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クレイグ・モド著「僕らの時代の本」から考える「本は雑貨になるべき」の真意。

どうも鳥井(@hirofumi21)です。

先日、「ぼくらの時代の本」という本を読みました。

この本に書かれていた「印刷物として本をつくるときに留意すること」が、あまりにもドンズバで刺さってしまったので、今日はこの内容を忘れないように引用しつつ、ブログ記事として書き残しておきたいと思います。

「ぼくらが作るその本は、物理的な形態を必要とする」

本書には以下のように書かれています。

リンク先を見る ぼくらの時代の本[Kindle版]
posted with ヨメレバ
クレイグ・モド 株式会社ボイジャー 2014-12-13
Amazon[書籍版]画像を見る

今後、印刷物として本を作ることを考えるとき、必ず次の点に留意するようぼくは提案する。

・ぼくらが作るその本は、物理的な形態を必要とする——物理的な形態がコンテンツと結びついて、内容をより輝かせる。
・ぼくらが作るその本は、形状と素材の使い方に自覚的である。
・ぼくらが作るその本は、印刷物であることの利点を活用したものである。
・ぼくらが作るその本は、長持ちするよう作られる。  

この結果は次のようになる。  

・ぼくらが作るその本は、手の中でしっかりとした存在感を持つものとなる。
・ぼくらが作るその本は、懐かしい図書館のような匂いがするものとなる。
・ぼくらが作るその本は、あらゆるデジタル機器を使いこなす子供たちにさえ、その価値がわかるものとなる。
・ぼくらが作るその本は、紙に印刷された本が思想やアイデアの具現化であり得ることを、常に人々に思い出させるものとなる。

これまで僕は「ウェブと紙の違い」については多くの文献を読んできましたし、このブログでも飽きるほど書いてきました。

『5年後、メディアは稼げるか』ブロガーが知っておくべき「紙とウェブ」の決定的な違い。 | 隠居系男子

しかし、これほどまで見事に「紙にする時の留意点」を端的にまとめた文章は今まで読んだことがありません。

「本は雑貨になるべきだ」の真意について。

そして、ここに書かれている内容を考えれば考えるほど「本は雑貨になるべきだ」という、その真意が見えてきます。

湘南T-SITEに行って改めて実感した「本は雑貨になるべきだ」ということ。 | 隠居系男子

「雑貨」という単語は、どうしても“女性”の“可愛い”もののような感覚がありますが、決して女性だけのものではなく、高級なインテリアだって言ってしまえば雑貨の一部です。

例えば、最近売れているあのピケティの本画像を見るだって、購入している人たちの多くにとっては、雑貨としての価値が付与されていたからこそ、あれだけ飛ぶように売れたわけです。

それはつまり、そこに書かれている情報以上に、何かしらの意志を体現するために“物理的な形態”が必要とされているということ。

そうなった瞬間、ソレは情報以上の価値を持ち、情報が付加された本という紙媒体が雑貨に変わっていく瞬間なのだと思います。


ウェブ出身の人たちが、新しい時代の紙の本をつくりあげるのかも…?

データとしての情報は全てウェブで入手可能になってしまったからこそ、その物理的な形態に付与する価値とは何なのか、それを突き詰めて考える必要があるのでしょう。

もともと紙は情報を伝達する手段だと思っている人たちからすると、この感覚というか境目というのは非常に曖昧なものなのかもしれません。

しかし、ウェブ出身の人間からすると、情報の伝達はすべてウェブだけで完結することができるので、紙でやるとなったら、その意味を深く考えてしまうわけです。

「本当に紙にする必要ってあるの?」「そこまでコストを掛けて、逆に届く人が限定される紙でやる意味って本当にあるの?」と。

でも、この悩みがいま紙の出版物を出すときに一番重要な思考過程だということです。

そう考えると、ウェブで情報伝達をしてきた人たちのほうが、これからの時代に紙で出す本当の意味を理解して、新しい本の形を体現していくようになってくるのかもしれません。


最後に

灯台もと暮らし[もとくら]|これからの暮らしを考える情報ウェブメディア」も、今はウェブメディアという形式のみで運営していますが、それはたまたま自分たちがウェブの方が強くて、ウェブから始める方が圧倒的にリスクが少なかったからだというだけです。

中長期的には、僕らは「ものづくり集団」になっていきたいと思っています。ウェブメディアで留まるつもりは毛頭ありません。

紙の本にもチャレンジするタイミングも必ず来るはずです。その際には、今日書いたことをしっかりと意識して作っていくことができたら良いなと。

そんなことを考えながら、今日書き留めておきました。

それでは今日はこのへんで。

ではではー!

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