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不当解雇は防げない

 不当解雇に解決金制度 規制改革会議が意見書(日本経済新聞)

 政府の規制改革会議は25日、すでに裁判で不当と認められた解雇を、金銭補償で解決する制度の導入をめざす意見書をまとめた。解雇された労働者から申し立てがある場合だけに適用する制度とする。不当解雇をめぐるルールを明確にし、労働者が泣き寝入りを迫られる事態を防ぐ。経営者側も労働紛争の決着を見通しやすくなる。

 6月をメドに政府が閣議決定する規制改革実施計画にこうした方針を反映する。法整備に向けた議論が動き出すが、曲折も予想される。

 解決金制度は裁判で不当解雇と認められたとき、労働者が職場に戻るかわりに、法律で定められた一定額の補償金を使用者から払い、雇用関係を解消する仕組み。

 規制改革会議は意見書で「金銭解決の選択肢を労働者に明示的に付与し、選択肢の多様化を検討すべきだ」と提起した。ただ、不当解雇と認められたなら職場に復帰したい、という労働者もいる。あくまで「労働者側からの申し立てのみ認めるべきだ」と強調した。

 例えば某A新聞ですとか、主張の中身とは裏腹に現政府への評価という点では終始一貫しているメディアだったりしますと随分と印象の異なる伝え方がされていたりもするのですが、とりあえず規制改革会議の提言内容としてはここで引用した日経の記事が概ね適切でしょうか。引用元リンク先に掲載されている図は今一つ実態を正しく反映していないフシもありますけれど、「金銭を払って解雇する」という事前型の金銭解決を政府は検討して「いない」とも伝えられています。

 そもそもが金銭の支払いなど行われないまま一方的に解雇されるケースが普通なのですから、逆に解雇に際して雇用主に金銭支払いの義務など課してしまえば、それは――制度が遵守されるという前提において――実質的に規制強化でもあるわけです。実際問題として日本は解雇自由が現状なのに、解雇するなら金を払えということになれば、政府与党は元より野党第一党、第二党などが大切にしてきた層からの反発は避けられません。雇用主寄りの政党、政治家であるほど変更がない方が好ましいと内心では考えているものなのではないでしょうか。

 ここで問題となっているような労働契約法の他、労働基準法など労働者を守るべき法律は実態が完全な親告罪ともなっているわけです。法律の違反を取り締まる権限を有している人々が、自主的に違反者を取り締まってくれるものではありません。あくまで被害者が裁判に訴えるなどして初めて法律を適用すべきかどうかが検討される、それが現実の運用です。上で伝えられている内容も然り、「すでに裁判で不当と認められた解雇」に対して金銭による解決という選択肢を設けようとしているだけの話です。

 しかし裁判所が企業の味方をした場合や、不当解雇の被害に遭った元従業員が法廷に出て行かずに泣き寝入りしている場合はどうでしょう? 労働契約法に違反した企業は法の裁きを受けることなく、平然と不法行為を続けるばかりです。日本における歪な労使関係を是正するために本当に行われるべきは、「すでに裁判で不当と認められた解雇」の扱いなどではなく、労働契約法・労働基準法を非親告罪として運用することです。告訴されることもなければ当然ながら取り締まられることもないまま安穏としている、そんな違法企業の犇めく日本の財界を主体的に浄化しようとすることが権限のある人々には求められます。

維新の党:足立衆院議員、秘書の残業代不払い宣言(毎日新聞)

 維新の党の足立康史衆院議員(比例近畿)は25日の衆院厚生労働委員会で質問に立ち、元私設秘書から未払いの残業代700万円を請求されたことを明かし「払うことはできない。私たち政治家の事務所は、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢かと問題提起したい」と述べ、未払いを正当化した。

 足立氏は「私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない」と持論を展開。元秘書からの請求に対しては「ふざけるなと思う」と強弁した。

 足立氏は経済産業省の元キャリア官僚。取材に対し「労働基準法は現実に合っておらず、見直しが必要だ。議論を喚起するために発言した」と述べた。

 尚この議員は「元キャリア官僚」だそうで、なんと言いますか「官僚を辞めた」という肩書きで活動している人々の言動を聞く都度、官僚機構ってのは意外に自浄作用を持っているんだなと感じたりします。それはさておき未払いの残業代を踏み倒そうとしている国会議員の存在が伝えられているわけです。自身が会長を務めるキヤノンの違法行為を咎められて法律が悪いのだと言い放った元・経団連会長を思い出すところでもあるでしょうか。ともあれ日本では、労働に関する法律を破っても処罰されないのが普通なのですから、こういう人が出てくるのは避けられません。

 「私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない」というのが持論なのだそうです。ならば深夜や正月にでも足立議員に陳情しても受けてくれるのでしょうか。ともあれ歳費や各種手当てで年に2,000万以上の給付を受け取り、不逮捕特権など普通の国民にはない権利と権力を有する国会議員と、単なる私設秘書とでは残業代の扱いも違うだろうと考える人も多そうなものですが、野党側もとい「雇う側」の人間にとっては違うのかも知れません。人を働かせる立場の人は、自分よりもずっと薄給で権限も持たない人にまで多くを求めるものです。何の身分保障もない非正規社員にすら全人格的な奉仕を求め、ヒラ社員にも経営者意識を持てと平然と言ってのけるのが日本の会社です。この議員の発言は日本における雇用の在り方を端的に表わしているように思いますね。

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