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アベノリスク

 平成27年度予算案と関連税法案が、衆院で可決され参院に送付されました。政府はこの予算案を経済再生と財政再建の両立を図るものとしています。しかし、実際には消費増税が先送られる一方で、膨らんだ公共事業費等がそのまま温存されるなど、財政規律は緩んでいます。その結果、歳出総額が96兆3千億円と史上最大規模になってしまいました。

 そして、この膨大な予算を陰で支えるのが、日銀による国債の大量購入です。これまた財政規律を麻痺させる要因となっています。

 実体経済に目を転ずると、昨年の経済成長率はマイナスであり、実質賃金も19か月連続で低下。相対的貧困率は先進国最悪の水準となり、不安定な非正規雇用も増え続け、今や全勤労者の4割に達しました。

 一方で、日経平均株価は2万円台をうかがう勢いです。国民が感じる景気回復への実感と株価の動きにギャップがあるのは、株価操作と疑われるような年金資金による大量の株式購入も一因でしょうか。「アベノミクス」は経済政策というよりも、国民の暮らしと財産を賭けた「アベノリスク」がその正体なのです。

 安倍政権の成長戦略の目玉政策は、いわゆる法人税減税です。その代替財源の一つとして、政府は資本金1億円超の中小企業に対する「外形標準課税」の拡大を盛り込みました。外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金などを基準にする課税方式で、赤字企業であっても課税されることになります。

 法人税減税により都市部の大企業は恩恵に浴す一方、地域経済の柱、雇用の拠り所となっている中小企業は負担増となります。大企業と中小企業との間に格差が拡大することは明らかです。

 しかも、注意しなければならないのは、外形標準課税の付加価値割に対する税率引上げが行われることです。付加価値割の大半は賃金であり、その税率を重くするということは、すなわち雇用を抱えた中小企業への増税を意味します。企業の収益増を賃金上昇に繋げる経済の好循環という、政権の掲げる目標と完全に矛盾しています。

 これらの審議に際しては、閣僚席からの野次がたびたび妨げとなりました。さらにあろうことか総理自らが閣僚席から事実誤認の不規則発言をくりだし、後日訂正・謝罪するという前代未聞の事態まで起こりました。行儀が悪過ぎます。「親の顔が見たい」と言いたいところですが、存じ上げておりますのでこれ以上は止めておきます。

 総じて、巨大与党のゆるみ、驕りが現れてきました。統一地方選挙を通じて猛省を促したいと思います。

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