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ドル高を抑制しながら利上げを目指すFRB

 3月18日のFOMCでは金融政策そのものは現状維持となった。注目の声明文では予想されていたように、忍耐強くなれる(can be patient)との文言は削除された。その上で、次回の4月28~29日のFOMCでの利上げの可能性は低いとし、最短で6月のFOMCでの利上げの可能性があることを示唆した格好となった。今後のFOMCの日程は4月28~29日、6月16~17日(議長会見有)、7月28~29日、9月16~17日(会見有)、10月27~28日、12月15~16日(会見有)となっている。

 フォワードガイダンスを修正したからといって、政策金利引き上げ開始の時期を決めたわけではないと釘を刺してはいるが、6月か9月の会合で利上げを決定する可能性はこれで高まったといえる。ただし、FRBは利上げによる市場へのインパクトを抑えようと工夫も行ってきた。米国経済について総括判断を下方修正し、それとともにFOMCが公表した投票メンバーによる政策金利予想のチャート、いわゆる、ドット・チャート(あるいはドット・プロット)も修正してきた。

 これによると今回、2015年末時点で1.0%以上が適切な水準だとした人数は昨年12月では9人いたのに対して、今回は4人にとどまった。2016年末についても2.0%以上が適切としていたメンバーが12月は13人いたのに対して今回は6人に止まっている。これはつまり、6月か9月に利上げが実施されたとしても、その後の再利上げについては、ある程度の間隔を設けるなり、利上げの幅も緩やかにするであろうとの意図が見える。

 いったん利上げを始めると定期的に上げていくとの見方もあったようだが、FRBにとってまずは正常化が最大の目的であると思われ、それを達成後は利上げのペースや、国債とMBSの償還分の買入の停止、さらにはポートフォリオの削減に向けてはかなり慎重に行ってくるであろうと予想される。

 注意すべきはイエレン議長の会見のなかで、何度も発せられたドル高への懸念である。これまで日銀の2013年4月の量的・質的緩和第一弾と2014年10月の第二弾、さらにはECBの量的緩和については見て見ぬふりをしていたが、さすがにFRBとの方向性の違いによるドル高への動きを牽制しようとし始めた。イエレン議長は会見で、ドル高は米経済の力強さを一部反映しているとしながらも、輸出の伸びの鈍化はドル高がその一因である可能性を示し、ドル高が一時的にインフレ率を押し下げていると指摘した。

 これを受けて外為市場ではドルがほぼ全面安の展開となり、ドル円は120円を割り込み、一時119円50銭も割り込んでいる。イエレン議長の発言により、外為市場では潮目が変わった可能性がある。米国は決してドル高は望んでいないことを示した。すでにFRBの利上げも相当織り込んでいたことも確かであり、最初の利上げはほぼ確実視されても、それ以降の利上げペースは市場の予想よりもきわめて緩やかなものになるとなれば、今後はドル高トレンドが修正される可能性もあろう。

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