「知」を独占するのか」。

 インフラとしてのデジタルアーカイブの意味と、しのぎを削る欧米の戦略、そして日本の採るべき道。
 アーカイブに関しては、昨年、政府・知財本部にアーカイブ・タスクフォースを置いて議論を進めてきました。ぼくもブログで書きました。

「世界一のアーカイブ大国になりませんか?」
http://ichiyanakamura.blogspot.jp/2014/04/blog-post_17.html

その場で議論になったことも多いのですが、改めて本書に触れ、刺激となりました。ピックアップします。(→はぼくの感想。)

EUの電子博物館ユーロピアーナは3000万点をデジタル公開。サルコジ政権は1000億円予算をつけたという。日本の国立国会図書館は48万点。
  →2ケタ違いますね。

フランスの国立映像アーカイブINAは2006年に10万点を公開。年1000本ずつ増加している。NHKは2013年で4351番組公開。
  →2ケタ違いますね。

EUは12年に孤児著作物指令を発出。調査経過を記録すればデジタル化・公開が可能に。この指令と、権利情報データベースARROWとユーロピアーナアーカイブの3点セット。
  →戦略的に組み立てられています。

EUユーロピアーナの13年の検索語4位は「Japan」。しかしマンガやJ-popやファッションの情報はヒットしない。
  →関心を持たれているのに、こちらからの発信が少ない。日本の対応が急がれます。

ハーバードなどが中心になってアメリカが2013年に立ち上げた米国デジタル公共図書館は既に700万作品が登録。オンライン講座MOOCの受講生は700万人。米国立公文書館の職員は2500名。日本の公文書館は50名。
  →これも2ケタ違います。

アメリカでも流通を促進したいIT業界の思惑もあり、著作権保護期間短縮論が登場。期間を延長したら孤児著作物が激増したというのが背景。
  →いかに保護するか、から、いかに利用するか、にフェーズが移ってきました。

日本の国会図書館は2012年の著作権法改正で他の図書館への配信が可能に。131万点の配信が始まっている。だが国会図書館のデジタル化予算は2000万円。道路工事の25cm分。日本の一人あたり文化予算はフランスの1/8。
  →カネをかけましょう。


 本書の巻末に10の政策提言がなされています。強く同意するものがいくつもあります。これもピックアップします。

1)全国のアーカイブのネットワーク化。
→各種のアーカイブを分散型で設け、ネットワーク化するアーカイブ列島という思想。巨大ハコモノよりもこちらの方向だと考えます。

2)海外との著作物利用協定と各国アーカイブとの相互接続。
→海外との連結を深め、世界ネットワークを作る。対応が遅れた日本は、これを先導できないか。

3)オープンデータ化。
→文化庁の業務をアウトソース化することを含め、オープン化と連携を進めること。

4)字幕化。
→発信強化。むかし東浩紀さんからもアイディアをもらいながら実現していない、日本の各種情報に外国語訳をどんどんつけていく構想を進めたい。

5)デジタル化予算200億円。
→安いものです。文化予算でもハコモノ案を見受けますが、ハコは竹芝のように「ある」ので、コンテンツに回してください。

6)デジタルアーカイブ推進法の制定。
→やりましょう。要するに必要なのは、本件政策の優先度アップ。大事な問題だと政治が認識するかどうかです。

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