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18歳、施設からの旅立つ子どもたちへの公的支援は77000円

 今年に入ってから何度か児童養護施設を18歳で出る時の「支援策」についてフブログ゙やツイッターで多くの人たちから「もっと支援を手厚くするべき」との意見が寄せられた。ところが、数は少ないけれど、中には「施設で育つのも運命なので、大学進学が出来ないなどの不満を持たないで、出来るところでベストを尽くすべき」とか、「一般の学生も苦しいのだから、施設を出るからと言って特別扱いするべきでない」などの突き放した意見が気になった。

 一昔前の日本は、多くの子が中卒で働きに出た。「金の卵」と呼ばれて集団就職列車で東京、大阪などの大都市に向かったのは1960年代。やがて、高校進学率が上昇し、準義務教育化したころは、児童養護施設から高校に通えるようにすることが大きな課題だった時代もある。そして今、児童養護施設から高校進学・卒業までは当たり前となった。そうなると、大学や専門学校への進学をという声があがる。

 全高校卒業者中で「大学等へ進学する54%(※児童養護施設からは13%)」「専門学校等に進学する23%(※10%)」「就職する16%(※67%)が現状で、まだまだ一般家庭で生育する子どもたちとの間に「格差」はある。その背景には、高校卒業時の18歳で施設を退去して、アパートや寮という生活の場を確保しなければならないという事情と、更に返済義務のない給付型奨学金が乏しい日本では、卒業時に多額の借金債務となってしまう貸与型奨学金の申請を躊躇してしまうという背景がある。

ここ数日のツイッターでの発言を次に再録することにする。
「タイガーマスクでランドセルは750個」にも驚いたが、児童養護施設を高卒時に出る時の「就職」「進学」支度金が、77,000円であることにショックを受けた。それでも、年々2,000円づつ引き上げているとの話。一生に一度、施設から出る子どもたちへの支度金がランドセル2つ分という現実。

児童養護施設を出る時の支度金77,000円は、東京都など独自の支援制度のある自治体では増額される。それでも、20万円前後。地方の施設ではもっと厳しい。さらに、東京など大都市ではアルバイト先もあるが、人口の少ない地域ではこれも簡単ではない。「政治の貧困」が続いた結果だ。
 具体的にいくら手元に現金を持って、子どもたちが児童養護施設を出るのかという問題だ。国が決めているのが「就職」「大学」双方の支度金が1回限りで77000円だ。これに、両親が亡くなっていたり養育不能の場合は「特別加算」で137,510円が足される。それでも21万と少しだ。東京都などでは、さらに自治体独自の加算を行なっているし、進学する場合は、一回限りの奨学金などを申請することも出来る。だが、けっして十分な額ではないことはいうまでもない

 昨日、厚生労働省と話していて、「実は進学時の支度金は、平成18年度からなんです」という話を聞いた。それ以前は「ゼロ円」だったというわけ。今年度予算で厚労省は倍額の要求をしたようだが、認められなかったので「2000円」の積み増しになったという。

ランドセルの平均価格×2つ分が国の公的名「支度金」として18歳の子どもたちに手渡される。入学時のランドセルはずっしり重く温かいが、高校卒業時にふたつはやはり軽い。

 来年度からは「子ども手当て」を「子ども名義」で貯蓄することが出来るようになるのだという。この制度が3年続けば、子どもたち自身の将来のステップに使えるお金は増えることになる。しかし、今年度予算をめぐる与野党対立を見ると、そう楽観してもいられない。まずは、私たちの社会が「親に代わって育てる」と決めた社会的養護を必要とする子どもたちの進路保障をどこまでやれているのか。実態を知ることから始めていきたい。

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