記事
- 2015年03月21日 12:34
日銀は国債をどこまで買えるか
日銀の資金循環統計によると、2014年12月末時点で日銀の国債全体の残存額に占める保有割合が、25%ちょうどになっていた。短期債を含めた国債全体の四分の一を日銀が保有している計算となる。今後、このまま日銀が国債買入を継続するといずれ流通市場の国債が枯渇してしまうのではないかとの危惧がある。これについては具体的にいつどのような形で枯渇するということを判断するのかは、前提条件により算出がなかなか難しい。
今後このまま日銀が国債を買い入れれば、との前提についても問題がある。もしかすると第三次異次元緩和があり、さらなる国債買入を日銀が決定してくる可能性も完全には否定はできない。しかし、国債市場の流動性のさらなる低下を招きかねないことは確かであるとともに、財政ファイナンスではないかとの認識を強めさせかねない。それ以前に日銀が国債を思い切って買い入れても、物価が上がらなかった説明がなされないと無駄に国債を買い入れて、リスクを増加させるだけになりかねない。
投資家の保有する国債の割合についても状況次第で変化することが予想比される。いまのところメガバンクやゆうちょ銀行が大きく国債残高を落として、その分は日銀の当座預金の残高を増加させている。これは結果として日銀の金融政策の目標であるところのマネタリーベースの増加を支援している格好となっている。
ちなみに昨年末現在のメガバンクなどの銀行は105兆円弱、ゆうちょ銀行主体の中小企業金融機関等は143兆円程度の残高がある。日銀担保の分を除いてもまだ減額することは可能ではないかと思われる。
公的年金は57兆円、企業年金は29兆円、共済保険は37兆円ある。公的年金などはまだ国債のシェアを引き下げていくことも予想され、その分も日銀の国債買入余力となりうる。また、海外勢が45兆円保有しており、こちらもいずれなにかしらのきっかけて保有割合を減少してくることもありうる。
果たして日銀はこの日本国債の何割程度まで買い進めることが可能なのか。それを推測する上で、面白い事例が存在する。
昔、日本の国債残高の約半分程度を占めていたことのある公的な投資家が存在していた。それは運用部ショックで有名な大蔵省の資金運用部である。ここは郵貯や簡保、公的年金の資金を預託されて運用していたところであり、国債の引き受け等もあり、年によっては国債残高の半分以上を保有していた。財投改革により資金運用部は廃止されることになるわけだが、1998年の資金運用部ショックの頃は約3割程度の保有シェアとなっていた。
1998年の資金運用部ショックはこの資金運用部の国債買入を停止するとの報道がきっかけであった。それだけ資金運用部の国債市場の影響力が大きかったことを示すが、同様の事態が日銀の出口政策の際にも起こりうるかもしれない。そうなると運用部ショックの頃の資金運用部の国債残高に占める割合が3割程度というのが、実はひとつの参考数値になるのではないかと思われるのである。
1998年当時はすでに国債市場では活発に売買されていた。そこに3割も保有する公的な存在があった。となれば状況は当時と現在とでは多少違っていたとはいえ、日銀も3割程度、つまり現在の国債残存額約1000兆円のうちの300兆円あたりまでならば残高を増加させることは可能との見方もできまいか。ただし、その後、運用部ショックのような相場変動が起きる可能性も否定できない。
今後このまま日銀が国債を買い入れれば、との前提についても問題がある。もしかすると第三次異次元緩和があり、さらなる国債買入を日銀が決定してくる可能性も完全には否定はできない。しかし、国債市場の流動性のさらなる低下を招きかねないことは確かであるとともに、財政ファイナンスではないかとの認識を強めさせかねない。それ以前に日銀が国債を思い切って買い入れても、物価が上がらなかった説明がなされないと無駄に国債を買い入れて、リスクを増加させるだけになりかねない。
投資家の保有する国債の割合についても状況次第で変化することが予想比される。いまのところメガバンクやゆうちょ銀行が大きく国債残高を落として、その分は日銀の当座預金の残高を増加させている。これは結果として日銀の金融政策の目標であるところのマネタリーベースの増加を支援している格好となっている。
ちなみに昨年末現在のメガバンクなどの銀行は105兆円弱、ゆうちょ銀行主体の中小企業金融機関等は143兆円程度の残高がある。日銀担保の分を除いてもまだ減額することは可能ではないかと思われる。
公的年金は57兆円、企業年金は29兆円、共済保険は37兆円ある。公的年金などはまだ国債のシェアを引き下げていくことも予想され、その分も日銀の国債買入余力となりうる。また、海外勢が45兆円保有しており、こちらもいずれなにかしらのきっかけて保有割合を減少してくることもありうる。
果たして日銀はこの日本国債の何割程度まで買い進めることが可能なのか。それを推測する上で、面白い事例が存在する。
昔、日本の国債残高の約半分程度を占めていたことのある公的な投資家が存在していた。それは運用部ショックで有名な大蔵省の資金運用部である。ここは郵貯や簡保、公的年金の資金を預託されて運用していたところであり、国債の引き受け等もあり、年によっては国債残高の半分以上を保有していた。財投改革により資金運用部は廃止されることになるわけだが、1998年の資金運用部ショックの頃は約3割程度の保有シェアとなっていた。
1998年の資金運用部ショックはこの資金運用部の国債買入を停止するとの報道がきっかけであった。それだけ資金運用部の国債市場の影響力が大きかったことを示すが、同様の事態が日銀の出口政策の際にも起こりうるかもしれない。そうなると運用部ショックの頃の資金運用部の国債残高に占める割合が3割程度というのが、実はひとつの参考数値になるのではないかと思われるのである。
1998年当時はすでに国債市場では活発に売買されていた。そこに3割も保有する公的な存在があった。となれば状況は当時と現在とでは多少違っていたとはいえ、日銀も3割程度、つまり現在の国債残存額約1000兆円のうちの300兆円あたりまでならば残高を増加させることは可能との見方もできまいか。ただし、その後、運用部ショックのような相場変動が起きる可能性も否定できない。