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安倍総理の「我が軍」発言の先にあるもの

3月20日の参議院予算委員会の質疑で、維新の党の真山勇一議員は、安全保障問題関係で、安倍総理が提唱した日米豪印の四カ国による「ダイヤモンド構想」、そして近年活発になってきている各国との共同訓練について、その法的根拠を質問した。その答弁の冒頭、安倍総理の口から飛び出したのが、自衛隊のことを「我が軍」とする発言であった。総理は臆面もなくそう言い切り、訂正も何もせず答弁を続けた。

 自衛隊は、政府の公式見解では軍隊ではないはずであるし、そもそも憲法9条で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とされている。(もっとも、いわゆる芦田修正で「前項の目的を達成するため」という前置きが置かれたことで、自衛隊の設置の道が拓かれたわけではあるが。)

 総理が国会審議の場で自衛隊を「我が軍」としたということは、総理の頭の中では既に自衛隊=軍ということになっており、近い将来に自衛隊を軍隊にする明確な意思を持っているということが明らかになったということであると言っていいだろう。(なお、自民党の選挙公約では「国防軍」の創設が謳われている。)

 当然そのために憲法改正が必要になる。

 今国会で審議されようとしている安全保障法制は、こうしたコンテクストで考える必要がある。

 ただし、安全保障法制を巡る議論は、我が国を取り巻く国際環境の変化を正確に認識し、理解した上で行われなければならない。今回の真山議員の質問は冷静にこうしたことについての議論の口火を切ったものとも言えよう。

 自衛隊を「国防軍」といったものにすることに諸手を挙げて賛成というわけでもなければ、一律に反対するものでもない。賛成か反対かといった単純な二元論ではなく、今、そしてこれからの我が国の安全保障にとって何が必要なのかその観点から、自衛隊なり「国防軍」の在り方を考え、丁寧に議論することが重要である。

 その点、国際政治を現実主義で見ることが、分析することが不可欠なのであるが、それができる専門家は、与野党で、そして霞が関で、何人いるのだろうか?アメリカの、しかもその一部の偏った情報のみで国際政治や安全保障を考えることほど危険なことはないと思う。

 安倍総理は臆面もなく「我が軍」と発言したということは、しっかりとしたリアリズムの視点に立って、これからの我が国の安全保障、そして「我が軍」の在り方を模索していると考えてよろしいか?

 野党議員達の核心を突く質疑を期待したいところである。

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