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統一地方選を考えるヒント

国会では平成27年度予算が衆議院で可決され、審議の場は参議院に移った。衆院の審議では、政治とカネをめぐる与野党、特に民主党と自民党の攻防に振り回され、一般有権者の目から見れば、「一体まともに予算の審議をしたのだろうか?」と思いたくなるような状況であった。無論まともな政策議論は与野党間で行われていたが、例えば、民主党の玉木雄一郎議員が8割以上は従前の事業の焼直しと指摘した、各府省の地方創生関連予算はスーッと通過してしまった。

 参議院ではといえば、今のところアベノミクスの評価といった大上段の予算委員会らしい質疑も見られたが、今度はNHKの籾井会長を巡る諸問題で一時的に紛糾。公共放送のトップとして云々という話も分からないではないが、私的に利用するハイヤーの代金を誰が立て替えていつ自分で払ったかなどという話を針小棒大に議論するのではなく、大くくりでNHKを質疑の対象にするのであれば、放送と通信の融合をめぐる抜本的な制度の見直し等の大所高所からの質疑でもしてもらいたいものだ。

 さて、そうした国政での動きをよそに、一月後に控えた、我々の身近な生活に直結する選択をする機会に向けた動きが着々と進んでいる。言うまでもなく、統一地方選挙である。

 統一地方選挙は以下の日程で行われる。
4月12日:都道府県及び政令市の首長並びに議会議員選挙
4月26日:それ以外の市町村の首長及び議会議員選挙

 統一とは言っても、全地方公共団体で選挙が行われるというわけではない。ただ、非常に多くの地方公共団体で選挙が行われる。その数等の詳細については、総務省による「平成27年統一地方選挙執行予定団体に関する調」を参照いただきたい。

 おそらくほとんどの読者の方々のお住まいの地域で選挙が行われることになると思われるが、その状況、盛り上がりや如何?朝駅に向かうと、駅の周辺で立候補予定者達が街頭演説やビラ配りをしているのを見かけるようになったのではないかと思う。ただ盛り上がりには欠けるというのが正直なところか。

 しかし、地方議会では身近なことがいろいろと決められている。分かりやすい例で言えば、自転車関係や路上喫煙禁止関係。法律で条例において定めると規定されている事項は当然のことながら条例でその具体的内容が決められる。基本的には法律で定められた範囲内であるが、上乗せ条例や横出し条例というものもある。要すれば、法律よりも規制を強化したり、規制の対象を広げたりした条例のことであるが、地方議会はこうしたものも審議し、決定することが可能なのである。

 実は地方議会は住民にとって身近かつ重要な存在で、地域での事業活動に密接に関わっているということである。そして、その議会の構成員たる地方議員を選ぶ地方選挙は非常に重要だということである。

 では、そんな大事な選挙で誰に投票すればいいのか?もちろんそれは有権者の皆さんのご判断なのだが、その際のヒントとなる話をしてみたい。

 地方議会選挙では、国政選挙と比べて無所属候補が多く、また地方政党の候補もいる。もちろん国政政党の候補者も大勢いるが、主張や打ち出す政策はそれぞれの地方色が濃く出る。これは当然と言えば当然である。

 ただ、その主張や政策、必ずしも体系だてられているわけではないし、各党がマニフェストのようなものを必ず作成するわけでもない。一つ一つ見て比較するのも面倒、ということになると、さて、どうしたものか。

 首長選挙の場合は、新たな施設の整備の是非といったもののように争点が明確なことが多いし、少なくとも、現職の市政や県政といったものに対する評価や是非であるので、まだ分かりやすいが、地方議員というと普段何をしているのか、分かりにくいというのが一般有権者の本音なのではないだろうか。

 挙句に公的資金の不適切な使用が明らかにされると記者会見で泣き出すような議員まで出てくるとなれば、尚のこと「こいつら何やってんだ?」という疑問を通り越した不信感が強まってもおかしくはない。

 そんな議員には早急に退場していただいて、能力があり志の高い議員がそろうことを目指したいところ、そうした議員選ぶには、初歩的ではあるが、駅頭で配っている各候補者のビラをとりあえず受け取ってザッと目を通すことをお勧めしたい。目を通すのに5分もあれば十分だろう。

 何を主張しているのかを理解するよりも前に、まずビラの構成、論理だてられているか否か、正しい日本語を使っているかどうか、そうした点を見ればそもそも根本的な資質があるのか容易に見抜けるはずである。

 私の実体験として、半分お笑いネタになりそうな不思議な日本語を使ったビラを、臆面もなく配っている立候補予定者もいた。当然のことながら対象外で、すぐにそのビラはゴミ箱行き。

 政策や主張に目を転じてみても、例えば地方議会の定数削減のみを主張するような不可思議な立候補予定者もいる。無駄だ無駄だと言うのは容易いが、なぜ無駄なのか、なぜ無駄が生じているのかといった点についての考察が一切ないような主張が多い。定数削減を主張するとして、それは、財政再建や議会の活性化と一体で考えるべき話、その手段の一つであって、それだけで話が成立するものでもないのだが。

 最近では就職口がないから地方選に出て、まぐれで通ってしまった議員もいるようであり、地方議会の「ハローワーク化」とも揶揄したくなるような状況である。

 地方議員の報酬は政務活動費も含めれば、総額で年間2000万円になる地方公共団体もあるようである。それを上手に活用して政策研究、政策の企画立案等を行うというのであれば、地方行政や住民サービスの質の向上につながることが期待され、税金の正しい使い方であると思うが、勉強会と称して遊興費に支出するような議員が残念ながら多いとも聞く。

 近年若手の有能な地方議員の数が徐々に増えていっているように見受けられる。少なくとも私の周りにいる若手の地方議員達はしっかりとした主張を持ち、真摯に地方政治に取り組んでいる。

 そうした議員達に更なる活躍の機会を創るためにも、是非皆さんには地方選挙に関心を持っていただきたいと思う。

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